プロフィール

- 研究内容
外来種の生態・行動・在来生態系への影響と人間社会への対応、及び世界各地におけるヒトと動物の関係について生態学・地域科学的観点から野外調査を主体に研究。
- 研究分野
- 保全生態学、侵入生態学(外来種管理)、野生動物管理学、ニュージーランド地域研究、社会生態学
- キーワード
- 外来種、保全生態学、Wildlife management、Sustainable use、フィールドワーク
- 文学研究院 所属部門/分野/研究室
- 人間科学部門/地域科学分野/地域科学研究室
- 文学院 担当専攻/講座/研究室
- 人間科学専攻/地域科学講座/地域科学研究室
- 文学部 担当コース/研究室
- 人文科学科/人間科学コース/地域科学研究室
- 連絡先
研究室: E棟101
TEL: 011-706-4163
FAX: 011-706-4163
Email: tikeda*let.hokudai.ac.jp
(*を半角@に変えて入力ください)研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。- 関連リンク
Lab.letters

北の大地の「保全生態学」案内人
国際シンポジウムを成功に導く
保全生態学とは、自然科学と人文・社会科学を融合した学問です。「北海道のアライグマ」のような、その地域固有の生態系を乱す外来種問題の調査研究と対策に取り組んでいます。外来種問題には我々人間の感情が大きく関わっています。「防除や安楽死はかわいそう」という感情論に傾いては、深刻な農業被害や環境問題を見過ごすことになる。誰もが納得できる現状・予測データをわかりやすく提示して地域ぐるみのプロジェクトを推進していくことが大切です。
2008年には日本やイギリス、ニュージーランドなど10カ国の研究者を招いた国際シンポジウムを開催しました。「Building on Success, Learning from Failures(成功を足場として、失敗から学ぶ)」というアプローチで参加者全員から高く評価され、グローバルな情報交換に貢献できたと思います。2015年の国際野生動物管理学術会議においても外来種の管理から根絶を目指すシンポジウムを開催し、世界中の研究者と外来種研究のネットワークを拡げています。
修士・博士課程の歳月をかけて
命を考え、科学の宿命を思う
発信器をつけたアライグマの出没場所を特定したり、繁殖能力から推定頭数を概算したり、我々の研究はフィールドワークとデータ解析の両輪で進んでいきます。現場に出向き被害に泣く農家さんや地域住民、防除に関わる獣医師さんなどたくさんの人間の心と向き合うことも、この学問の大きな特徴です。命に思いを馳せる感受性を育む一方で、確固たる科学理論を構築する。文学研究科のなかでも異色の分野ですが、修士・博士後期課程の歳月をかけた学びや経験があなたの人生にかけがえのない豊かさをもたらしてくれます。
(聞き手・構成 佐藤優子)
メッセージ
アライグマをはじめとする外来種の管理について、対象生物の生態に関する自然科学的調査に加えて、人間社会の意識・対応といった人文・社会科学的調査を特徴として研究を進めています。外来種は生物多様性や人間社会に多くの弊害をもたらすものですが、その管理には対象生物の管理のみならず、在来種の保全が重要となります。こうした観点から、研究室では外来種問題だけではなく、在来種の保全問題にも積極的に取り組んでいます。
外来種問題では、対策の世界最先進国であるニュージーランドやアメリカ、イギリス、フランス、イタリアなどの研究者との交流も盛んに行っています。海外で最先端の研究・教育に触れることが可能な体制づくりも進んでいますので、地域対策からグロ-バルな対策まで、幅広い視点での研究を展開することが可能です。
「人間と生物の共存」が現代社会の重要課題とされていますが、何も同じ空間に同居することだけが共存の道ではありません。共存の在り方を野生生物の生態と人間の文化や社会的側面を絡めて探る作業は知的好奇心を刺激するだけでなく、社会貢献にも寄与するテーマです。我々はどのような自然を後世に残していくべきなのか、フィールドワークを通した現場の目から考えてみませんか。自然との関わりからみると、本当に人間は摩訶不思議な生き物です。この面白さを一緒に楽しみましょう!
研究活動
略歴
札幌南高校卒、北海道大学文学部卒、同大学院文学研究科(心理学専攻)博士後期課程単位取得退学、修士(文学)。同大学文学部助手・助教授を経て現職。
主要業績
- 「外来種問題――アライグマを中心に」『日本の哺乳類学・第2巻:中大型哺乳類・霊長類』(東京大学出版会)所収、369-400頁(2008).
- 『外来生物が日本を襲う!』監修(青春出版:青春新書インテリジェンスシリーズ)(2007).
- Present Status of Invasive Alien Raccoon and its Impact in Japan, Global Environment Research, 8(2):125-131(2004)
- Present Situation of Furbearer Hunting in Northern Yakutia : Turning Point of Traditional Hunting Activities., Northern Asian Studies 6:77-88 (Indigenous Ecological Practices and Cultural Traditions in Yakutia, Center for Northeast Asian Studies, Tohoku University)(2003.
- 『外来種ハンドブック』編著:哺乳類担当(地人書館)(2002).
所属学会
- 日本生態学会
- 日本哺乳類学会
- 野生生物保護学会
- 日本動物行動学会
- 応用動物行動学会
- The Mammal Society
教育活動
授業担当(文学部)
- 地域システム科学概論
- 社会生態学
- 地域科学演習
- 野外調査法実習
- 地域科学特殊演習
授業担当(文学院)
- 複合環境文化論
- 地域科学特殊講義
- 地域環境学特別演習
- 社会生態学特別演習
授業担当(全学教育)
- 科学・技術の世界
- 英語演習
おすすめの本
- 『Ghosts of Gondowana : The history of Life in New Zealand』George Gibbs (Craig Potton Publishing)
ニュージーランドの特殊な生物相の成り立ちとその保全の重要性を進化的にわかりやすく解説した逸品です。