内容紹介
従来、ナポレオンと教皇ピウス7世の和解は、フランス革命の成果を放棄し、カトリック教会にかつての利権を取り戻させた反動だと見られていた。しかし、両者の交渉を詳細に分析し、その対立点を明らかにすることにより、隠された実像が明らかになる。ナポレオンは実現可能な形でフランスにおける「礼拝の自由」を制度的に保障しようと努め、教皇がそれを黙認したことで、フランスで法に依拠した「礼拝の自由」の制度的保障が発足したのである。
著者からのコメント
フランス革命史の中でも、宗教史は比較的地味な位置付けにあります。しかし、フランスでは信仰は多くの人々の生活の基盤そのものであり、フランス革命による社会の激変の末に、そのあり方を問うたコンコルダには重要な意味があります。同時に、強国を相手に繰り広げられた教皇庁のしたたかな外交交渉は、教皇の発揮する力の源泉の一つでもあり、その詳細には興味深いものがあります。しかし、国家権力と強大な武力を手にする独裁者ナポレオンを相手に自分から声を上げたのは、教皇に交渉を委ねられた者達だけではありませんでした。様々な立場の人々が、それぞれの立場でメッセージを発信していたのです。
外部リンク
〔出版社〕山川出版社の紹介ページ