学芸員リカレントプログラム受講生レポート実習「企画展運営のためのグループワーク」

実習「企画展⽴案・運営のためのグループワーク」

「農」と「リカレント」 実習:企画展立案・運営のためのグループワークに参加して

蝦名 未来(だて歴史文化ミュージアム)

学藝リカプロ実習では、毎回の講義後、2020年に開催予定である企画展開催にむけてのグループワークが行われています。

はじめに、今年度の実習の経緯をご報告します。
本年度開講当初は、2014年に催された「美術の北大展」で展示されていた絵画をコンテンツとして、「どのような企画展ができるだろうか?」というテーマで意見を交わしました。その中か ら、「動物」や「アイヌ民族」、「北海道の原風景」などのモチーフを描く小川原脩氏が抽出され、彼の作品や周辺から企画展案を模索する議論が繰り広げられました。

その後も、小川原氏の絵と絡めながら、何が展示できるかという話し合いの中で、北大に「牛籍簿」というものが存在する!ということを発言された参加者がおられ、大いに盛り上がりました。このプログラムの参加者は、仕事も専門も様々であり、この「牛籍簿」はいろいろな角度から考察できる興味深いコンテンツであるとの共通認識を持つことができました。

このあたりから、展示のコンテンツもさることながら、私たち学藝リカプロ参加者が企画展を催す意義やその「リカプロらしさ」なるものを掘り下げることについての言及が多くなっていたように感じます。その中で議論を深めた結果、「農」と「リカレント」というキーワードが浮かび上がり、これに沿って展示企画を練っていくことに決まりました。

9月の特講が終わり、いよいよ大枠を固めねばならない時期にさしかかった折、企画展案のアイディアペーパーの募集がなされ、たくさんの案が発せられました。そのアイディアペーパーを今村先生が作られた、座標軸に沿って分類・整理するなどしながら集約していく過程を経て、10月からはコンテンツ班とマネジメント班に分かれて実習が進められています。

来年の企画展を行う総合博物館の企画展示室の下見(1)
来年の企画展を行う総合博物館の企画展示室の下見(2)

私が属しているマネジメント班では、まず企画展の「評価」について、佐々木先生からご教授いただきました。「評価とは?」という定義から評価の過程、実際に開催された企画展図録を頼りに、ロジックツリーを作成するなどして、評価に対する学びを深めました。コンテンツ班でも、具体的なレイアウトを含めた展示の構成が熟考されており、その状況を共有しています。

今後は、成果報告会へのアウトプットを各自まとめながら、企画展へ向け、班の活動を続けていく予定です。

次に、参加している中で私自身が感じていることを述べます。
先生たちの懇切丁寧なご指導の元、実習の中で繰り広げられる議論では、いつも新しい刺激をいただき、日々の業務に対するヒントになったり、新しい世界への道標になっています。また、様々な参加者の方との接すること、特に院生や留学生の方など普段あまり出会うことのないみなさんとの共同作業では、新しい風がそよぎ、頭も心もリフレッシュされている気がしています。この場を通じて生まれた参加者のみなさん、先生方とのご縁にも感謝するばかりです。

これからも、様々な点でこのプログラムを自分の糧にしていけたらと考えています。