内容紹介
文明の発達によって人間社会が多様化すると、生物との関係も、食う・食われるといった単純な関係から、さまざまな形態へと進展を見せ、現代社会ではペットが人間生活の中で重要な役割を果たす一方で、動物の福祉などについても盛んに議論されるようになってきています。文学や歴史の中での人と生物の関係性の研究に加えて、学問分野においても、考古学では動物考古学という分野が確立され、心理学の中でも人間の学習研究に動物を用いる動物心理学が発展するなど、生物学・生態学の分野だけではなく、人文・社会科学の中でも人と生物の諸関係は広く研究対象とされるようになってきました。
執筆者の専門は、考古学、歴史学、文学、思想、哲学、倫理学から、心理学、地域科学にまで及ぶ広範な領域にわたります。これらの分野は、一見すると接点が少ないように見えますが、人間の営みと関わっているという点では共通しています。それぞれの執筆者は、専門分野からみた人と生物の関わりについて、具体例を提供しながらわかりやすく解説しています。本書を通じて、人と生物の関わりの多様な諸相について、より深い理解が得られるようになれば幸甚です。
(北大文学研究科ライブラリ7)