嘉誠

プロフィール

伍 嘉誠 准教授 / NG Ka Shing
研究内容

香港における社会運動と市民団体(特に宗教団体)との関係について研究しています。また、近年東アジアにおけるナショナリズムの現象についても大変興味を持っています。

研究分野
ナショナリズム研究、社会運動論、宗教・文化社会学、東アジア研究
キーワード
ナショナリズム、社会運動、宗教、東アジア、香港
文学研究院 所属部門/分野/研究室
人間科学部門/社会学分野/社会学研究室
文学院 担当専攻/講座/研究室
人間科学専攻/社会学講座/社会学研究室
文学部 担当コース/研究室
人文科学科/人間科学コース/社会学研究室
連絡先

研究室: 308
Email: ngkashing*let.hokudai.ac.jp
(*を半角@に変えて入力ください)

研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。
関連リンク

Lab.letters

Lab.letters 研究室からのメッセージ
社会学研究室伍 嘉誠 准教授

コロナマスクに立ち上がった
香港市民が教えてくれること

香港で最初の新型コロナウイルス感染者が確認されたのは、2020年1月23日のことでした。政府の対応は早く、その2日後に「緊急事態」を発出します。その一方で2019年6月から始まった反政府デモを受けて、政府は同年10月に集会参加時のマスク着用を禁止する「覆面禁止法」を発表していたため、コロナ対策のためのマスク着用の呼びかけやマスク工場の開設は、市民有志が自発的に行う動きが広がりました。

こうした香港の例から見る市民社会の力や社会運動、ナショナリズムを考えることは、自分たちの国や地域で起きているさまざまな問題の解決につながるヒントを秘めており、足元の暮らしと世界が地続きであることを教えてくれます。

2019年にアメリカ研修旅行を引率。NYの雑貨店で見つけたブリキ看板のメッセージが気に入り、購入した。
研究室の棚に並ぶ関連本。2020年はオンライン・インタビューで現地の声を聞き取っている。

北大充実の支援制度を活用
“めがね”をかける社会学

院生時代の5年間を北海道大学で過ごした私にとって、この緑の札幌キャンパスは第二の故郷のようなもの。文学院の「共生の人文学プロジェクト」の旅費支援や論文の日本語添削を何度も活用し、海外の学会参加や論文提出をバックアップしてもらいました。

院生当時、尊敬する櫻井義秀先生から教わった、社会学で一番大切なことは視点です。研究対象をどういう視点で見つめるかで浮かび上がってくるものが変わり、実際、私自身も日本に来て出身地である香港と距離を置くことで、より客観的に香港社会を観察できるようになりました。これから社会学を学ぶ皆さんもぜひ、いろんな“めがね”をかけて、気になる問題を注視していってください。

(聞き手・構成 佐藤優子)

メッセージ

こんな研究をやってみないか?!

私の出身地の香港と言えば、2019年に「逃亡犯条例改正案」に起因する抗議運動を思い出される方が多いでしょう。2014年の普通選挙を求める「雨傘運動」と同じように、2019年の抗議運動の根底には、香港の自由と民主主義、そして香港人のアイデンティティーを守ろうとする「ナショナリズム」色の強い社会意識が関わっていると思われます。こうした運動の中で、参加者はなぜ、どのような形で運動に関与しているのか。また、民間団体はどのような役割を果たしたのか。そもそも、社会運動はなぜ起こるのか、人々はどのように社会運動を組織するのか、ナショナリズムと社会運動とはどのようにかかわっているのか、このような質問は、社会学の中で非常に重要な課題です。皆さん、社会運動論・ナショナリズム研究の視点から、東アジアの社会変動について一緒に考えてみませんか?

激動する東アジアの国際関係

グローバル化の進展に伴って、東アジア諸国では経済的相互依存関係が深化する一方、中国本土、台湾、香港との政治的不安定が続いており、葛藤が激しさを増す日韓関係も加えて、東アジアの国際関係の緊張緩和と相互信頼の回復が求められています。私たちは、どのように東アジアに平和の基盤を創造することに貢献できるのでしょうか。学部生、院生の皆様は、まず外国の人との文化交流や共通理解を促進するためのスキル・能力を身につけることが重要だと思われます。異文化や多言語に精通することは、今後ビジネスや文化活動の場で国際交流に従事していくにあたって、協調的な労働環境の構築に貢献し、地域紛争を解決へと導いていく上でも、重要なアドバンテージとなるでしょう。

研究活動

略歴

香港生まれ。香港中文大学文学部卒業、同大学院文学研究科(修士)、北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。長崎大学多文化社会学部助教を経て現職。

主要業績

  • 「香港における抗議活動の背景と発展についての一考察」 『多文化社会研究』2020、131-140 (共著)
  • 「返還後の香港における「本土運動」とキリスト教」 『日中社会学研究』 (26) 2018、1 -21
  • ‘Rethinking the Political Participation of Hong Kong Christians’, Social Transformations in Chinese Societies. Vol. 13 Issue: 1, 2017, 37-55. (Emerald Publishing Limited Emerald Literati Awards 2018 Highly Commended Paper受賞)
  • 「香港におけるキリスト教と社会福祉 ─その過去、現在、未来」、『現代中国の宗教変動とアジアのキリスト教』櫻井義秀編、北海道大学出版社 2017、199-229

所属学会

  • 日中社会学会
  • 宗教と社会学会
  • 日本社会学会等

教育活動

授業担当(文学部)

  • 社会構造論
  • 社会学研究法
  • 社会学概論

授業担当(文学院)

  • 社会学理論特別演習

授業担当(全学教育)

  • 社会の認識