プロフィール
- 研究内容
夏目漱石・宮沢賢治・坂口安吾を中心に同時代言説との関連性を踏まえたテクストの美的機能とイデオロギーの分析。探偵小説というジャンルの再編をめぐる史的研究。少年・少女像の変容に関する図像的研究。
- 研究分野
- 日本近代文学、表象文化論
- キーワード
- メディアミックス、美的イデオロギー、セクシュアリティ、ミステリ
- 文学研究院 所属部門/分野/研究室
- 人文学部門/表現文化論分野/映像・現代文化論研究室
- 文学院 担当専攻/講座/研究室
- 人文学専攻/表現文化論講座/映像・現代文化論研究室
- 文学部 担当コース/研究室
- 人文科学科/言語・文学コース/映像・現代文化論研究室
- 連絡先
研究室: 403
TEL: 011-706-4034
FAX: 011-706-4034
Email: toshino*let.hokudai.ac.jp
(*を半角@に変えて入力ください)研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。- 関連リンク
Lab.letters
戦後生まれのサブカルチャー
批評性を持って作品を読み込む
近年、学生に非常に人気が高いサブカルチャーは戦後生まれ。敗戦からの復興とともに父は企業戦士に、母は専業主婦となり、母子の関係性が深まる新たな家族モデルが確立していきます。’70年代には女性や子どもを消費の担い手とする社会構造が出来上がり、今のオタク文化やかわいい文化の源流となる上質なサブカルチャーが隆盛しました。
面白いことに’70年代当時の子どものおこづかいを調べると、物価高を考慮に入れても現代の金額に近いことがわかりました。作品が生まれた時代背景や媒体特性を調べることで、作品の特質をさらに深く掘り下げて批評性をもって読むことが可能になります。
傍流が時代の鏡に成長
その魅力は国境を越えて
現在の指導学生が選んだテーマは、芥川龍之介や坂口安吾、つげ義春、野田秀樹、綾辻行人、西尾維新など作家やジャンルも十人十色。なかにウェブ小説、美少女ゲーム、BL・百合作品を研究している学生もいます。かつて傍流とされたサブカルチャーも今では時代を映す鏡となり、若者への影響力もはかりしれないジャンルへと成長しました。その昔、世界が浮世絵に見た”不思議の国”日本のエッセンスが現代ではマンガやアニメに凝縮されており、国境を越えて世界で受容されています。私が今後研究を進めたいと思うのは、山口雅也をはじめとする現代の特殊設定ミステリです。不思議な進化をとげた日本のミステリの特質を検証していきます。
(聞き手・構成 佐藤優子)
メッセージ
私の所属する「映像・現代文化論研究室」は、映画・写真・図像・マンガ・アニメなど映像に関わる事象を、日本・アジア・欧米の文化理論、思想史的研究、文学研究などと交錯させ、横断的、包括的に研究できる場となることを目指しています。
このような従来の学問領域や枠組みにとらわれない研究と教育成果の発表媒体して、『層』という機関誌もあります。タイトルの「層」には、複数の領域の重なりという意味と、硬直化したアカデミズムに地殻変動を起こすための裂け目といった意味が込められています。
私の専門は、日本近代現代文学・ミステリをはじめとして、日本を中心とした表象文化全般を担当しています。私の専門や研究室を具体的にイメージできるように、私が近年指導した学生たちの卒論や修論のテーマのいくつかを列挙しましょう。
「夢野久作『ドグラ・マグラ』論」「大江文学における女性像」「冲方丁作品研究」「京極夏彦『魍魎の匣』論」「小野不由美論」「阿部共実研究」「メタバース研究」「現代日本における鉄道文化と女子」「アドベンチャーゲーム論」…。
研究活動
略歴
1965年、山形生まれ。1989年、山形大学人文学専攻科修了。1994年、東北大学大学院文学研究科博士課程満期退学。広島文教女子大学専任講師を経て、2000年より北海道大学大学院文学研究科准教授を経て現職。2008年、博士(文学)取得。
主要業績
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『交差する日台戦後サブカルチャー史』共編著(北海道大学出版会)
- 『日本サブカルチャーを読む』共編著(北海道大学出版会)
- 『日本探偵小説を読む』共編著(北海道大学出版会)
- 『文学の権能』単著(翰林書房)
- 『宮沢賢治の美学』単著(翰林書房)
- 『童貞としての宮沢賢治』単著(ちくま新書)
- 『機械=身体のポリティーク』共著(青弓社)
- 『ヴィジュアル・クリティシズム』共著(玉川大学出版部)
所属学会
- 日本近代文学会
- 日本文学協会
- 宮沢賢治学会
- 坂口安吾研究会
- 昭和文学会
教育活動
授業担当(文学部)
- 日本文学演習
- 日本文学史概説
授業担当(文学院)
- 日本現代文化論特殊講義
- 日本現代文化論特別演習
授業担当(全学教育)
- 芸術と文学