内容紹介
新渡戸稲造ってどんな人? 『武士道』ってどんな本? ――新渡戸稲造や『武士道』について興味はあるけどよく知らないというあなたも,そんなのけっこう知ってるよというあなたも,きっと満足するにちがいない,コンパクトで深い内容の1冊! 新渡戸の母校の後身,北海道大学の文学研究科で教える先生たちが中心になり,新渡戸と『武士道』をわかりやすく,深く解説! 今日における「国際人」や「グローバル化」の意味を検討したパネルディスカッションの記録も収録。
(文学研究科ライブラリ11)
著者からのコメント
本書は三部構成です。第一部では,『武士道』の内容や新渡戸の信仰といった基本的な情報を丁寧にまとめます。新渡戸が考える理想的な日本人像を投影したものとしての「武士道」,儒教や中国古典にかんする新渡戸特有の理解,実践的倫理としてキリスト教を受容しつつ,自身の信仰について多くを語らない新渡戸の姿勢,といったテーマが議論されます。第二部では,国際人としての新渡戸の姿を,ユニークで,ときに批判的な視点から見つめ直します。日本におけるキリスト者という特異な立場から,当時の国際社会を相手に日本文化を紹介したことの意味,新渡戸を含めた札幌農学校関係者のエピソードから見た,普段はあまり意識されないような国際化の諸相,日本の植民地支配に対する新渡戸の評価を介して見えてくる,愛国心と国際心の調和という課題の困難,といったテーマが考察されます。第一部と第二部を読めば,新渡戸と『武士道』についてちょっとした専門家になれるかも!
第三部は、もし新渡戸が生きていたなら,熱くなって参加したいと思ったかもしれない!?,そういったパネルディスカッションの記録です。ここでは,新渡戸の時代から時計の針を進めて,いまのグローバル化の時代において国際人であることの意味を検討します。外国語の学習,外国における他者との関係,教養の意味などが議論され,人文学の役割と可能性が問われます。さらに付録として,新渡戸の生きた時代の雰囲気を伝える略年表と,新渡戸にかんする読書案内を収録しています。
外部リンク
〔出版社〕北海道大学大学出版会の紹介ページ