2015.05.29

新渡戸稲造に学ぶ

武士道・国際人・グローバル化
著者名:
? 和順・佐々木 啓(編著), ミシェル・ラフェイ, 権 錫永, 山本 博文, トレント・マクシ , 白木沢 旭児, 日野 峰子
文学院・文学研究院教員:
権 錫永 くぉん そぎょん 教員ページ
佐々木 啓 ささき けい 教員ページ
白木沢 旭児(名誉教授) しらきざわ あさひこ
𢎭 和順 ゆはず かずより 教員ページ
ラフェイ ミシェル らふぇい みしぇる 教員ページ

内容紹介

新渡戸稲造ってどんな人? 『武士道』ってどんな本? ――新渡戸稲造や『武士道』について興味はあるけどよく知らないというあなたも,そんなのけっこう知ってるよというあなたも,きっと満足するにちがいない,コンパクトで深い内容の1冊! 新渡戸の母校の後身,北海道大学の文学研究科で教える先生たちが中心になり,新渡戸と『武士道』をわかりやすく,深く解説! 今日における「国際人」や「グローバル化」の意味を検討したパネルディスカッションの記録も収録。
 
(文学研究科ライブラリ11)

著者からのコメント

本書は三部構成です。第一部では,『武士道』の内容や新渡戸の信仰といった基本的な情報を丁寧にまとめます。新渡戸が考える理想的な日本人像を投影したものとしての「武士道」,儒教や中国古典にかんする新渡戸特有の理解,実践的倫理としてキリスト教を受容しつつ,自身の信仰について多くを語らない新渡戸の姿勢,といったテーマが議論されます。第二部では,国際人としての新渡戸の姿を,ユニークで,ときに批判的な視点から見つめ直します。日本におけるキリスト者という特異な立場から,当時の国際社会を相手に日本文化を紹介したことの意味,新渡戸を含めた札幌農学校関係者のエピソードから見た,普段はあまり意識されないような国際化の諸相,日本の植民地支配に対する新渡戸の評価を介して見えてくる,愛国心と国際心の調和という課題の困難,といったテーマが考察されます。第一部と第二部を読めば,新渡戸と『武士道』についてちょっとした専門家になれるかも!
第三部は、もし新渡戸が生きていたなら,熱くなって参加したいと思ったかもしれない!?,そういったパネルディスカッションの記録です。ここでは,新渡戸の時代から時計の針を進めて,いまのグローバル化の時代において国際人であることの意味を検討します。外国語の学習,外国における他者との関係,教養の意味などが議論され,人文学の役割と可能性が問われます。さらに付録として,新渡戸の生きた時代の雰囲気を伝える略年表と,新渡戸にかんする読書案内を収録しています。

書評:『致知』2015年9月号
札幌南高校での読書会

ISBN: 9784832933910
発行日: 2015.05.29
体裁: B6判 288ページ
定価: 本体価格1,800円+税
出版社: 北海道大学出版会
本文言語: 日本語

〈主要目次紹介〉

第Ⅰ部 新渡戸稲造と『武士道』
第一章 日本人論としての『武士道』……山本 博文
第二章 新渡戸稲造『武士道』と儒教……弓巾 和順
第三章 新渡戸稲造の宗教……佐々木 啓

第Ⅱ部 歴史の中の国際人 新渡戸稲造
第四章 二十一世紀に読む『武士道』……トレント・マクシ
第五章 新渡戸稲造と札幌農学校の国際人……ミシェル・ラフェイ
第六章 新渡戸稲造にみる「国民的立場」と「人類的立場」の問題……権 錫永

第Ⅲ部 パネルディスカッション
人文学研究のグローバル化とその可能性……
トレント・マクシ
ミシェル・ラフェイ
権 錫永
日野峰子
白木沢旭児