企画展示「舘 英雄の作品」

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書香の森の企画展示が更新されました。今回は、薬学部より舘英雄の作品をお借りしています。

展示作品

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北大銀杏並木(キャンバス、油彩、1991年、59×72cm、北大薬学部所蔵)

本作品は、《北大銀杏並木》と題されているものの、画家の視線は銀杏並木の後ろに控える薬学部の建物にまで向かっている。マチエールに深みが乏しい感はあるが、その伸びやかで軽やかな筆触、外連味のない筆づかいは、明るくコントラストの鮮やかな色彩と相まって、北大の秋の情景を華やかに描き出している。

舘 英雄(1935-2012)

舘 英雄は茨城県常陸太田市生まれ。水戸一高、茨城大学経済学部を卒業後、製薬会社のエーザイ株式会社に入社。定年退職まで長く人事畑を歩み、特に研究所の人材を確保するために、全国の薬学部を訪れて教員と面談し、学生を採用する業務に従事していた。そのかたわら、子供が小学生の頃に絵画教室に通い始めたのを契機に、自身も30才を過ぎてから趣味として松木重雄・葛西四雄に師事して風景画を描き始める。よほど絵心があったのだろうか、趣味の範囲を遙かに超え、全国公募団体である示現会会員に推挙されるなど40年以上も絵筆をふるい、札幌から熊本に至る全国で33回に及ぶ個展のほか、数々のグループ展に参加している。北海道にも頻繁に足を運び、特に小樽、積丹方面にはことさら愛着を持っていたようである。

本作品は薬学研究院長室に飾られているが、会社員時代に培った人脈を通じて、全国の旧帝国大学薬学部の教授会会議室には、舘が寄贈した大作が掲げられているという。文章にも秀で、川越ペンクラブ同人。『青春の軌跡』『故郷の原風景、父母に捧げる追憶』『歌のある風景』『詩のある風景』などを自費出版している。

作品前の展示ケースには、舘英雄の著作が展示されています。

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『詩のある風景-舘英雄画文集』(講談社出版サービスセンター、2007)
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『青春の軌跡』(タケハヤ㈱、1995)