卒論の方針が定まったとき、歴史研究の入り口が見えました

プロフィール

山岸 遼太郎さん(大学院文学研究科 修士課程2年)
石川県出身。県立金沢二水高校卒業後、北大学文学部に入学。
小学生の頃から歴史が好きで、特に日本史に興味があった。
文学部では、歴史以外にも日本のことが学べるという理由で日本文化論コースを選択、中世日本史を軸として、東アジア史についても学び2014年3月卒業。古文書から広がる歴史研究のおもしろさに魅せられ、大学院文学研究科に進学。現在は、橋本雄先生の指導のもと、修士論文執筆の準備のため研鑽を積む毎日を送っている。

北大文学部を選んだ理由

小学生の頃から歴史を学ぶことが好きで、特に好きな時代は、鎌倉、室町という中世でした。大学で歴史を学ぶなら、北海道という特徴ある歴史を持つ場所で勉強したいと考えました。調べていくうちに北大文学部には、中世東アジア文化圏の対外関係史を研究されている橋本雄先生がいらっしゃることがわかり、日本史だけではなく東アジア史全般にわたっても学べることに魅力を感じ、ここを選びました。

学部時代はどんな研究を

日本史学講座で学ぶ中で、当初学びたかった東アジア史以外にも、多くの魅力的な研究テーマがあることがわかりました。紆余曲折の後、卒論は「中世越後毛利家の研究」という武士団研究がテーマとなります。きっかけは、「古文書学」の授業で扱った史料との出会いでした。数ある越後毛利家史料の中の一点でしたが、調べていくと次第に様々な疑問点が浮上したため、新潟からフルセットの史料集を取り寄せ、研究を進める中で卒論のテーマが形成されました。卒論研究の過程で解決できた疑問もありますが、疑問が更なる疑問となりより深く調べていく場合もありました。これが研究のおもしろさ、歴史研究の醍醐味だと思います。

文学部に行ってよかったですか

文学部は北大の中でもとても便利な場所にあります。附属図書館や食堂にも近く、また札幌駅へのアクセスも良いという理想的環境です。日本史学講座もまた素晴らしい環境でした。先生方はとても熱心にご指導くださいますし、先輩や同輩はとても仲がよく、アットホームな雰囲気です。研究に行き詰まった時は、お互いに相談しあったり、食事に行ったりして、気分転換や新しい発想を得られるところがありがたいです。

在学中、大変だったことは

研究のコツがなかなかつかめなかったことですね。橋本先生は「調べ学習や感想文ではなく、君たちが何を考えどう読み取ったかという『論』を聞きたい」と指導されます。勉強する中で、知識を学ぶだけでは研究はできないことが次第にわかってきました。じゃあ、どうやったら研究ってできるんだ?と。「まずは十分な知識を得た上で、柔軟に考え疑問を浮かび上がらせていく。」卒論を書いていく過程で、悩み集中して考え抜いた結果、ようやくそのことがつかめました。歴史研究の世界にようやく足を踏み入ることができた心地がしました。

大学院に進学した理由

もともとは大学院進学をあまり考えていなかったのですが、卒論を書いているうちに、歴史研究のおもしろさが少しずつわかってきて、研究意欲が高まりました。ようやく研究の手法がわかってきたのだから、より高度な歴史研究の世界に入っていきたいと強く思いました。進学の決心がつくまで時間がかかりましたが、当時の先輩や同期、後輩たちの応援・支えもあって、大学院進学を決意しました。大学院生は図書の貸出冊数が増えること、1000枚分のコピーカードが支給されるといった特典もあり、研究していく上でとてもありがたいです。

大学院に進学してみて

大学院の授業は、学部にくらべてより専門に特化した高度な授業が受けられます。受講生は全員が本気、目的意識を持って切磋琢磨しています。先輩や同輩の意識の高さ、研究への情熱を強く感じます。日本史学の研究室では、研究する時代や分野が違ってもお互いに助け合い、刺激を受けながら、いい環境で研究できています。

現在の研究の内容

日本史学の研究室で古文書を手にする山岸さん

今は鎌倉時代初期の公武政治史の中で「源実朝の対京政策」を研究しています。卒論の越後毛利家とは、異なるテーマのように見えますが、疑問が更なる疑問となり、それを追いかけて調べていった結果、このテーマにたどり着きました。疑問や関心を広げ、どんどん調べていくことは楽しい作業ですが、修士論文を書いていく上で、広げたテーマをまとめ上げることが必要なので、そこも意識して研究を進めていきたいと思っています。

今後の目標、夢は

今は、納得できる修士論文を仕上げることが一番の目標です。修士課程修了後は博士後期課程への進学を目指しています。将来はどういった形であれ、ずっと歴史研究に関わっていきたいと思います。

後輩へのメッセージ

北大文学部は、学問のるつぼです。多彩な学問分野があり、自分の意思で研究分野を選択できることが文学部の特色であり最大のメリットです。2年生に上がると、研究室での活動が中心となってくるので、1年生のうちから目的意識を持って興味ある授業を受けてみてください。そして、自分に合った専門分野を選んでください。またコースの選択については、履修コース説明会に出席して、選択するコースと卒論指導を受ける講座の違いをしっかり理解することをお勧めします。北大文学部は立地も含め、とても恵まれた環境ですので、みなさんの文学部進学を応援しています。

(2015年9月取材)