プロフィール
阿比留 誠 さん(株式会社KADOKAWA勤務)
大阪府堺市出身。清風南海高等学校卒業後、2015年4月に北大文学部に入学。文学部では、言語・文学コース/映像・現代文化論研究室を選択し、江戸川乱歩作品について研究。2020年3月に卒業、同年4月より株式会社KADOKAWAにて編集者として勤務している。
北大文学部を選んだ理由
高校在学中は怠惰に過ごしていた結果、現役生の時志望していた大学に落ちてしまって、一年間浪人しました。せっかく浪人させてもらうので真剣に勉強と向き合って偏差値を上げ、なんとか北海道大学に合格できました。北海道に対する漠然とした憧れ、また恵迪寮という自治寮が破格の安さで一人暮らしができると知って、北大を第一志望にしました。北海道も恵迪寮も素晴らしい環境でした。
大学に入学してから、本来の怠惰癖が出てしまい、一年目で必修科目のフランス語を落としてしまって大変な思いをしましたが、2年生以降専門の授業が増えてくると、自分の興味あるテーマの授業が増えてきて、真面目に取り組むようになり、危なげなく卒業することができました。
研究室選択時、はじめは別の研究室を選んでいたのですが、やはり映画・小説が好きだったので、どちらも学べそうな映像・現代文化論研究室に進みました(柔軟に変更できるのも文学部の良いところです!)。学部2年生のときに、講談社の公募文学新人賞「メフィスト賞」の受賞作品を読み解いていくという、押野先生のかなり面白い授業を受講しました。そこでミステリにハマり、指導教員も押野先生にしようと思いました。
文学部ではどんな研究を
卒業論文は江戸川乱歩作品について書きました。浅草と乱歩作品の関わりや、乱歩作品が受けていた映画の影響などを書いたような気がします。
北大文学部に行ってよかったですか
文学部以外はあり得ないと思えるくらいに良かったです。
在学中、大変だったことは
冬に自転車が使えなかったこと。正門前の食堂でバイトをしていたのですが、深夜正門前から恵迪寮まで帰るのに、同じ大学内であるにも関わらず徒歩30分近くかかるのです。ある意味、のびのびとした大学生活が送れます。
建物の寒さ対策は万全なので、寒さは意外となんとかなりました。
卒業後から現在までの道のり
自分が所属していた「映画研究会」の先輩方がメディアや出版社に内定をもらっていたので、自分もいけるかもと思い、メディア・出版社にしぼって就活しました。その結果、現在の勤務先に入社しました。はじめは漫画編集の部署に配属され、4年間漫画の編集をした後に、希望を出して文芸編集部に異動しました。
現在のお仕事の内容
文芸編集者として、小説の編集をしています。編集者の仕事というのは、作家さんから原稿をいただき、装丁デザイナーと相談して装丁を決め、本にしていく仕事です。
その本がなるべく多くの人に読まれるように、本の宣伝プランを考えることもします。

文学部で学んだことは今のお仕事に役に立っていますか
押野先生のメフィスト賞を読んでいく授業がなければ、ミステリに触れることはなかったと思うので、かなり役に立っています。中村三春先生の純文学系の授業も今の仕事に直結していますし、応先生の授業では今まで観てこなかった類の映画に触れるきっかけになりました。小川佐和子先生の演習では黒澤映画を真剣に観ました。他にも映像現代文化論研究室の授業はすべて役に立っています。
今後の目標・夢
これまで自分がすごくハマってきたような小説を、自分が編集して世に出したいです!
後輩のみなさんへのメッセージ
小説、映画、歴史、語学などなど自分が好きなものをとことん突き詰めることができる学部です! 自分が高校生の時は文学部は就職に不利などと言われていたような気がするのですが、有利だからと言って興味のない学部に進んで漫然と過ごし、就活で付け焼刃のエピソードを話すより、興味あるものをとことん突き詰めた4年間を過ごすほうが、人として面白みが出て就活もうまくいくと思います。なので心配せずに文学部に進学してほしいです。
(2025年8月取材)