加藤 博文

プロフィール

加藤 博文 教授 / KATO Hirofumi
研究内容

文化的多様性の起源について人類史的な視点からの国際共同研究を進めている。また北海道や世界各地の先住民族の考古遺産や文化的景観を取巻く課題解決を目指して、先住民族考古学の理論と実践に取り組んでいる。

研究分野
先住民考古学、先住民文化遺産、シベリア人類史
キーワード
先住民族、アイヌ文化史、先住民文化遺産、文化財返還、シベリア民族史
文学院 担当専攻/講座/研究室
人文学専攻/アイヌ・先住民学講座/アイヌ・先住民学研究室
連絡先

研究室: アイヌ・先住民研究センター(ポプラ会館)1階
Tel: 011-706-4050
Email: h-kato*let.hokudai.ac.jp 
(*を半角@に変えて入力ください)

研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。
関連リンク

Lab.letters

Lab.letters 研究室からのメッセージ
アイヌ・先住民学研究室加藤 博文 教授

誰と共に、誰のために歴史を語るのか
大地からのメッセージに耳を傾ける

歴史の語り口は、一つではありません。先住民考古学では、世界各地の先住民の歴史文化遺産の保護を通じて先住民族の権利や文化遺産の所有権についても議論します。現代考古学に色濃く残る西洋的視点を重視する理論を批判的に検証し、口承伝承のような非物質的文化要素も歴史的物語として活用を試みます。この研究手法は、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどではすでに一般的ですが、日本ではほとんど知られていません。北海道は、先住民族であるアイヌ民族が長く暮らしてきた土地です。アイヌ民族の祖先が残した歴史文化遺産が数多く残されています。大地に耳を傾け、誰と共に、誰のために歴史を語るのか、という新たな枠組みづくりを進めています。

礼文国際フィールドスクール
遺跡でのアイヌ式の祖先への祈り

地域に基軸をおいた研究
国際フィールドスクールに学び世界とつながる

オックスフォード大学など7カ国の大学と連携した国際先住民研究拠点を構築する事業を実施中です。この国際共同プロジェクトでは、海外の大学でのワークショップやセミナーの開催、大学院生や若手研究者の海外研究機関への派遣を行い研究者育成に取り組んでいます。毎年20名を超える海外の大学院生や若手研究者が北海道でのフィールドスクールに集い交流し、共同研究に取り組んでいます。北海道でアイヌ民族の歴史文化遺産の課題を考える先住民研究の道は、世界各地の先住民研究と繋がっており、私たちを地球規模の課題へと導いてくれます。「自分自身の目で見、自分自身の心で感じる人は、とても少ない。」(Albert Einstein)

メッセージ

先住民考古学は、日本ではほとんど知られていない研究領域です。しかし、先住民族の歴史文化遺産は、世界各地に存在しており、地域に限定することなく議論できる研究課題であると言えます。先住民研究は、国際比較研究が不可欠であり、研究室のドアは世界各地の研究機関とつながっています。北海道のアイヌ民族の歴史文化遺産も先住民文化遺産として、その保存・管理・活用を海外との比較研究の中で考えていかねばなりません。

大学での研究の魅力の一つは、まだ見ぬ世界を創り出すことです。研究の蓄積によって新たな研究課題が生まれ、また研究を取り巻く社会状況の変化の中で、新たな研究手法が求められます。共に新たな研究の世界を創生する仲間を国内外から求めています。

研究活動

略歴

北海道夕張市生まれ。札幌大学外国語学部ロシア語学科卒、筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科退学、日本学術振興会特別研究員、筑波大学大学院修士課程地域研究研究科文部技官、島根県立大学、北海道大学大学院文学研究科を経て現職。

主要業績

  • 『いま学ぶ アイヌ民族の歴史』加藤博文・若園雄四郎編(山川出版社)
  • 『先住民族の遺骨返還:海外における先住民考古学としての取り組み』、先住民考古学シリーズ第1集、北海道大学アイヌ・先住民研究センター)
  • 『シベリアを旅した人類(ユーラシアブックレットNo.123)』(東洋書店)
  • 「狩猟対象から儀礼対象へ:シベリアに食と儀礼の起源をさぐる」、高倉浩樹・山口未花子編『食と儀礼をめぐる地球の旅』、(東北大学出版会)
  • “Hokkaido Sequences and the Archaeology of the Ainu” , Encyclopedia of Global Archaeology,  Springer.
  • “Archaeological heritage and Hokkaido Ainu: ethnicity and research ethics”, Eds. C. Hillerdal, A.,Karlstrom and Carl-Gosta Ojara, Archaeologies of “Us” and “Them”: Debating History, Heritage and Indigeneity, Routledge, pp.218-232. 27 Feb 2017

所属学会

  • 北海道考古学会
  • 日本考古学協会
  • 日本シベリア学会
  • World Archaeology Congress
  • International Society for Hunter Gatherer Research

教育活動

授業担当(文学院)

  • アイヌ・先住民学特殊講義
  • アイヌ・先住民学総合特殊講義
  • アイヌ・先住民学特別演習
  • アイヌ・先住民学海外特別演習

おすすめの本

  • 『空間の経験』 イーフー,トゥアン ちくま学芸文庫
    何気ない日常の風景も、人びとの日々の生活の中で構築された文化的景観である。私たちもまた、環境や空間の中で形成される意味では景観の一部を構成しているといえよう。