書香の森・特集図書展示の更新を行いました。
今回は、文学研究院における「動物研究」に関する著作を取り上げています。
文学研究院における動物研究
文学研究院・文学院・文学部において、動物に関する研究が行われているのは、少し意外に思われる方がいらっしゃるかもしれません。
人と動物との多様な関わりについて、人文社会科学のさまざまな手法を用いて探求することも、文学研究院の研究の魅力のひとつです。
今回の特集図書展示では、歴史学・生態学・考古学・人類学・民族誌などの視点から生まれた著作を紹介いたします。
文学部なのに?ではなく、文学部だからこそ!の研究成果をお楽しみください。
展示書籍リスト
- ヘラジカの贈り物:北方狩猟民カスカと動物の自然誌 →web書香の森
(山口 未花子 著 春風社 2014年)
〈内容紹介〉筆者がカナダ北方の先住民カスカの人々とともに暮らし、狩猟を学んだ経験から書かれた自然誌。資源としての動物に強く依存し、多くの動物を獲ってきた人々は動物に日々感謝し、尊敬し、時に畏れながら暮らしていた。動物との密接な関係を背景に生成したカスカのユニークな動物文化について明らかにした一冊。 - 時間軸で探る日本の鳥:復元生態学の礎 →web書香の森
(黒沢 令子/江田 真毅 編著 久井 貴世 分担執筆 築地書館 2021年)
〈内容紹介〉多様な専門性を持つ9名の研究者が、「鳥を巡るタイムマシンの旅に出よう」をテーマに、化石、遺伝情報、考古遺物、絵画資料、文献史料、現代の野外調査などの観点から、日本の鳥類の歴史についての知見を披露していく。 - 鷹狩の日本史 →web書香の森
(福田 千鶴/武井 弘一 編 久井 貴世 分担執筆 勉誠出版 2021年)
〈内容紹介〉全国的かつ通史的な視野に立ち、さらに環境や狩猟文化、タカやその獲物の生態学観点を交えながら、日本列島における鷹狩の歴史を史料に基づいて実証的に捉えようとした書籍である。鷹狩の歴史を紐解き、日本列島における鷹狩の歴史、知られざる人とタカの関係史を知ることができる刺激的な一冊。 - 人と動物の関わりあい:食料資源と生業圏 →出版社紹介ページ
(小杉 康/谷口 康浩/西田 泰民/水ノ江 和同/矢野 健一 編 同成社 2010年)
〈内容紹介〉縄文文化研究の現時点での成果と課題を取り扱った全12巻からなる論文集の一巻として編集されました。現代の考古学研究には、動物学の専門的知識・スキルをもった考古学者が活躍する「動物考古学」という細分化された分野が確立されています。
- 犬からみた人類史 →web書香の森
(大石高典/近藤祉秋/池田光穂 共編/立澤 史郎 ・北原 モコットゥナㇱ分担執筆 勉誠出版 2019年)
〈内容紹介〉文化人類学、民俗学、歴史学、動物行動学、生態学、遺伝学など様々な分野の最新知見から「ヒトとイヌの関係」に切り込んだマルチスピーシーズ研究の論集です。進化から狩猟・ペットフードまで、私たちと犬たちの深く長い関係を読み解きます。 - 資源保全の環境人類学:インドネシア山村の野生動物利用・管理の民族誌 →出版社紹介ページ
(笹岡 正俊 著 コモンズ 2012年)
〈内容紹介〉希少野生動物を「違法」に利用して生活しているインドネシア東部セラム島の一山村を対象に、人びとにとっての野生動物利用の意味・重要性、「在来知」に基づく管理の実践などを綿密なフィールドワークで明らかにし、住民主体型保全のあり方を考察した書。 - 日本の外来哺乳類:管理戦略と生態系保全 →出版社紹介ページ
(山田 文雄/池田 透/小倉 剛 編 東京大学出版会 2011年)
〈内容紹介〉生物多様性にとって最大の脅威ともいえる外来生物。なかでも生態系へのインパクトの強いアライグマ、マングース、イエネコなどの外来哺乳類の管理と対策について、その理論から実践まで、豊富な事例を交えながら詳細に解説。外来生物としての哺乳類研究について体系化した日本で初めての専門書。 - 生物という文化:人と生物の多様な関わり →web書香の森
(池田 透 編著/小杉 康・ 立澤 史郎・橋本 雄・蔵田 伸雄 分担執筆 北海道大学出版会 2013年)
〈内容紹介〉文学や歴史の中での人と生物の関係性の研究に加えて、人文・社会科学の中でも人と生物の諸関係は広く研究対象とされるようになってきました。文学研究院のさまざまな専門分野の研究者からみた人と生物の関わりについて、具体例を提供しながらわかりやすく解説しています。