笹岡 正俊

プロフィール

笹岡 正俊 准教授 / SASAOKA Masatoshi
研究内容

熱帯地域における生物資源利用、「在来知」を活かした資源管理、住民参加型資源管理・生物多様性保全政策に関する環境社会学的研究。地域紛争・開発問題に焦点を当てたインドネシア東部島嶼部の地域研究。

研究分野
環境社会学、ポリティカル・エコロジー論、インドネシア地域研究
キーワード
途上国の環境・資源問題、環境的公正、生物資源の協働管理、野生動物と地域社会の関係、フィールドワーク
文学研究院 所属部門/分野/研究室
人間科学部門/地域科学分野/地域科学研究室
文学院 担当専攻/講座/研究室
人間科学専攻/地域科学講座/地域科学研究室
文学部 担当コース/研究室
人文科学科/人間科学コース/地域科学研究室
連絡先

研究室: E棟402室
TEL: 011-706-2303
FAX: 011-706-2303
Email: m.sasaoka*let.hokudai.ac.jp
(*を半角@に変えて入力ください)

研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。
関連リンク

Lab.letters

Lab.letters 研究室からのメッセージ
地域科学研究室笹岡 正俊 准教授

西洋型「生物多様性保全」と
熱帯に息づく「在来知」の間で

グローバル社会の財産であるインドネシアの熱帯雨林では、アブラヤシ農園開発などにより急速に進む環境破壊を前にして「生物多様性保全」や「希少種保護」を掲げるさまざまな政策が行われています。その一方で、現地には「希少」とされ保護の対象となっている野生動物を貴重なタンパク源として日常的に利用したり、農業から得られる現金が乏しい場合の「救荒的」な現金収入源として売ることで自分たちの暮らしを維持している人びとも存在します。

グローバル化する環境主義を背景に地域に介入してくる「上から、外から」の西洋型の「環境保全」と、現地の人びとの「在来知」に支えられた資源利用・管理の実践。この両者のあいだに潜む深刻な軋轢を乗り越え、地域の人びとの暮らしに寄り添った森林政策づくりに貢献できるよう、これからもインドネシアの森の中に分け入ってゆきたいです。

インドネシア東部セラム島に生息する樹上性有袋類クスクス。国の指定保護動物だが、山地民にとっては重要な食糧となっている。
調査では一方的な聞き取りではなく、互いに楽しい時間になることを心がける。"お互いが相手の人生の一部になるようなつきあい"を理想とする。

将来どの職種でも役立つ
生産的なコミュ力を鍛える場

環境に関わる社会学的研究や地域研究には研究手法について定まった”型”があるわけではありません。明らかにしたい具体的な問いかけにあわせて適切な手法を組み合わせて研究を進めていくため、まずはフィールドに身を置くなかで湧き出てくる問いかけを明確にすることが重要なスタートライン。すべての研究には独創性・個性があり、それぞれの輝きを持っています。そうした研究の面白さを共有する場である論文指導ゼミでは、仲間の研究を前進させられるような 生産的なコミュニケーション能力を養い、社会に出たときにどんな職種でも活かせる力を磨きます。

環境社会学的研究や地域研究には学際的なアプローチが必要です。総合大学である北大は研究者層が非常に厚く、異なるバックグラウンドを持った研究者同士の化学反応が期待できます。

(聞き手・構成 佐藤優子)

メッセージ

環境社会学は、環境破壊の発生・解決、および、環境共存の実現という二つの文脈のなかで、自然環境と人間社会とのかかわりあいを、社会の側に焦点をあてながら解き明かしてゆく学問です。環境(自然環境や生活環境など)が壊されることで社会的不公正(格差・不平等・差別といった社会のあり方)が助長される一方、社会的不公正があるから環境が壊され続けるといった具合に、環境破壊と社会的不公正は切り離せない関係にあります。環境社会学の大きな特徴は、環境をめぐる問題を、こうした社会のあり方との関連性のなかで考えていこうとするところにあります。

世界最大のパーム油生産国インドネシアでは急速にアブラヤシ農園が拡大。同時に、残された自然を守るための様々な政策も行われており、地域住 民の暮らしに大きな影響を与えている。

環境社会学は社会学の一分野ですが、それが扱う内容は広範です。私の場合、これまで主たる研究テーマとしてきたのは、熱帯地域(インドネシア)の「自然保護」です。そこでは、「生物多様性保全」というグローバルな価値と、地域の暮らしの維持・発展というローカルな価値とが対立し、しばしば地域の人びとに様々な「受苦」を強いてきました。そうした軋轢を乗り越え、社会的に公正な保全を実現するための仕組みや方策を、フィールドワークを通じて人びとの「生活世界」に入り込みながら探ることを課題としてきました。これまでは熱帯での研究が主でしたが、今後は日本の地域社会をフィールドとした研究にも取り組んでゆくつもりです。

研究課題の背景にある問題意識はアカデミズムのなかで行われている議論から導き出される場合もあれば、現場で実際に起きている問題(そこで生きている人びとにとって重要な問題)から立ち上がってくる場合もあります。この研究室では、ものごとが起きている現場に足を運び、そこで問題意識をはぐくむことから研究をスタートさせることを重視します。国内外でフィールドワークを行いながら、環境と社会をめぐる現実的な課題に切り込んでゆくような研究をしてみたい、という意欲を持った人たちを歓迎します。

研究活動

略歴

広島生まれ。東京農工大学農学部卒業、東京大学大学院農学生命科学研究科修士課程修了、東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程単位取得退 学、インドネシア科学院社会文化研究センター、自然環境研究センター、国際林業研究センター(CIFOR)などを経て現職。博士(農学)。

主要業績

  • 「農園開発―アブラヤシ生産の現状と問題」、笹岡正俊分担執筆、村井吉敬・佐伯奈津子・間瀬朋子編 『現代インドネシアを知るための60章』、明石書店、2013年。
  • 『資源保全の環境人類学—インドネシア山村の野生動物利用・管理の民族誌』、笹岡正俊著 、コモンズ、2012年。
  • 「社会的に公正な生物資源保全に求められる 「深い地域理解」 : 「保全におけるシンプリフィケーション」に関する一考察」、笹岡正俊著、『林業経済』 65(2)、2012年。
  • Suitability of local resource management practices based on supernatural enforcement mechanisms in the local social-cultural context, SASAOKA, M. and Laumonier, Y. Ecology and Society 17(4) 6, 2012.
  • 「超自然的強制」が支える森林資源管理 : インドネシア東部セラム島山地民の事例より」、笹岡正俊著、『文化人類学』 75(4), 2011年。
  • 「熱帯僻地山村における「救荒収入源」としての野生動物の役割—インドネシア東部セラム島の商業的オウム猟の事例」『アジア・アフリカ地域研究』 7-2: 158-190, 2007年。
  • 「ウォーレシア・セラム島山地民のつきあいの作法に学ぶ」、笹岡正俊 分担執筆、井上真編『躍動するフィールドワーク:研究と実践をつなぐ』(世界思想社)、2006年。

所属学会

  • 環境社会学会
  • 文化人類学会
  • 日本熱帯生態学会
  • 生き物文化誌学会
  • サゴヤシ学会

教育活動

授業担当(文学部)

  • 地域科学演習
  • 野外調査法実習
  • 地域科学研究法

授業担当(文学院)

  • 地域社会学特別演習

授業担当(全学教育)

  • 社会の認識

おすすめの本

  • 『京大式フィールドワーク入門』京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・京都大学東南アジア研究所編(NTT出版)
    フィールドにおける「気づき」を「研究の問い」に練り上げる方法について、わかりやすく解説してあります。 
  • その他の「おすすめの本」を本学付属図書館のウェブページ、「不朽の名著」 にリストアップしましたので、そちらもご覧ください。
    北海道大学附属図書館Webサイトの「不朽の名著」のコーナー
    笹岡正俊 先生 ご推薦の図書