2016.07.25

リクール読本

著者名:
鹿島 徹/越門 勝彦/川口 茂雄 編 佐々木 啓 分担執筆
文学研究院教員:
佐々木 啓 ささき けい 教員ページ

内容紹介

20世紀後半の哲学界にあって、実存哲学や精神分析・構造主義や分析哲学との幅広い思想的交渉を保ちつつ、他に類をみない独自の地歩を築いたポール・リクール。彼が残した膨大な仕事をテーマごとに掘り下げ、その驚くべき多面性を一望のもとに概観する。

著者からのコメント

リクールは、間違いなく20世紀を代表するフランスの哲学者ですが、日本では、フーコーやデリダ、ドゥルーズといったいわゆるポストモダンの思想家たちの陰に隠れた観があります。その理由は、リクールの思想が、私たちにとってあまり身近ではないキリスト教(神学)や聖書解釈(学)などと密接な関連をもっているからです。それに対して、キリスト教が自らの宗教である西洋社会においては、ポストモダンの思想家たちのもつある種の過激さとは無縁だったリクールの地道な仕事が、近年むしろ評価が高まってきていると言えるでしょう。西洋の哲学を本当の意味で咀嚼し、われわれ自身にとっても何がしか役立つものとしていくために、リクールの思想的営為全体をあらためて捉え直していく作業が必要です。

ISBN: 9784588150784
発行日: 2016.07.25
体裁: A5判 416ページ
定価: 本体価格3,400円+税
出版社: 法政大学出版局
本文言語: 日本語

〈主要目次紹介〉

第I部 リクールと二十一世紀の世界
1 リクールと歴史の理論──哲学的歴史理論の射程【鹿島 徹】
2 リクールと物語り論──「分析哲学的ヴァリアント」を軸に【野家啓一】
3 リクールと現代社会──われわれは何を希望することが許されるか【堀江宗正】
4 リクールと政治哲学──政治的なものの根源に向けて【川上洋平】
5 リクールと歴史修正主義論争──惨事の比較は不道徳か【川口茂雄】
6 リクールと神学──「哲学」か「神学」か?【佐々木啓】
第II部 リクールと現代哲学
7 現代思想の交差点としてのリクール 二十世紀の哲学的証人【杉村靖彦】
8 リクールとナベール──「根源的肯定」から「証し」へ【越門勝彦】
9 リクールとレヴィナス──レヴィナス解釈の独自性と「誇張法」【関根小織】
10 リクールとデリダ──「隠喩」論争が拓いたもの【合田正人】
11 リクールとフッサール──独断的形而上学の超克をめぐって【長坂真澄】
12 リクールとハイデガー──カント『純粋理性批判』と純粋想像力の第三項性【川口茂雄】
13 リクールとヤスパース──実存哲学の一展開【大沢啓徳】
14 リクールとベンヤミン──物語の衰退をめぐって【鹿島 徹】
15 リクールとアーレント──「赦し」を中心に【森 一郎】
16 リクールと分析哲学──「自己」に至る迂回路としての【長門裕介】
第III部 リクールと社会科学
17 アナール派歴史学の変遷──社会史と物語【渡辺和行】
18 テクスト解釈学と文化社会学──「行為をテクストとみなす」という方法をめぐって【佐藤成基】
19 〈記憶の場〉とコメモラシオン──歴史研究からみたリクール【長井伸仁】
20 ケアの倫理をめぐる思想状況──個人を支える集合体の形成【原山 哲】
21 文学教育と物語的自己同一性──自己性のダイナミクスを視座として【荒木奈美】
第IV部 リクールと近代哲学
22 リクールとベルクソン──生の哲学の影【藤田尚志】
23 リクールとディルタイ──ディルタイの解釈学は「ロマン主義的解釈学」なのか?【瀬戸口昌也】
24 リクールとマルクス──リクールはマルクスをどう読んだか【川﨑惣一】
25 リクールとメーヌ・ド・ビラン──身体に内在する〈他性〉の再発見【越門勝彦】
26 リクールとスピノザ──迂回の哲学としての『エチカ』【朝倉友海】
27 リクールとデカルト──第四省察の自由論を現象学的に再解釈する【川口茂雄】