内容紹介
近年、「檄を飛ばす」「流れに棹さす」「すべからく」など本来の意味と違う意味で使われているものが多くあります。こういう現象を言語学ではどう考えるのか、間違いはなぜ起こるのか、などについて、専門的見地からわかりやすく論じています。変化なのか間違いなのかはそれほど簡単に判断できるわけではなく、なかなか複雑で、悩ましい問題なのです。
著者からのコメント
日本語の間違いに関する本はすでにたくさんあります。ただ、その多くは、誤りと単に断じるだけで、なぜ誤りなのかを詳しく論じてはいません。本書は、変化がなぜ誤りと見なされるのか、誤りと見なされているのに使われ続け、拡大する理由はなにかに光を当てています。そもそも、言語学では、「記述的な態度」を重視するので、世間一般でいう誤りかどうかよりも、今何が起きているのか、その変化が起きた理由は何か、といったことの方が重要なのです。本書は、間違いにも誤解にもそれなりの理由があるという態度で論じています。日本人はことばの誤りに対して過敏に反応することが多く、正誤をはっきりさせようと躍起になります。事実を虚心坦懐に見るのが言語学の基本的方法論なので、クールに柔軟に問題を語ります。
外部リンク
〔出版社〕朝日新聞出版の紹介ページ