卒業論文への取り組み: Case 5

卒論テーマ「An Analysis of Adversative Usage of English Preposition ON」
(英語前置詞 on の迷惑・不利益を表す用法に関する分析)

松村 大寿 さん
言語・文学コース(令和元年度卒業)

テーマを決める

きっかけは、日本語の「雨に降られた」を英語では“It rained on me”と表すという記述を見つけたことです。同じ事態を日本語では「降られた」という受身、英語では前置詞onという全く異なった形式で表していることに強く興味を引かれ、先行研究があまり進んでないことが判明したので、自分で「前置詞onの迷惑用法」について明らかにしたいという気持ちに駆られました。

情報を集める

6月から9月末までは先行研究の収集・分析を行い、仮説を立てる助走期間。10〜11月には用例の収集と英語のネイティブスピーカーを対象としたアンケート調査を行い、11〜12月で一気に執筆作業を進めました。先行研究の論文にonがもともと「接触」の意味を持つところからいくつかの意味を経て「迷惑」の意味が生じると指摘するものを見つけましたが、その複雑な経緯かつ思弁的な説明に苦慮していたところ、指導教員の野村先生から「それぞれの意味の発生年代を調べてみたら?」というアドバイスをいただいたことで客観的な証拠付けができました。

書き上げる

論文執筆というと自分一人で進めるイメージがありましたが、実際には学生同士の意見交換や先生方への相談が頻繁に行われ、それらが論文の完成度を高めることがよくわかりました。英語学の卒業論文は英語で書くのが慣例となっているため、執筆は想像を超えた大変さでしたが、その分完成した時の喜びはひとしお。見返してみると理由付けやアンケート調査の分析に改善点すべき点があり、さらに扱えきれなかった話題もあるので、今後の大学院での研究のモチベーションとなりました。

指導教員からの評価
言語科学研究室 野村 益寛 教授

卒論の成功のカギはテーマ選びにあり。そのためには日頃から「なぜだろう?」とアンテナを広く張ること。この点でこの卒論は最初から成功が約束がされていました。