2004.05.20

本州島東北部の弥生社会誌

著者名:
高瀬 克範
文学院・文学研究院教員:
高瀬 克範 たかせ かつのり 教員ページ

内容紹介

今からおよそ2350〜2100年前、日本列島の東北地方で行われていた稲作は、当時、世界で最北の稲作でもありました。厳しい気候条件のもと、縄文晩期の代表格である「亀ヶ岡文化」を担った人々は、どのような方法でそれを可能にしたのでしょうか。土器・石器・住居・墓・水田・植物・動物など、多様な考古資料を駆使して激動の社会変革が描き出されます。

著者からのコメント

東北地方の弥生文化は,西日本の弥生文化からどれだけ影響を受けているか,東日本の縄文文化の要素がどれだけ残っているか,この二つの観点からしか評価がされてきませんでした。本書は,東北地方内部の縄文・弥生移行期の変化を観察することで,西日本の弥生文化とも東日本の縄文文化とも異なる,独特な社会変化をへたうえで稲作が開始されたことを明らかにしています。博士論文を書籍化したものですが,多様な種類の考古資料を用いて多角的・立体的に歴史を復元すること,オーソドックスな手法だけではなくマイナーであっても有効な研究手法は貪欲に取り込んで研究すること,この二つをモットーに研究を完成させました。

ISBN: 9784947743220
発行日: 2004.05.20
体裁: A5判 404ページ
定価: 本体価格8,500円+税
出版社: 六一書房
本文言語: 日本語

〈主要目次紹介〉

第I部 「東北弥生社会」へのまなざし
 第1章 序章—フィールドとしての「東北」
 第2章 研究の到達点と展望
第II部 時間軸の設定
 第3章 縄文時代晩期後葉〜弥生時代前期の土器編年
 第4章 弥生時代中期の土器編年
第III部 「弥生化経験」の社会誌
 第5章 遠賀川系要素の伝播と拡散
 第6章 本州島東北部の対内交渉と地域構成
 第7章 居住単位の変化
 第8章 集落・村落組織の再編
 第9章 集住化の二形態—津軽平野と仙台平野—
 第10章 水稲耕作の生産性と労働力
 第11章 食料資源利用の評価
 第12章 墓制にみる社会関係の変化
第IV部 本州島東北部の初期稲作農耕社会—その特質と意義—
 第13章 「東北弥生社会」の特質と意義
 第14章 狩猟採集民と農耕の関係性—「非文明」への視覚—
結論
あとがき