学芸リカプロ フォトエッセイ
#1 学芸リカプロはじめました。

今年度は、ウェブ実習を中心に、北海道大学総合博物館での企画展開催に向けて活動している学芸リカプロ。その活動の内容や、企画の裏話、こぼれ話を紹介していくエッセイです。

ウェブ・ミーティングによる企画の進捗や、企画展に関する新鮮な情報をお届けしていきます。

その第1回は、プログラム教員の今村信隆特任准教授のエッセイです。

#1 学芸リカプロはじめました。

今村 信隆                
(学芸リカプロ・博物館学研究室 特任准教授)

学芸リカプロの2020年度が静かに幕をあけました。「静かに」というのは、今年度は大々的なシンポジウムなどを開催せず、ウェブ実習を中心としたプログラムから始まったからです。しかしこのウェブ実習、新しい可能性を大いに秘めています。

私たちがいま、ウェブ実習で取り組んでいるのは、今年の秋に予定されている北海道大学総合博物館での企画展を、ウェブ上でのミーティングを通じて立案し、実現していこうという挑戦です。無謀だと感じられてしまうかもしれません。もとよりミュージアムは、モノを軸に成り立つ場所です。実際に足を運び、生の資料を目の当たりにすることにこそ、ミュージアムの力がある、と言われることも確かです。にもかかわらず、立案、調査、解説執筆、広報、事業評価といったプロセスのすべてをウェブ上で決定していこうというのですから、ハードルは極めて高い、と言わざるをえません。

けれどもウェブ実習には、明らかな強みもあります。今年のウェブ実習にはすでに、同じ北海道内とはいえ距離がある釧路市や斜里町からも、さらに東京からも、フランスからも、受講者が参加してくれました。距離をものともせず、皆で少しずつ知恵を出し合うということの手法だからこそ見えてくるものがあるのではないか、と期待しています。

ちなみに、企画展のテーマは、「学びにおける距離」。ウェブ実習の「もどかしさ」を逆にバネにしながら、ウィルス感染症と隣り合わせの現代社会を、そして岐路に立つ ミュージアムの今後を考えていきます。