梅村 尚樹

プロフィール

梅村 尚樹 准教授 / UMEMURA Naoki
研究内容

中国前近代史を担当。専門は宋代の社会史・思想史ですが、当時の知識階級である士大夫(士人)層が、唐から明くらいまでの長いスパンの中で、どのように変化してきたのか、社会と思想の相互作用を手掛かりに研究を進めています。

研究分野
宋代社会史、思想史
キーワード
宋代史、士大夫、朱子学、科挙、学校
文学研究院 所属部門/分野/研究室
人文学部門/歴史学分野/東洋史学研究室
文学院 担当専攻/講座/研究室
人文学専攻/歴史学講座/東洋史学研究室
文学部 担当コース/研究室
人文科学科/歴史学・人類学コース/東洋史学研究室
連絡先

研究室: 512
TEL: 011-706-4196
Email: umemura*let.hokudai.ac.jp
(*を半角@に変えて入力ください)

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関連リンク

Lab.letters

Lab.letters 研究室からのメッセージ
東洋史学研究室梅村 尚樹 准教授

中国を変えた科挙と学校、
地域社会との関わりを見つめる

宋代に拡充された科挙によって、中国社会の政治と社会は大きく変わりました。科挙制度の浸透とともに受験者数は急増し、彼らが集う各地の「学校」は儒教の儀礼祭祀を行う学び舎であると同時に、中央での出世に備えて自分を売り込む人脈づくりや、地域の有力者・知識層同士がつながる地域コミュニティの場としても機能するようになっていきました。科挙合格の壁は非常に高く、大多数の受験者は不合格のあとも続く、その後の人生をどう豊かに生きていくか、という問いに向きあいます。人文学とは、人間とその人間の集合である社会を知る領域であり、私の研究もまた、中国の科挙というエポックメイキングな制度が及ぼした人々への影響や社会との関わりを見つめています。

朱子学を大成した朱熹が科挙に合格した年の合格者名簿「紹興十八年同年小録」。成績順にグループ分けされており、朱熹は第五甲の九十人目。順位は下位だが、十九歳での合格は合格者の中で最年少だった。
北京にある国子監の石経。儒教の経典は石に刻まれ、それをもとに本が作られた(梅村先生撮影)。

書かれていない背景を掴む
深彫りの魅力、漢文史料

漢文史料の精読は一足飛びに上達することは難しく、やはり厖大な量を読んで勘どころを養うのが一番の近道だと感じています。史料の書き手である中国の知識層が書く文章は、四書五経に代表されるような暗黙の共通理解が前提となっており、書かれた単語一つとっても、その背後に潜む“書かれていない背景”を読み解く力が重要になってきます。はじめは謎説きのように感じるかもしれませんが、読んだ分だけ糧となり、オリジナリティある研究へと結実していきます。

北海道大学は中国史研究の伝統があり、私の研究室でも宋代に限らず、さまざまなテーマに関心を持つ学生を歓迎します。深堀りできるからこそ面白い漢文史料の世界で、皆さんの来訪を待っています。

(聞き手・構成 佐藤優子)

メッセージ

漢文史料の世界

中国史の魅力を私なりに一言で表せば、圧倒的な量を誇る文字史料という点に尽きます。中国地域は歴史を通じても見ても、豊かな経済力と多くの人口を抱え、高度な文明を発達させた先進地域です。しかも文字による記録を重視してきたために、他地域では見られない豊富な文字史料が残されているのです。その幹に当たるのが漢文史料。解読は思ったよりも難しいのですが、たくさんの史料に触れていくうちに、何気ない文章が立体的に形を現してくることがあります。そうすると、過去の人々の感じる現実が、感覚として少しずつわかってくるのです。

「中国」史とは

そもそも「中国」とは何を指す言葉なのでしょうか。現在の中華人民共和国政府のみを指すわけではありませんし、その支配領域は必ずしも一定ではありません。一般的には、ユーラシア大陸の東部地域を指すのですが、近年の研究によれば、「中国」の歴史は、隣接する中央ユーラシアや東南アジアなどの海域世界と絶えず連動して発展してきたことがわかっています。中央アジアやヨーロッパ、あるいは日本などを視野に入れ、漢文以外の史料とうまく組み合わせれば、世界をつなぐ大きな関係が見えてくるかもしれません。

いずれにせよ中国史は蓄積が厚く、研究対象が多岐に渡る広大な分野です。過去に生きた人々や、それによって作られた社会をどう理解するか、自分なりの見方を是非、探してみてください。

研究活動

略歴

2005年、東京大学文学部卒業。2014年、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。2015年、博士(文学)取得。東京大学文学部教務補佐員、学術振興会特別研究員(PD)を経て、2020年4月より現職。

主要業績

  • (単著)『宋代の学校――祭祀空間の変容と地域意識』(山川出版社、2018年11月)
  • (共編著)宋代史研究会編『宋代史料への回帰と展開』(汲古書院、2019年7月、担当「文集史料の分布から見る宋元時代の地域史と断代史」pp.5-31)

所属学会

  • 史学会
  • 歴史学研究会
  • 東方学会
  • 中国社会文化学会

教育活動

授業担当(文学部)

  • 東洋史学演習
  • 東洋史学特殊講義
  • 漢文漢籍学

授業担当(文学院)

  • 東洋史学特別演習

授業担当(全学教育)

  • 歴史の視座

おすすめの本

  • 『科挙 中国の試験地獄』宮崎市定 著(中央公論社、1963年)
    千年続いた受験戦争の過酷さをリアルに描いた名著。現代まで続く中国的な学歴社会の根幹を見ることができる。