2025年7月22日〜26日の5日間、Hokkaidoサマー・インスティテュート2025において、文学部開講科目「社会構造論:現代日本における人口と格差/Social Structure: Demography and inequality in contemporary Japan)」が開講されました。
本科目は、ハーバード大学ウェザーヘッド国際問題研究所付ハーバードアカデミーのアカデミースカラー打越文弥先生を招へい講師としてお迎えし、社会学的視点から現代日本における人口動態と社会的不平等を多角的に考察することを目的として対面で行われました。履修生は、教育・ジェンダー・労働市場・家族などのテーマを通じて、構造的な理解を深めます。

第1回目の講義は、まず招へい講師の打越先生から簡単な自己紹介と本科目についての説明がありました。続いて、履修生一人一人に自己紹介として氏名と所属大学、専攻分野に加えて「なぜ、この科目を受講することにしたのか?興味を持ったのか?」について話してもらいました。
(この科目を履修することにしたのはなぜか?について答える履修生)
続く2コマ目の講義では、「世界で最も高齢の国・日本」をテーマに「低出生率と急速な人口高齢化」と「急速な経済成長とその後の後退」の現状を様々な図やデータを使いながら解説、履修生に対して「そうなっている原因としては何が考えられるか?」や「文化的・歴史的にどんな背景があるのか?」といったことが問いかけられ、講師と履修者で活発な議論が交わされました。

講義は、講師からの豊富な画像やデータを用いた解説の後、定期的に挟まれる問いに対して履修生が意見を述べることで進みます。履修生はその都度、自身の中から回答を引き出すとともに、他の履修生の回答や講師からの指摘をきっかけに新たな視点から考え、さらに理解を深めていきます。
続いて2日目は雇用と労使関係をテーマに「日本型経営と変化する労働市場」、「労働市場における不平等」、「所得、不平等、貧困」、3日目は教育をテーマに「初等教育と中等教育」、「高等教育」、「学校から職場への移行」、4日目は親密性、ジェンダー、世代間関係をテーマに「交際と結婚」、「ジェンダーと夫婦間の労働分担」、「世代間関係」、最終日は「移住と地方の人口減少」についての講義の後、学生発表が行われました。
学生発表では、教育格差やジェンダー不平等、移民政策など各グループが取り上げた多様なテーマと社会問題についての発表と議論が行われました。参加者からは「日本社会の構造を深く理解できた」「他国との比較が興味深かった」といった声が寄せられ、非常に充実した学びの機会となったようです。
本科目は、講義・ディスカッション・グループワーク・最終レポートの執筆を通じて、理取捨の批判的思考力と社会分析力の向上を図ることを目的とした科目です。国際的な視点から日本社会を捉える貴重な機会を得られる科目として、来年度も開講を予定しています。








