【学芸リカプロ】「企画立案スキル(4) 1から学ぶファンドレイジング」11/26 奥山 大介氏の講義レポート

1から学ぶファンドレイジング
講師:奥山 大介 氏(日本ファンドレイジング協会認定ファンドレイザー)

北海道立帯広美術館 野田 佳奈子

今回の講義では、日本ファンドレイジング協会認定ファンドレイザーの奥山 大介氏より、ファンドレイジングについての基本的な考え方や心得についてお話しいただきました。

ファンドレイジングで重要なことは、社会をより良いものとすることを目標に、受益者のために支援者からの想いをお預かりすること、そして支援者に満足感を得てもらうことであると、奥山氏は述べられました。集めた資金は、受益者が課題を解決するためのものであるだけでなく、支援者の社会貢献を叶えるためのものでもあるということを念頭に置かねばならないと感じました。

そして実際にファンドレイジングを行うにあたっては、自団体がどんな社会のために活動し、どのような団体を目指しているのかを洗い出した上で、課題を見据えることが必要になります。寄付金を集める方法には、会員会費や募金箱、クラウドファンディング、遺産寄付など様々な手段がありますが、それらの性質やメリット、デメリットを考慮すること、そして支援者についてよく知ることで、効果的なファンドレイジングが実現されます。

“資金集め”というと、寄付や助成金の獲得方法など具体的な手段について注目されがちですが、自団体の現状を改めて振り返り、目指すべき方向性を確認する作業があってこそ、支援者の理解が得られる活動となることを、講義を通じて学びました。それは言い換えるならば、自団体がいかなる理念のもとで、地域や社会とどう結びついていくかを考える作業でもあります。そういった視点は、ファンドレイジングはもとより、事業運営全般に必要なものであると感じました。

受講生 中島 香矢

本講義では、日本ファンドレイジング協会認定ファンドレイザーの奥山 大介氏より、ファンドレイジングとは何か、その準備や実践、行動規範や倫理観についてお話いただきました。

ファンドレイジングとは社会をより良いものにするための活動です。具体的には、何か困っている人や団体(受益者)のために、何かしたいと思う人(支援者)から寄付や会費、助成金、ボランティアなどを集めて最大限の効果を生み、その結果を支援者にフィードバックして満足感や仲間感を与えることだと、奥村氏は整理します。そして、この活動のなかで、実際に支援者とのコミュニケーションをとるのがファンドレイザーです。

ファンドレイジングはファン度レイジングとも言われ、単にお金を引き出すことではなく、ファンの度合いをあげて共感を引き起こすことが大事であり、そのためには、どんな社会のために、どんな団体を目指すのかを明らかにする作業が重要とのこと。ミッション・ビジョンの棚卸やギャップの把握、3年計画の策定など、実際にワークを行いました。

事業収入、寄付、助成金のバランスが重要だということや、戦略的に寄付を集めるためのファンドレイジングサイクル、寄付者の関心事や興味を把握するためにデータベースを作って活用することも教わりました。「ファンに寄付者になってもらう、ファン以外に寄付者になってもらう、寄付者をさらにファンにする!」という3ステップを説明された際には、奥村氏の普段心がけておられる友人とのやり取りをお話し下さり、いただいたものをどのように活用しているかの報告感謝が、日常生活でもなされていることに感銘を受けました。

また、寄付や協力を断られた先にもその事業なりイベントが終わった後、結果の報告をして、話を聞いてくれたことに感謝することが大切で、そのことが次の協力に繋がるかもしれないと聞き、断られてから始まるファンドレイジングの可能性も知りました。そして、ファンドレイザーに求められる5つの能力のうち、「誇りと倫理を守る姿勢・誠実さ」は全員が共有しなければならないが、「知識とスキル」「対人コミュニケーション能力」「マネージメント・コミュニケーション能力」「実行・実践力」は必ずしも一人で網羅する必要はなく、チームで行えばよいと聞き、ファンドレイジングはお互いに誠実な仲間感がキーワードになると感じました。