プロフィール
- 研究内容
ロマンス諸語の統語現象を生成文法の枠組で研究しています。最近はフランス・イタリア・スペイン語圏の文学作品を他のロマンス語へ翻訳する際に生じる問題について対照言語学的に考察するという研究も行っています。
- 研究分野
- フランス語学、ロマンス語学、統語論
- キーワード
- フランス語、ロマンス語、生成文法、翻訳
- 文学研究院 所属部門/分野/研究室
- 人文学部門/言語科学分野/言語科学研究室
- 文学院 担当専攻/講座/研究室
- 人文学専攻/言語科学講座/言語科学研究室
- 文学部 担当コース/研究室
- 人文科学科/言語・文学コース/言語科学研究室
- 連絡先
研究室: 421
Email: fujitat*let.hokudai.ac.jp
(*を半角@に変えて入力ください)研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。- 関連リンク
Lab.letters
ロマンス語研究の国内最前線
対照研究や生成文法の分野も充実
ロマンス語はラテン語から派生した言語グループ。フランス語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語などがその一群に入り、私や学生たちの研究対象となります。これだけ広範にロマンス語を横断的に取り扱い、しかも大学院レベルの専門性をもって勉強できる講座は国内でも他に例がなく、当研究室の大きな特徴だと自負しています。
また、日本語でも英語でもない「ロマンス語の生成文法」の分野に関しても国内きっての多角的な研究指導を行っています。院生には文学部以外の学部出身者も多く、現役のイタリア語講師の方が学ばれたこともあります。ロマンス語への熱意を共有する学びの同志をおおいに歓迎しています。
ルールからはみ出す言語の奥深さ
論理的な思考を養う実学の側面も
私たちの日常生活では言語の重要性を意識していないものの、いったん考察の対象となると大変奥が深いことに気づかされます。人間が生み出した有機的な言語を、自然科学で用いるような論理的な分析方法をもって解き明かしていく。すると一定のルールでは説明しきれないものに必ず出くわし、それをまたどう説明していくかを考える。このくみつくせない奥深さこそが言語学を彩る最大の魅力です。
学生にはゼミのプレゼンテーションを通じて、口頭での自己表現能力も磨いてもらいます。論理的な思考とその結果を他者に伝える表現力。社会で役に立つ力を養う実学としての側面にも注目してもらいたいですね。
(聞き手・構成 佐藤優子)
メッセージ
私の専門はロマンス語統語論で、理論統語論の枠組みで現象を説明したり、対照言語学的観点からロマンス諸語間の相違について観察・分析をしています。しかし学生の研究指導では、ロマンス語統語論に限らず、ロマンス諸語に関するあらゆる問題に関心をもつ方と一緒に勉強したいと考えています。今まで指導した学生の専門領域は、フランス語統語論・意味論・語彙論・形態論・音韻論、スペイン語統語論・意味論・語彙論、イタリア語統語論・意味論・語彙論、ロマンス諸語間の対照言語学、フランス語(あるいはスペイン語やイタリア語)と日本語や英語の対照言語学、英語から日本語への翻訳論、日本語からスペイン語への翻訳論、日本語生成文法・意味論、フランス語教育法と多岐に渡ります。
また、授業で言語学的な問題だけでなく、文学作品の翻訳の問題についても扱っています。小説を原語から他言語に翻訳する際にどのような問題が生じるかを、対照言語学的視点も交え具体的に議論しています。文学を読むのは好きだが文学自体の研究は難しくてできそうもないという方には、翻訳という角度から文学を追究するという方法もあり、北大文学部・文学院ではそういう勉強もできるのだということを知ってほしいと思います。
言語・文学の分野についての知識はまだそれほどないが、言語学・文学についていろいろ勉強したいという方は、北大大学院文学院に是非入学していただきたいと願っています。
研究活動
略歴
青森県立弘前高等学校卒、京都大学文学部卒、同大学院文学研究科(言語学専攻)修了、博士(文学)。室蘭工業大学工学部専任講師を経て現職。
主要業績
- 『フランス語 スペイン語 イタリア語 3言語が同時に身につく本』かんき出版 2024年
- “Considérations contrastives de l’article indéfini en français et en espagnol” Takeshi FUJITA 『北海道大学文学研究科紀要』第138号 pp.31-62 2012年
- 「ロマンス諸語における定冠詞の代名詞的性質」藤田健『北海道言語文化研究』第10号(北海道言語研究会) pp.7-22 2012年
- 『ロマンス語再帰代名詞の研究—クリティックとしての統語的特性』藤田健 北海道大学出版会 2010年
- 「イタリア語における再帰非人称構文の統語構造」 藤田健 『北海道言語文化研究』第6号(北海道言語研究会) pp.43-64 2008年
- 「ポルトガル語における名詞句の統語構造」 藤田健 『北海道大学文学研究科紀要』第124号 pp.103-135 2008年
- 「スペイン語における使役構文の統語構造について」 藤田健 『ロマンス語研究』第39号 pp.31-40 2006年
- 「ルーマニア語における間接目的語のクリティック・ダブリング現象の統語的分析」 藤田健 『認知科学研究』第4号(室蘭認知科学研究会) pp.25-44 2006年
- “Les pronoms clitiques non-réfléchis en français” Takeshi FUJITA 『言語研究』第115号(日本言語学会) pp.7-49 1999年
所属学会
- 日本言語学会
- 日本ロマンス語学会
- 日本フランス語学会
- イタリア学会
教育活動
授業担当(文学部)
- フランス語学概論
- フランス語学
- フランス語学演習 I
- フランス語学演習 II
- ヨーロッパ社会文化論
授業担当(文学院)
- 多文化共生論
- 西洋言語学特殊講義
- 西洋言語学特別演習
授業担当(全学教育)
- 外国語特別演習
おすすめの本
- 「フランス語とはどういう言語か」大橋保夫他 (駿河台出版社)
フランス語が言語学的にどのような特徴をもつ言語であるかを分かりやすく解説した本です。フランス語学を学び始めるに当たって最初に読むことをお勧めできる入門書です。