「プラス1ピース読書会Vol.17」開催されました

2024年10月24日、文学研究院「書香の森」にて第17回「プラス1ピースの読書会」が開催されました。今回は、小椋彩准教授(欧米文学研究室)に、「オルガ・トカルチュクの世界」と題してお話しいただきました。

小椋准教授が翻訳したトカルチュク作品

小椋准教授は、2018 年度のノーベル文学賞を受賞したポーランドの作家オルガ・トカルチュクの主要作品を翻訳していいて、トカルチュク自身とも交流があります。

オルガ・トカルチュクとの2ショット写真を見せながら、トカルチュクとのエピソードを紹介

最初にトカルチュク作品との出会いについてお話があり、トカルチュクの来歴について紹介いただきました。さらに1989年以降のポーランド文学とポーランドの歴史との関係について解説がありました。18世紀末より分割占領が繰り返されたこと、戦後の社会や人々の考え方の変化がポーランド文学に影響を与えているそうです。

戦争で国境の移動が繰り返されることがポーランド文学に影響を与えている

今回のプラス1ピースのキーワードは「きのこ」。
トカルチュクの作品には「きのこ」のモチーフがしばしば出てきます。きのこがもたらす意味、きのこの「在り方」について解説いただきました。

さらに世界各地にトカルチュク作品の翻訳者がいて、翻訳者のネットワークについて紹介がありました。ポーランド文学世界翻訳者会議や、Facebookのコミュニティを通じて、翻訳者の密なネットワークが形成されています。翻訳者同士でトカルチュク小説の解釈について、議論し合うこともあるそうです。また現在、政治的に難しい状況にあるウクライナやベラルーシの翻訳者との交流についても紹介いただきました。