「プラス1ピース読書会 Vol.6」開催されました

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7月28日(木)、「書香の森」にて第6回「プラス1ピースの読書会」が開催されました。今回取り上げたのは、永山 ゆかり先生(北方研究教育センター)の『シベリア先住民の食卓』です。

読書会では、まず「なぜこの本を出版しようと思ったか」という本に込められた思いについてお話がありました。日本人が見て感じたシベリアを、ロジア人の価値観のフィルターを通さずに伝えたい気持ちが大きかったそうです。次に、暗くて寒いイメージをもたれがちなシベリアは、実は「楽しく美味しいところ」であることを、カラー写真を使ってフィールドワークの魅力を交えつつ伝えていただきました。さらに、異文化にふれた時に感じる「違っていること」について、人びとの心の奥にある部分は「似ている」ことも多いという考察を身近な例を挙げながら考察されました。

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当日は、この本の共同執筆者の丹菊逸治先生(アイヌ・先住民研究センター)も参加され、
コメントをいただきました。

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今回のプラス1ピースのテーマは「お名前鑑定団」。シベリアで見た魚や植物が、現地でなんと呼ばれているかを調べるのは、言語学者のしごと。その魚や植物が辞書で「〜〜科の仲間の魚(植物)」と紹介されるのに我慢がならない永山先生は、言語学者の研究領域を超えて、正しい和名と学名を調べ同定することにこだわりました。図鑑を調べ、魚類学者、植物学者に相談しつつ、粘り強く名前を確定していく作業は時間がかかり、足掛け数年にわたってようやく同定できたものもありました。会では、苦労した「キュウリウオ」と「チカ」の区別と、日本には存在しないスベリヒユ科植物の「Bearing Sea Spring Beauty(ベーリング海の春の美人)」の名称同定のエピソード紹介がありました。

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Bearing Sea Spring Beauty(ベーリング海の春の美人)、根が食用となる。
この名前の同定には、約5年を要したそうです。