[Hokkaido Summer Institute (HSI) 2016] Dynamic Epistemic Logic and its Applications開催されました

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8月1日~5日の5日間、Hokkaido Summer Institute (HSI) 2016 / 北海道サマーインスティテュート2016 開講科目のひとつ、Dynamic Epistemic Logic and its Applications(動的認識論理とその応用)が開催されました。

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この科目は、論理学のアドヴァンスト科目として、近年著しい発展を見せている「動的認識論理」がテーマです。授業は、海外からお招きした先生方と文学研究科の先生方とのコラボレーションにより、講義と演習を組み合わせながら進められ、受講生が主体的に学べるものとなりました。

初日には、論理学や形式哲学(formal philosophy)の分野で世界の最も著名な研究者のひとりに数えられるヨハン・ファン・ベンタム先生による遠隔授業が行われ、世界のトップランナーの授業をライブで受ける機会がありました。

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ファン・ベンタム教授による、オランダ・アムステルダムからの遠隔授業の様子。
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ヨハン・ファン・ベンタム教授
(アムステルダム大学/オランダ、スタンフォード大学/アメリカ、精華大学/中国)
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学生からの質問に耳を傾けるファン・ベンタム先生

5日間の授業のメイン講師は、アムステルダム大学のスメッツ先生とバルタク先生。動的認識論理で国際的に著名なお二人の迫力のある授業を、受講生たちは熱心に聞き入っていました。

私たちは、人とコミュニケーションをとる場合、私たちの話し相手が何を知っていて何を知らないか、また私たち自身が知ってる或いは知らないことのうち、どれをその相手が知っているのか(あるいは知らないのか)といったような、それぞれが認識している(あるいは認識していない)内容を、多かれ少なかれ踏まえながら話しています。その内容は、コミュニケーションが進み、状況が変化するにつれて変化します。

動的認識論理では、こういった複雑な相互知識や共通認識がコミュニケーションの場でどのような役割を果たしているか、そしてその認識が人の行動や発言によってどのように変化し、それが次のコミュニケーションにどのように影響するか、さらにはその中でどのような問題が発生するのか等、私たちの日常生活にも見られる現象が論理によってどのように解明され、どのように解決できるかをテーマとして扱います。

受講生たちはこの授業で、多様な具体的事例を扱いながら、複雑化したコミュニケーションとその思考のプロセスについて、動的認識論理を使って表現し、応用して用いることを学びました。

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ソーニャ・スメッツ先生(アムステルダム大学・教授)
アメリカの人気アニメ「ザ・シンプソンズ」の登場人物、バート・シンプソンとの
コミュニケーションを例に取り上げています。
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アレクサンドル・バルタク先生(アムステルダム大学・准教授)
「質問はメールでも受け付けるよ」と、とてもフレンドリーでした。
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山田 友幸先生(北海道大学大学院文学研究科・哲学講座・教授)
サマーインスティテュート2016で開講されたふたつの論理学の科目の責任教員です。

アンケートでの評価も高かったこのSI科目「動的認識論理とその応用」は、論理学という学問領域にとどまらず、実社会で複雑化した様々な状況を的確に分析し、対処する力を身につける科目として、来年度も引き続き開講予定です。

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