社会人になって増した学ぶ意欲のベースは、文学部での幅広い学びの環境から

プロフィール

西村 真登 さん(アクセンチュア株式会社 勤務)
新潟県新発田市出身。新潟県立新発田高等学校卒業後、北大文学部に入学。文学部ではサッカー部の活動と両立しながら人間システム科学コース*の行動システム科学講座に進み、行動経済学を学ぶ。2013年3月に卒業。2013年4月より株式会社朝日広告社に入社、2016年5月にアクセンチュア株式会社に入社し、現在は、データ分析、マーケティングなどの支援業務に従事している。

*2019年4月の改組により、人間システム科学コースは人間科学コースに、行動システム科学講座は行動科学研究室と名称変更しました。

 

北大文学部を選んだ理由

生まれてからずっと新潟県新発田市に住んでいたので、大学はとにかく県外に出たいと思っていました。第一志望は東京の大学でしたが、後期日程の出願先を決める時、たまたまクラスメイトが持っていた北大のパンフレットを見て、キャンパスの風景に惹かれ北大に出願しました。文学部を選んだのは、他の文系学部より幅広い分野を学べそうだと思ったからです。結局、第一志望は不合格、運良く北大から合格をいただいたため、北大進学を決意しました。
高校時代から漠然と「社会のしくみ」というようなことに興味があったため、研究室を選ぶ際には、社会システム科学講座(現在の社会学講座)と行動システム科学講座(現在の行動科学講座)のどちらにしようか迷いましたが、社会学ではなく社会心理学のアプローチの方が自分の嗜好により近いと感じたので、行動システム科学講座を選びました。

文学部ではどんな研究を

高橋泰城先生を指導教員として、行動経済学の研究をしました。中でも、泰城先生の研究分野でもある異時点間の選択行動について主に学びました。卒論は「時間割引における金額効果の心理物理学的分析」という題目で、将来の報酬に対する割引率と報酬受け取りまでの主観的な待ち時間の関係性を検証しました。

北大文学部に行ってよかったですか

幅広い研究テーマを持った教授陣の講義を受けることができる環境は今思い返すと非常に魅力的な環境だと思います。全学教育の授業でしたが、山本文彦教授の世界史の講義は時代背景や周辺情報などの補足説明が詳細で、高校の授業とは違って立体的に歴史を学んでいる実感を得られてとても印象に残っています。

在学中、大変だったことは

卒論執筆自体は、泰城先生やゼミの先輩方のサポートのおかげもあり、ものすごく苦労した記憶はないですが、逆に言うともっと自分を追い込んでゼミ活動に注力すればよかったと今では思います。

長野旅行中に立ち寄った宮坂醸造にて。よく名前を真澄と間違えられます…。

大変だったことというと肉体的にも拘束時間的にもどうしても体育会サッカー部の活動になりますね。部活動の優先順位を常に高くしたまま大学生活を送ってしまったことはもったいなかったなと社会人になってから感じることが多いです。せっかく恵まれた環境で学べるチャンスがあったのに、学びのチャンスを最大限に活用できなかったなと感じています。
もちろん、サッカー部に所属して得たものも多いです。学生主導の部活運営を体験したことで、組織の一員としてのふるまい方やマネジメントについて学べましたし、チームメイトやOBとの間に築かれた強い絆の素晴らしさも感じています。現在も北大サッカー部OB主体の社会人チーム“東京北大倶楽部”でプレーしています。サッカー部に入らなければ「都ぞ弥生」を知らないまま卒業したと思うので、サッカー部に入ってよかったなと思います。

卒業後→現在までの道のり

2013年4月に株式会社朝日広告社に入社しました。ここでは新聞社との広告料金の交渉や出稿日程調整などを主に行いました。就職後2年目あたりから、転職を考え始めました。以前から興味を持っていたスポーツ業界や、自分のビジネススキルを伸ばすことができそうなコンサルティング業界を中心に転職先を検討しました。その中で、アクセンチュア株式会社に内定をいただき、2016年5月に第二新卒として入社しました。

現在のお仕事の内容

主にメディア系の企業に対して、データ分析、業務改善、マーケティングなどの支援を行っています。クライアントが持つデータを分析する際に、機械学習などを用いることも多いため、ゼミで学んだ統計学の知識や仮説検証のステップが生かされていると思います。

現在は、機械学習を用いて営業効率の向上を図るプロジェクトに従事しています。

大学で学んだことは今のお仕事に役に立っていますか

卒論執筆にあたり、質問紙の作成からR(統計ソフト)でのモデルフィッテイングや統計検定、英語論文の参照など、一連のステップを経験できたことは現在の業務でも少なからず活きていると感じています。特に統計学の基礎を学べたことと、仮説を立ててその検証を行う過程を経験できたのはよかったと思います。
逆にもっと学んでおいたらよかったと思う点は、3つあります。ひとつは、ミクロ/マクロ経済学、機械学習や自然言語処理など幅広いデータ分析手法などで、卒論執筆に直接必要でない分野であっても学んでおけば今の業務に役立てられたと思います。もうひとつは、英語を話せるようになっておけばよかったということ、そして3つめは、とにかく本をもっと読んでおけばよかったということです。特に歴史や哲学分野の本を読んでおけばよかったと、社会人になった今、強く思います。

今後の目標・夢

広告代理店、コンサルティングファームどちらも企業から企業にサービスを提供する形のビジネスなので、次は、消費者一人ひとりの顔が見えるような仕事をしたいと思っています。具体的な業種や分野は絞りきれていないですが、現在の会社でビジネススキルを伸ばしながら、視野広く世間を見ながら「これだ」といえる仕事を見つけられればと考えています。

後輩のみなさんへのメッセージ

幅広い分野を学ぶチャンスがある学部だと思うので、自身の専攻以外も(他学部の講義含め)どんどん学ぶことをお勧めします。社会人になっていつどのような知識、経験が役立つかはわからないし、学んでおいて無駄なことはひとつもないと思います。
(プログラミングや簿記などのスキルは必要になってから学べばある程度はなんとかなると思うので、せっかく文学部にいるのであれば、文学、歴史、心理学などの“学問”に大学のうちにどっぷりつかる経験をしておいたほうがいいとおもいます!自分がやり切れなかったと後悔しているので…)

(2019年8月取材)