プロフィール
- 研究内容
キリスト教の新約聖書、なかでも「ヨハネ福音書」に関して、比較的新しい方法で分析・解釈などを試みている。宗教学の領域では、若くして非業の死を遂げたルーマニア人宗教学者Ioan Petru Culianuの業績の検討を通して、「宗教」とは何か、「宗教学」とはどのような学問か、といったことをめぐって研究を進めている。
- 研究分野
- 新約聖書学、宗教学
- キーワード
- キリスト教、新約聖書、ヨハネ福音書、グノーシス(主義)、Ioan Petru Culianu
- 文学研究院 所属部門/分野/研究室
- 人文学部門/哲学宗教学分野/宗教学インド哲学研究室
- 文学院 担当専攻/講座/研究室
- 人文学専攻/哲学宗教学講座/宗教学インド哲学研究室
- 文学部 担当コース/研究室
- 人文科学科/哲学・文化学コース/宗教学インド哲学研究室
- 連絡先
研究室: 612
TEL: 011-706-4021
FAX: 011-706-4021
Email: ksasaki*let.hokudai.ac.jp
(*を半角@に変えて入力ください)研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。- 関連リンク
Lab.letters
混沌としたキリスト教成立期と
グノーシス主義
私の新約聖書研究の出発点は「初めに言(ことば)があった」の一文で始まるヨハネ福音書です。イエスの言行を記した4つの福音書の中でも抽象的な表現や哲学的な示唆に富んだ内容に惹かれました。そのヨハネ福音書と結びつきが深いとされるのが、「グノーシス主義」。混沌としたキリスト教成立期に盛んになり、後に正統派からは「異端」扱いを受けましたが、いまだ多くの謎を残した宗教思想です。過去には宗教学者ヨアン・P・クリアーノの著作The Tree of Gnosis(『グノーシスの樹』)の邦訳を院生たちと一緒に完成させました。クリアーノ研究の重要な位置を占めるものと確信しています。
世界の3分の1がキリスト教徒
グローバル時代を生きる教養に
外国を対象とするさまざまな研究の基礎は、言語の習得です。聖書学であれば学部時代に英語やギリシア語を学び、大学院ではヘブライ語やコプト語などの自分が研究対象とする原語の習得も必要です。深い文献解読も原語を理解できてこそ。学部生、院生ともに励むよう指導しています。
今、キリスト教徒は世界の総人口の3分の1を占めています。アンビシャスな北大生が世界へ羽ばたいた先で必ず出会う彼らについて知ることはグローバル時代の教養であり、相互理解の一助としても生きてきます。また、”クリスマスが大好きなわりにキリスト教自体には無頓着”な日本人だからこそ持てる視点もあるはず。文系理系を問わず関心を持った方はぜひ、ともに学びましょう。
(聞き手・構成 佐藤優子)
メッセージ
北大は、クラーク博士以来、ある意味でキリスト教との関係が深い国立大学です。日本における過去の代表的なプロテスタント・キリスト教思想家として、内村鑑三や新渡戸稲造など、北大草創期の卒業生の名を思い浮かべることができます。そういった伝統は、キリスト教の学術的研究というかたちで、われわれ文学院・文学部の宗教学インド哲学研究室にも受け継がれていると言えるでしょう。キリスト教関連のリソースも豊富な、私たちの研究室で、一緒に聖書やキリスト教の歴史、思想などを深く探究してみませんか。
研究活動
略歴
美唄東高校卒、北海道大学文学部卒、同大学院文学研究科(哲学専攻)博士後期課程退学(文学修士)、北海道大学文学部助手、助教授、准教授を経て現職。
主要業績
論文
- Sasaki, K. (2015) Life in Contexts, and Beyond. Ethics in Biology, Engineering and Medicine: An International Journal, 6, pp.49-56.
DOI: 10.1615/EthicsBiologyEngMed.2015013441
著書
- 『リクール読本』分担執筆、法政大学出版局。
- 『エリアーデ=クリアーヌ往復書簡1972—1986』共訳、慶応大学出版会。
- 『聖と俗の交錯』共著、北大図書刊行会。
- 『なぜキリスト教か』共著、創文社。
- 『面白いほどよくわかるキリスト教』共著、日本文芸社。
- ポール・リクール『聖書解釈学』共訳、ヨルダン社。
- 「新渡戸稲造の宗教」(『新渡戸稲造に学ぶ』、北海道大学出版会、2015年)
所属学会
- 日本宗教学会
- 日本基督教学会
- American Academy of Religion
- Society of Biblical Literature
教育活動
授業担当(文学部)
- 宗教学概論
- 宗教史学
- 宗教学演習
授業担当(文学院)
- 人文社会構造論
- 宗教学特殊講義
- 宗教学特別演習
授業担当(全学教育)
- 思索と言語
- 人間と文化
おすすめの本
- G・ベイトソン、佐藤良明訳『精神の生態学』 新思索社