積み重ねた経験、広がった関心を開発の現場へ

プロフィール

村山 紗英 さん(株式会社NTTデータMSE 勤務)
北海道札幌市出身。北海道立札幌北高等学校を卒業後、2017年に北海道大学文学部に入学。文学部卒業後、2021年に北海道大学文学院に入学。大学院では心理学講座に所属し、「”移動”が創造性に及ぼす影響」に関する研究を行う。2023年3月に修了し、4月から株式会社NTTデータMSEに就職。現在、SEとして車載ソフトウェアの開発を担当している。

北大文学院(心理学研究室)を選んだ理由

学部時代の研究経験を通して心理学研究の面白さを知り、大学院でも続けたいと思ったためです。目には見えない人間の特性について、先行研究や日々の気づきから仮説を立て、実験を通して明らかにしていくという過程にわくわくしました。また、心理学が人間にフォーカスする学問であることから、その研究によって自分への理解が深まったり日常風景の見え方が変わったりするのが楽しいと感じていました。

河原先生の研究室を選んだのは、まずは研究テーマ(注意など)に興味があったこと、また、河原先生の下であれば一緒に面白い研究ができそうだと感じたこと、先生や研究室の先輩方から学べることが多いと感じていたことが理由です。

大学院ではどんな研究をしましたか

「”移動”が創造性に及ぼす影響」について研究していました。歩いたり階段を昇り降りしたり、電車に乗ったりといった移動を伴う行動が創造性を高めるという先行研究があり、体を動かすことが重要なのか、それとも移動するということに意味があるのかの切り分けを目的に実験を行いました。実験参加者の方には、VRでの車の運転中や本物の自転車の走行中に創造性課題を解いていただき、その結果をもとに仮説検証しました。

卒論までは注意の個人差をテーマとしていましたが、創造性研究についても興味があったので思い切って修論からテーマを変えました。

大学院に行ってよかったですか

行ってよかったです。

一番の理由は、自分でも面白いと思う研究ができたためです。やりたいことをやらせていただき、研究テーマを変えたことについて後悔はしていません。またその他に、じっくり考えて結論を出す力、意見を述べる力をのばせたことや、研究室メンバーと沢山の楽しい時間を過ごせたことも大きな理由です。研究に向き合おうとすると辛いことも多かったですが、良い思い出の方が印象に残っています。

文学院修了時、研究室の先輩方との記念写真。研究室メンバーとの楽しい時間は、今の自分を支える貴重な思い出です。

在学中、大変だったことは

修論の研究テーマがなかなか思いつかず苦労しました。もともと私がアイデア出しが苦手なのもありなかなか思いつかず、思いついたとしても既に検証済みという状況で、行き詰まりました。そんな中、日々の疑問を出発点として仮説を立てるといった様々なアプローチ方法を河原先生にアドバイスいただき、無事決めることができました。今思えば、このとき良いアイデアが出ず悩んだ経験が、修論テーマに繋がったのだと思います。

修了後から現在までの道のり

修士課程修了後、株式会社NTTデータMSEに入社し、今も同社に所属しています。

就活についてはM1の8月から3月頃まで実施していました。新しいものを作るということに興味があり、最初はメーカー系からテレビ局まで幅広い業界を見ていましたが、これからの時代が転換点となる車載ソフトウェア開発の業界に身を置き、ものづくりを一から学ぶことにしました。

現在のお仕事の内容

SEとして車載ソフトウェアの開発を行っています。

ゴリゴリの設計、実装、検査を担当することもあれば、OEM(自動車メーカー)やソフトウェアベンダー(自社製アプリのメーカー)の方たちとのコミュニケーションを担当することもあります。最近は強みである英語力を活かし、海外ソフトウェアベンダーのアプリの仕様、設計管理、交渉、窓口などをメインに担当させていただいています。アプリの仕様や設計について理解し、いち開発者としてそれらを批判的に検討、時にはベンダーを説得し変更してもらったりするという、私にとって少しチャレンジングな仕事ですが、やりがいを感じています。

得意な英語を武器に、海外ベンダーとの交渉も担当。写真は、米国出張時のもの。

大学院で学んだことは今のお仕事に役に立っていますか

役に立っています。

開発職ということで、日々技術が更新されたり元々情報系出身でなく知識不足だったりと知らないことが多い世界ですが、よく調べて、考えて、試すという院生時代に積み重ねた過程や、納得するまで根気強く向き合うという態度がそれとなく身についていて、それに助けられているように感じます。

あとは仕事に限らない話ですが、院生時代を経て面白いと感じるものの領域が広がったことで、人生がちょっと楽しくなっているのではという気がします。

今後の目標・夢

まずは今の開発領域でもっと経験を積み、自身の関わるソフトウェアの品質担保、向上に貢献できる実力を持った開発者になりたいです。ゆくゆくは、身につけたスキルを活かして他の領域にも挑戦し、色々なものを作ってみたいです。

後輩のみなさんへのメッセージ

文系の院進ということで不安をお持ちの方もいるかも知れませんが、研究をやりたい、もっと知りたい、じっくり考えてみたいという方であれば進学しても後悔しないと思います。興味の追求に没頭できるのは院生の特権です。また、苦しくも楽しかった院生時代は、確実に今の私の身になっているし、かけがえの無い時間になっています。

就職が2年遅れても、特にディスアドバンテージは感じていません。
進学したい気持ちがあるなら、ぜひチャレンジしてみてください。

(2026年10月取材)