プロフィール
- 研究内容
日本語の文法(特に修飾現象、品詞体系、助詞、時制と相、モダリティ等)と語用論(談話標識、世界知識、記憶モデルと文脈、ダイクシス、意味計算)、言語学基礎理論・社会言語学・心理言語学
- 研究分野
- 言語学、日本語学、語用論
- キーワード
- 言語学、語用論、日本語学、統語論、社会言語学
- 文学研究院 所属部門/分野/研究室
- 人文学部門/言語科学分野/言語科学研究室
- 文学院 担当専攻/講座/研究室
- 人文学専攻/言語科学講座/言語科学研究室
- 文学部 担当コース/研究室
- 人文科学科/言語・文学コース/言語科学研究室
- 連絡先
Email
研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。- 関連リンク
Lab.letters
「ちょっと=少量」ではない
言外を読み取る日本語の深層へ
客「○○という本はありますか?」店員「ちょっと…」。日本語を母語とする者なら、この会話で店員が言外に「ありません」と答えていることがわかります。話し手が”言わない部分”を聞き手が自発的に読み取っているからです。我々が発話していることばのやりとりは、あくまでも氷山の一角。互いにどう読み取っているのか、そこにどのような規則性や論理性があるのかを明らかにしていくのが、語用論の面白さです。
地方方言が部分的に標準語化して生じる「ネオ方言」や、「なう」に代表されるIT社会独得の表現など研究対象は無尽蔵。表立って使われることばを入口に日本語の深層に迫ります。
二重敬語は「間違い」か?
自力で考える積極性を養う
よく”言葉の乱れ”として挙げられる「ご試着なさいますか」などの二重敬語は、本当に「間違い」でしょうか。私はその背後に「より丁寧に表現したい」という話し手の意図を感じ、「間違いだ」と決めつけるのこそ誤りだと感じています。ことばはつねに”揺れるもの”。必要とされる表現が残り、さらに細かく発展していくものなのです。
豊かな研究生活を送るには、本人の自主性が一番の推進力。もちろん指導教員として学会発表や論文投稿での後方支援も惜しみませんが、本人の積極性に勝るものはありません。言語学の分析を通じて論理的な思考力を磨き、物事を深く理解する力を養っていきましょう。
(聞き手・構成 佐藤優子)
メッセージ
現在の日本語の研究は、言語学のいろいろな研究方法を背景にさまざまな広がりを持ち、人文科学系の諸学問のみならず、自然科学や社会科学と連携した研究も行われています。私は、主に現代日本語を対象に研究をしていますが、日本語を客観的に見るために、他の言語にも強い関心を持っています。ことば、特に自らの母語に関心を持つことは、珍しいことではありませんが、研究の面白さは、言語学などの科学的知見を基礎に行うことにあります。これには、言語学の基礎知識を学ぶというちょっとしたハードルもありますが、先入観にとらわれずに虚心坦懐にことばを眺めることによって、意外なことばの一面が見えて来ます。
世の中でいう「知識」にはいかに多くの思い込みが巣くっているかがよく分かるでしょう。ことばは何でもいいのです。自分の方言でも、若者ことばでも、江戸時代のことばでも、ドラマの日本語でも、赤ん坊が覚えていくことばでも、日本人が間違える英語でも、中国語と対照する日本語でも、変化していくことばでも、メールの文体でも、研究の材料には事欠きません。外国語と日本語を比べてみることからも面白い発見がたくさんあります。大学院には、日本語教育に携わる者、日本語の研究を行う留学生、言語学的な研究を深めたい学生など、いろいろなバックグラウンドを持つ人たちが在籍しており、さまざまな刺激を受けながら研究を続けることができます。私たちの「北大日本語研究号」の乗組員になりませんか?
研究活動
略歴
東大文学部言語学科卒、同大学院人文科学研究科(言語学専攻)修了、博士(文学)、東洋大学短大非常勤・富山大人文学部助教授、北海道大学文学部助教授、准教授を経て現職。
主要業績
- 『日本語文字論の挑戦』(勉誠出版・2021年)
- 『新しい語用論の世界』(研究社・2020年)
- 『動的語用論の構築へ向けて 第2巻』(開拓社・2020年)
- 『はじめての語用論』(研究社・2020年)
- 『日本語語用論フォーラム 3』(ひつじ書房・2020年)
- 『言語学講義』(筑摩書房・2019年)
- 『日本語語用論フォーラム 2』(ひつじ書房・2017年)
- 『語用論研究法ガイドブック』(ひつじ書房・2016年)
- 『基礎から学ぶ音声学講義』(研究社・2016年)
- 『情報科学と言語研究』(現代図書・2016年)
- 『日本語語用論フォーラム 1』(ひつじ書房・2015年)
- 『日本人も悩む日本語』(朝日新聞出版・2014年)
- 『日本語統語特性論』(北海道大学出版会・2013年)
- 『日本語修飾構造の語用論的研究』(ひつじ書房・2003年、第23回新村出賞受賞)
- 『日本語文法ハンドブック』(研究社・2006年)
- 『ことばの科学(学びのエクササイズ2)」(ひつじ書房・2007年)
- 「日本語における数量詞遊離と動作量の意味的関係」(加藤重広・吉田浩美編『言語研究の射程 -湯川恭敏教授記念論文集-』 ひつじ書房、pp.23-42、2006年)
- 「線条性の再検討」(峰岸真琴編『言語基礎論の構築の構築へ向けて』 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所、pp.1-25、2006年)
所属学会
- 日本言語学会(委員・大会運営委員・夏期講座委員)
- 日本語学会(査読委員)
- 日本語文法学会(編集委員)
- 北海道大学国語国文学会(評議員)
- 日本語用論学会(学部査読委員)
- 社会言語科学会
- 計量国語学会
- 日本記号学会
教育活動
授業担当(文学部)
- 言語情報学概論
- 国語学概論
- 国語学
- 国語学演習
- 音声学
授業担当(文学院)
- 総合社会情報論
- 日本語学特殊講義
- 日本語学特別演習
- 教養深化特別演習(基礎): 文章作成と表現の技術
授業担当(全学教育)
- 主題別科目「思索と言語」
おすすめの本
- 金田一春彦『日本語(新版)』(上下二巻・岩波新書・780円)は、日本語を客観的に見つめ、そのおもしろさに気づかせてくれます。ここから、自らに関心に従って研究テーマを見つけていくことができます。