企画展示「サイロ雪冠り」

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書香の森の企画展示が更新されました。今回は、工学部所蔵の新穂栄蔵の作品です。

展示作品

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サイロの雪冠り(キャンパス、油彩、1986年、38×45.5、北大工学部所蔵)

冷気を含んで青く澄んだ空を背景に、雪が積もった2基の大きなサイロと牛牧舎を画面いっぱいに描いた、小ぶりながらも明快で伸びやかな作品である。雪の白い絵具は厚く塗り重ねられ、重たい雪の立体感を表すとともに、その雪に落ちた影を空の青よりも深い青にすることで、画面全体にまばゆく反射する陽の光を満ちあふれさせている。その明るい陽光の下で、サイロと牛牧舎のそれぞれ赤と緑の屋根の色彩の対比もいっそう鮮やかさを増している。おそらく札幌農学校第2農場を描いたものと思われるが、ここには1909年に札幌軟石でサイロが造られたあと、1916年に隣接してコンクリート製サイロが増設されている。その両者の材質を描き分け、また石の継ぎ目は絵具を塗った上から引っ掻いた線描で表現している。1969年、第2農場は国の重要文化財に指定され、1975-77年に実施された修復工事の際にコンクリート製サイロは解体撤去された。

新穂は、サイロの歴史や材質、機能、形態、構造力学などを解説した『サイロ博物館』(北海道大学図書刊行会、1995年)のまえがきで、「北海道の風物詩はなんといっても雪だ。冬景色だ。私は絵が好きで、中学二年生から油絵をやっている。サイロの雪景色は大好きなモチーフで、何度も描いた。そうしているうちに、ある素晴らしいことに気づいた。それは、大雪の朝や吹雪のあと、サイロの頭の雪帽子、雪冠が絶妙な造形を生むということだ」と記している。

新穂 栄蔵(しんぼう えいぞう、1911−1998)

新穂 栄蔵は1911(明治44)年、山形県鶴岡市生まれ。旧制第二高等学校から東京帝大工学部建築学科を1938年に卒業。陸軍航空隊の兵役を経て戦後、警察予備隊、陸上自衛隊に勤務し、南恵庭駐屯地司令として1959年に来道、1964年陸将補で退官する。その後、北海学園大工学部で教鞭を執り、1977年まで第4代工学部長。専門は積雪寒冷地の建築、寒地住宅の研究。1978年に公益社団法人・日本建築積算学会北海道支部の初代支部長に就任。日本水泳連盟上級指導員、恵庭水泳協会や恵庭美術協会の会長などを歴任し、その波乱万丈、多芸多才な活躍ぶりで、恵庭の「スーパーじいさん」として親しまれていた。主な著作は『サイロ博物館』の他、『ストーブ博物館』(北海道大学図書刊行会、1986年)、『ふんどしの話』(JABB出版局、1990年)など。

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作品前の展示ケースには、新穂栄蔵の著作が展示されています。

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