内容紹介
今からおよそ2350〜2100年前、日本列島の東北地方で行われていた稲作は、当時、世界で最北の稲作でもありました。厳しい気候条件のもと、縄文晩期の代表格である「亀ヶ岡文化」を担った人々は、どのような方法でそれを可能にしたのでしょうか。土器・石器・住居・墓・水田・植物・動物など、多様な考古資料を駆使して激動の社会変革が描き出されます。
著者からのコメント
東北地方の弥生文化は,西日本の弥生文化からどれだけ影響を受けているか,東日本の縄文文化の要素がどれだけ残っているか,この二つの観点からしか評価がされてきませんでした。本書は,東北地方内部の縄文・弥生移行期の変化を観察することで,西日本の弥生文化とも東日本の縄文文化とも異なる,独特な社会変化をへたうえで稲作が開始されたことを明らかにしています。博士論文を書籍化したものですが,多様な種類の考古資料を用いて多角的・立体的に歴史を復元すること,オーソドックスな手法だけではなくマイナーであっても有効な研究手法は貪欲に取り込んで研究すること,この二つをモットーに研究を完成させました。