「信の哲学講演とシンポジウム―」開催のお知らせ

ポスター

信の哲学―講演とシンポジウム―

  • 日時: 2019年7月25日(木曜日)15:00-19:30
  • 場所:北海道大学ファカルティハウス、エンレイソウ第一会議室

趣意書

一方、科学において人類はナノスペースから宇宙空間まで基本的に観察可能なものを対象とし知見を今日まで蓄積している。他方、人類は有史以来不可視な神を求めてきたそしてその特徴故に翻弄もされてきた。神について何か確かなことを語りうるのであろうか。直接観察による知識を持ちえない神について、ひとは心魂の認知的かつ人格的態勢、行為である信仰により神への接近を試みてきた。かくして、恐怖等パトスに基づく迷信や非理性的な狂信とも異なる正しい信・信仰について確かなことを語りうるのかが問われる。主催者は『信の哲学―使徒パウロはどこまで共約可能かー』(北海道大学出版会 2018)においてパウロの信仰義認論や予定論に対しアリストテレスの言語哲学、心身論の知見に基づき哲学的分析をほどこした。そこでパウロの議論は「神の前の自己完結性」と「ひとの前の相対的自律性」に理論(ロゴス)上分節され整合的であり無矛盾であると論じた。さらに、神の前とひとの前を媒介する聖霊の働き(エルゴン)についても一つの整合的な言語網を析出し、聖霊におけるロゴス上の分離とエルゴン上の不分離について議論を展開し、ロゴスとエルゴン(理論と実践)の相補性の議論が神を論じるにあたり不可欠であると論じた。誰にとっても信・信仰が真偽(事実)に関わる認知的な卓越性と善悪(価値)に関わる人格的な卓越性双方を統一する心魂の根源的態勢であると論じた。本講演とシンポジウムはこの信の哲学をめぐって徹底的に吟味しあう。関心の方々の参加を心から歓迎します。

講演 「信仰と理性が出会うとき」

久下倫生 (マラナ・タ教会牧師、工学、医学博士)

略歴:1950年11月14日、大阪市生まれ。京都大学工学部卒業、工学研究科高分子化学専攻修了。専門は基礎医学で生体適合性材料の開発、診断システムの開発。糖尿病の新しい診断システム、B型肝炎ウイルスの標準化は現在も広く使われている。ハーバード大学血液学研究所、オクラホマ大学神経生理学研究所との共同研究。米国分子生物学会、神経生理学会に所属。高分子材料の医学への応用で工学博士(京都大学)、ストレスによる生体反応の研究で医学博士(名古屋大学)。

シンポジウム 信の哲学―アリストテレスとパウロの対話

  • 高橋久一郎(千葉大名誉教授)「信と知の間に何があるかーアリストテレスと千葉惠の対話にそくしてー」
  • 佐々木啓(北海道大学教授)「信の哲学と解釈学」 
  • 久下倫生「『信の哲学』がもたらすエキュメニカルなインパクト」
  • 千葉惠(北海道大学特任教授)「応答」

全体討論

資料請求・お問い合わせ
  • 千葉惠(哲学倫理学研究室 特任教授)
    Email: k-chiba@let.hokudai.ac.jp
主催

科研基盤研究C(代表 千葉惠)
『信の哲学』英語版作成を介した負の知的遺産を克服するパウロの言語と心身の哲学