【学芸リカプロ】3年間のプログラム完了報告

学びつづけることの「かっこよさ」

2018年度から、文化庁の助成を受けて走り始めた、北海道大学学芸員リカレント教育プログラム(通称、「学芸リカプロ」)。

たくさんの方々に支えられつつ、これまでさまざまな活動を展開してきた本プログラムも、いよいよ2021年3月末をもって、3年間という当初の予定を無事に終了することになりました。

振り返ってみると、これまでに参加してくださった受講生・聴講生は40名以上、講師・講演者はのべ50人近くにのぼります。ここに、学内外の協力者、公開シンポジウムやイベントの参加者、企画展の入場者等を加えると、関係してくださった方の人数は優に千人は超えるはずです。お力添えをいただきましたすべての皆様に、この場をお借りして、感謝を申し上げます。

本プログラムは、もとより、現役学芸員や元学芸員、地域文化の実践者の方々を対象として構想されたものでした。ですから当然、参加してくださる皆さんがそれぞれに専門分野をもち、多くの方が第一線で活躍されているということが、プログラムの前提になっています。その皆さんの経験や知見を、学びの場にどう活
かしていくことができるのか、という点が、私たち事務局側の課題のひとつでした。

また、仕事をしていたり、ご家庭があったり、地域のなかで活動されていたりする皆さんは、学ぶことだけに専心することが困難です。多忙な皆さんにとって参加しやすいのは、どのようなプログラムなのか。役に立ててもらえる、活用してもらえるプログラムとなるためにはどうすればよいのか。試行錯誤を繰り返しな
がら、3年間、どうにか事業を遂行してきたというのが正直なところです。

行き届かない部分、今後の課題として残された部分も多々あることと思います。
特に最終年度にあたる2020年度は、新型コロナウィルス感染症の影響もあって、事業内容にも大きな変更が生じてしまいました。しかし、にもかかわらず、多忙な日々の合間を縫ってプログラムに参加してくださった皆さんには、本当に頭が下がる思いです。学芸リカプロの場は、少なくとも私自身にとっては、学び続けることのエネルギーに直に接することができる大変刺激的な場でした。大人が、社会人が、あるいはさらに言えばその道の立派な専門家が、それでも真摯に学び続けることの「かっこよさ」を、毎回、ひしひしと感じていました。

本プログラムはひとまずこれにて終了しますが、ともに学び合う貴重な時間をもてたことに感謝しつつ、次のプロジェクトもあたためていきたいと考えています。

(学芸員リカレント教育プログラム 今村 信隆)

響き合う「クロストーク」

3年間の「学芸リカプロ」を、ひとまず終了いたします。

この間、受講生・聴講生のみなさまをはじめ、さまざまな情報やスキル、そして志を伝えてくださった講師のみなさま、そして裏方で運営を支えてくださった方々に、心から感謝申し上げます。

今村先生が「大人が、社会人が、あるいはさらに言えばその道の立派な専門家が、それでも真摯に学び続けることの「かっこよさ」を、毎回、ひしひしと感じていました」と書いています。私も、毎回のイベントで感じ続けたことがありました。それは「ことばや行為が重なり合う」瞬間のすばらしさです。

年度はじめの「シンポジウム」、年度末に開催した「公開成果報告会」、受講生のみなさんが議論する「ワークショップ」・・・。2020年秋に開催した企画展「DISTANCE」の制作プロセスやzoomイベント「ミュージアムグッズサミット」本番中のやりとり。そのときどきに、心や身体が響き合う「クロストーク」がありました。

「クロストーク」は、「混線」という意味や「ノイズが混じり合う現象」も指しますが、学芸リカプロでの「クロストーク」も原理は同じだと思います。つまり、異質なもの、普段は接しないものを、いったんは受け入れ、自身の中にあるものと混ざり合い、ついには編集し、新たな何かを創り出すプロセス全体を指していることばではないでしょうか。

これまでは、学芸リカプロの場における、受講生×講師、受講生×私たち教員、受講生×受講生で発生する「クロストーク」。

 これからは、受講生×職場・お仕事、受講生×社会、受講生×未来で発生する「クロストーク」。どんな「クロストーク」が展開されるのか、どんな響き合う瞬間があるのか楽しみにしています。
 そして、次のプログラムでも、心や身体が響き合う「クロストーク」をひとつでも多く生み出していきたいと考えます。

(学芸員リカレント教育プログラム 代表 佐々木亨)