小杉

プロフィール

小杉 康 特任教授 / KOSUGI Yasushi
研究内容

発現的構造と状況的機能をキーコンセプトとして、日本列島を中心とした人類文化を考古学的に研究する。

研究分野
考古学、物質文化論、民俗誌考古学
キーワード
考古学、物質文化論
文学研究院 所属部門/分野/研究室
人文学部門/歴史学分野/考古学研究室
文学院 担当専攻/講座/研究室
人文学専攻/歴史学講座/考古学研究室
文学部 担当コース/研究室
人文科学科/歴史学・人類学コース/考古学研究室
連絡先

FAX: 011-706-4000

研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。
関連リンク

Lab.letters

Lab.letters 研究室からのメッセージ
考古学研究室小杉 康 特任教授

定住する狩猟採集民
サスティナブルな縄文が熱い

現在、「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」は世界文化遺産の登録を目指しており、世界でも「JOMON」研究への関心が高まっています。ではなぜ今、縄文が熱いのでしょうか。従来の人類史においては、狩猟採集・移住の生活から食糧生産を始める農耕・定住へ発展した、という考え方が定説でした。ところが、縄文文化は”定住する狩猟採集民”という独自の文化で1万数千年も継続した文化であることが明らかになってきました。この従来の枠組みにおさまらない、サスティナブルな豊かさを内包する縄文文化が、現代の我々にさまざまな示唆を与えてくれるのではないか、と期待されているのです。

礼文華遺跡(豊浦町)の考古学実習(発掘調査)風景。
考古学演習「土器を実測する」の授業風景。

エコミュージアムの実践
人類史的時間感覚を養う

本研究室では考古学実習として人類遺跡の発掘調査を実施しています。噴火湾北岸域を中心として2000年からは有珠6遺跡(伊達市)で、2006年からは小幌洞窟遺跡(豊浦町)、2012年からは礼文華遺跡(豊浦町)で、夏休みの期間を利用してフィールドワークを続けています。2009年からはこれらの遺跡をサテライトとする「噴火湾北岸縄文エコミュージアム」活動も始めました。また、北大キャンパスの地下には続縄文・擦文文化の遺跡が広がっています。それらを人類遺跡トレールとして整備して、キャンパス・エコミュージアムの実現に向けた活動を、北大埋蔵文化財調査センターと連携して行っています。こうした千や万をもって年数を数える人類史の時間に触れる実習は”日常的には体感できない時間感覚”を養う場でもあり、その感覚をもって社会に貢献できるような人材を輩出できたら、と考えています。

(聞き手・構成 佐藤優子)

メッセージ

皆さんは考古学ときくと原始や古代といった、文字が使われる以前の、あるいは楔形文字やヒエログリフなどの文字が使い始められて間もないころの、太古の歴史を取り扱う学問分野だと思っていませんか。しかし最近の国語辞典には考古学を「人類史を探求する学問」と定義しているものもあります。では、人類史とはいつから、いつまでのことでしょうか。

人類の祖先とチンパンジーの祖先とが進化の途上で分岐した年代が今から700万年前ころだとわかってきました。そこから始まって現代(現在)にいたるまでが人類史のカバーする範囲です。今を生きる私たちは人類史の最前線にたたずんでいることになります。文字が使い始められてからも、文字に残されなかった出来事はたくさんあります。むしろそちらの方が多いでしょう。それは取るに足らないことだったから、そうかもしれませんが、実はそこに人類という存在を、あるいは歴史の真実を知る鍵(情報)が隠されているかもしれません。とても大切であっても、当時においては当たり前だったことは文字に記録されていないことが多いのです。また、おうおうに人は、特に権力をふるった人たちは、自らに都合の悪い記録を残そうとしないものです。史料として書き残されなかった歴史の空白を、考古学が取り扱う遺跡や遺物などの物的証拠が埋めて、それが問題解決の突破口や決め手になったりすることもあるのです。

そして、なによりも今日の私たちが直面する様々な深刻な問題――環境問題やエネルギー問題、核廃棄物の処理問題、さらには動物と人間との関係や、世界遺産の認定をめぐる各国の主張の衝突などなど、これらの問題群を、考古学が取り扱う超長期的な時間枠の中に放り込んで、人類史というパースペクティブで覗いてみると、そこにどんな景色が見えてくるのか、どんな解決案を見い出せるのか。人類史を探求する考古学の挑戦です。

考古学を専攻する学生諸君は、自分の興味のおもむくところ、例えば縄文文化や弥生文化、擦文文化などを好きなだけ勉強し、それぞれの専門分野の研究を深めながらも、現代の考古学に課せられた共通の使命として、ときに「現代と過去をむすぶ」ことに思いを馳せています。

研究活動

略歴

埼玉県秩父高校卒、明治大学文学部卒、同大学院文学研究科(史学専攻考古学専修)博士後期課程退学、日本学術振興会特別研究員、国立歴史民俗博物館外来研究員、明治大学文学部助手を経て現職

主要業績

  • 『縄文のマツリと暮らし』(岩波書店)
  • 『心と形の考古学』編著(同成社)
  • 『縄文時代の考古学(全12巻)』編(同成社)
  • 『はじめて学ぶ考古学』佐々木憲一、小杉康(ほか)著(有斐閣)

所属学会

  • 日本考古学協会
  • 日本文化財科学会
  • 考古学研究会
  • 日本旧石器学会
  • 北海道考古学会
  • 岩手県考古学会

教育活動

授業担当(文学部)

  • 考古学概論
  • 考古学
  • 考古学演習
  • 考古学実習
  • 北方文化論概論

授業担当(文学院)

  • 考古学特殊講義
  • 考古学特別演習
  • 考古学特別実習

授業担当(全学教育)

  • 歴史の視座
  • フィールド体験型プログラム

おすすめの本

  • 『縄文人は生きている』戸沢充則編(新泉社)
  • 『縄文人の世界』梅原猛編(角川書店)
  • 『縄文社会論』安斎正人(同成社)
  • 『現代の考古学6村落と社会の考古学』高橋龍三郎(朝倉書店)