【学芸リカプロ】「北大博物館で考えよう!(珍)ミュージアムグッズ未来形」12/15 企画者大澤 夏美さん(学芸リカプロ受講生)によるレポート

この度、「北大博物館で考えよう! 新(珍)ミュージアムグッズの未来形」と題した講演とワークショップを実施した。北海道大学学芸員リカレント教育プログラム、札幌オオドオリ大学、北海道大学総合博物館の3社共催により実現したイベントである。これまでに修士論文で研究した内容、ミュージアムグッズ愛好家としての取組みや、日頃お世話になっているミュージアムショップの関係者の各位の知見、そして、北海道大学学芸員リカレント教育プログラムで学んだ内容を元に、イベントの内容を組み立てた。

今回のイベントは、ミュージアムグッズのアイデアを出すということを通じて、博物館の財産への主体的なアプローチを体験するという内容である。イベントの内容を順を追って説明していきたい。

まず講義では、「どのようなグッズが面白いのか?」という疑問をスタート地点とし、今回は、阪本の著書を参考に、「博物館の魅力を考える」という点と「グッズの特性を生かす」という点を考慮することで、きらりと光るグッズのアイデアが生まれる、という思考プロセスを提案した。

続いてはワークショップ。当日飛び入りの参加者もおり12名での実施となった。まずは60分間で、前述した「博物館の魅力を考える」、「グッズの特性を生かす」という視点を持った上で、モチーフとなる博物館の財産を探して回る。その後、10分間で自己紹介と自分のアイデアを簡単に紹介し、20分間でスケッチブックにまとめてもらった。

そして60分間で各自のアイデアを発表した。自分が考えた「博物館の魅力」と、「グッズの特性」を組み合わせた、個性的なアイデアが続出した。

例えば「今はアースカラーも流行しているので、博物館オリジナルの岩石ネイルとしてマニキュアを開発してはどうか」、「子どもは『はたらくくるま』が好きだから、開拓期に活躍した『はたらく道具』をグッズ化してはどうか」、「土器やその修復に魅力を感じたので、土器の立体ジグソーパズルが欲しい」、などのオリジナリティあふれるアイデアが生まれた。その後参加者からは、「こんなにしっかり博物館の資料を見たことがなかった」、「『こういうものがあったらなぁ』と思いながら回るのは初めての体験だった」、という感想をいただいた。

ただ所蔵品やパネルを眺めるだけではなく、修復や保存作業を疑似体験したいという想いや、自分の感動した点を一歩掘り下げて考えてみるなど、よりじっくりと展示に向き合う参加者の姿がそこに浮かび上がってきた。ミュージアムグッズを考えながら展示を見て回るという作業は、博物館における鑑賞の新たな糸口になるのではないかと考えている。

参加者にとって少しでも参考になれば嬉しいし、今後の博物館の発展に寄与できるイベントになればと願っている。

参考文献
阪本 啓一
2017『「こんなもの誰が買うの?」がブランドになる 共感から始まる顧客価値創造』東京:日本経済新聞出版社