〈Hokkaido Summer Institute 2019〉「哲学特殊講義:エナクティヴィズム入門動くことで知る、動くために知る― 」 / Philosophy: Introduction to Enactivism: Moving to Know, Knowing to Move開講されました

8月5日~9日の5日間、Hokkaido Summer Institute 2019 / Hokkaidoサマー・インスティテュート2019開講科目のひとつ、Philosophy: Introduction to Enactivism: Moving to Know, Knowing to Move / 「哲学特殊講義:エナクティヴィズム入門 ―動くことで知る、動くために知る― 」が開講されました。講師はメキシコ国立自治大学のトム・フレーゼ先生、自然科学研究機構生理学研究所の吉田正俊先生、そして本学文学研究院の田口茂先生の3人です。

まず田口先生から、本講義ではエナクティヴィズムという、認知科学や神経科学においても重要な哲学的概念を第一線の研究者による講義と実習を通じて体得することが目標との解説がありました。次に参加者の自己紹介で、学部生も大学院生も、それぞれの専攻や参加の目的などを紹介してから、講義が始まりました。

田口教授による説明
講義の目標を説明する田口先生

吉田先生は神経生理学の実験的研究と高度な理論的研究を相互に関わらせながら進めている研究者であり、講義では、視覚や眼の動きと意識との関係等からエナクティヴィズムの考え方を解説しました。

吉田先生による講義
吉田先生の講義

フレーゼ先生はエナクティヴィズムを先導する世界的な研究者であり、認知科学や情報科学の立場から多面的に研究を進めています。映像と音楽の意外な組み合わせが鑑賞者に与える効果や、身近な物体とわれわれとの身体的な関わり方など、体験的にわかりやすい例を用いつつ、エナクティヴィズムの重要性を講義しました。

フレーゼ先生
フレーゼ先生の講義

講義のほか、最終日以外はグループ実習があり、参加者は2つの教室に分かれて複数の実習を行いました。例えば、上下あるいは左右が逆になって見えるゴーグルをかけたときには、相手の手に自分の手を合わせたり紙に文字を書いたりという作業がなかなかうまくいきません。試行錯誤のなかで、視覚から入ってくる情報と身体を動かして得る情報の違いを補正していくことで、現実とのずれが小さくなっていくことを体験することができました。これらの実習で得た知見から、参加者たちは「動く」と「知る」の関係を考察し、エナクティヴィズムに関する理解を深めるとともに、自分自身でその展開を考えていきます。

ゴーグルをつけての実習
実習の様子1
吉田先生による実習
実習の様子2

最終日にはグループごとのプレゼンテーションの中で、各人がエナクティヴィズムを使ったアイデアを発表し、ユニークなアイデアが次々と披露されました。バックグラウンドの違う参加者たちは、自動運転や医療への応用など多彩なアイデアを発表し、「エナクティヴィズムを実践しよう」という意欲に満ちたプレゼンテーションが続き、終了予定時刻まで活発な質疑応答が行われていました。

参加者によるプレゼンテーション
プレゼンテーションの様子1
参加者によるプレゼンテーション
プレゼンテーションの様子2
集合写真
集合写真