書香の森の企画展示を更新しました。この展示は、久井貴世准教授(博物館学研究室)のコレクションを主な素材として、歴史・文化的な観点からたばこパッケージを紹介するもので、多様な側面をもつたばこという存在を文化史的に捉えなおし、たばこパッケージをとおして戦争、意匠としての動植物の象徴性、記憶について考えることを目的としています。久井准教授と博物館学研究室の学生が企画・制作しました。
記憶を刻むたばこパッケージ―金鵄と鳩がみつめた世界―
はじめに
たばこは各々の時代の象徴であり、世相を映す鏡でもある。本展示では戦争と、意匠としての動植物の象徴性、そして記憶という観点から、特にたばこの“パッケージ”に着目する。
たばこは実に複雑な存在である。近年はその存在の是非が厳しく問われる一方、歴史・文化的に重要な役割を果たしてきたことも決して否定はできない。たばこが人々の記憶や思い出と結びつくこともまた事実であり、そこには心温まる懐かしさも、苦々しい嫌な記憶も含むことがある。本展示は喫煙を推奨したり、反対に批判したりするものではない。このような多様で複雑な側面をもつたばこという存在を、文化史的な観点から捉えなおすことを目的とするものである。
本展示では、たばこをめぐる世界をみつめてきた「金鵄(きんし)」と「鳩」をシンボルとして、その目を借りながら、たばこパッケージに刻まれた時代と社会と人々の記憶を振り返っていく。そこには、戦後80年を迎えた本年に改めて考えるべき戦争とのつながりもみえてくる。たばこを吸う人も吸わない人も、好きな人も嫌いな人も、まずはまっさらな気持ちで、いつもとは違ったまなざしでたばこをみつめていただければ幸いである。
本展示の開催にあたり、倉敷市立自然史博物館、たばこと塩の博物館には資料や画像の利用に際して多大なるご協力をいただき、また、多くの皆様にご指導、ご協力、ご高配を賜りました。この場を借りて、心より御礼申し上げます。
展示会期
- 2025年9月5日(金)〜12月26日(金)
平日 9:00〜17:00
一般の方も自由にご覧いただけます。
展示会場
- 文学研究院 玄関ホール横 書香の森展示スペース
企画展示関係者
- 主催:北海道大学大学院文学研究院
- 監修:久井貴世[博物館学研究室]
- 企画:久井貴世[博物館学研究室]
張元昊[博物館学研究室博士後期課程2年]
樋口凜太郎[同1年]
池田圭吾[博物館学研究室修士課程2年]
上田輝[同1年]
畑山優香[同1年]
多加喜太輔[博物館学研究室学部4年] - 協力:書香の森企画ワーキンググループ
(浅沼敬子[芸術学研究室]、今村信隆[芸術学研究室]、
橋本雄一[地域科学研究室]、久井貴世[博物館学研究室]、
森岡和子[研究推進室])
卓彦伶[博物館学研究室] - 印刷デザイン:張元昊[博物館学研究室博士後期課程2年]
お問い合わせ
- tabacco2025@let.hokudai.ac.jp
関連イベント
なぜたばこパッケージ?資料はどのように集めた?なぜ蝙蝠(ゴールデンバット)は金鵄に、チェリーは櫻に改名された?平和の象徴である鳩が戦争中にも登場した理由とは?等々、企画代表者の久井准教授が展示への想いや葛藤、こぼれ話を交えながら、文化史的な観点からたばこパッケージを語ります。
ギャラリートーク
- 日時:(1) 2025年10月23日(木)12:15〜12:45
(2) 2025年11月17日(月)17:00〜17:30
(3) 2025年12月6日(土)13:30〜14:00 - 会場:文学研究院 玄関ホール横 書香の森展示スペース
講演会「たばこパッケージからみる戦争、動植物の象徴性、そして記憶」
- 日時:2025年11月9日(日)13:30〜15:00
- 会場:北海道大学オープンイノベーションハブ エンレイソウ メインラウンジ
関連イベントの詳細は関連リンクよりご確認ください。