小川 健二

プロフィール

小川 健二 准教授 / OGAWA Kenji
研究内容

ヒトが巧みな身体運動を学習したり、他者の行為を認識する脳内メカニズムについて、行動実験や機能的核磁気共鳴画像(fMRI)などの脳機能計測法を使って解明しています。

研究分野
認知神経科学(特に運動学習や社会認知)
キーワード
運動学習、身体像、社会認知、脳機能イメージング
文学研究院 所属部門/分野/研究室
人間科学部門/心理学分野/心理学研究室
文学院 担当専攻/講座/研究室
人間科学専攻/心理学講座/心理学研究室
文学部 担当コース/研究室
人文科学科/人間科学コース/心理学研究室
連絡先

研究室: 420
Email: ogawa*let.hokudai.ac.jp 
(*を半角@に変えて入力ください)

研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。
関連リンク

Lab.letters

Lab.letters 研究室からのメッセージ
心理学研究室小川 健二 准教授

情報科学の手法を駆使して
心を生み出す脳の仕組みを解明

認知神経科学とは、ヒトの心のはたらきを脳の神経活動から説明する学問分野です。この研究室では、心の営みという極めて文系的なテーマに対し、心理物理実験や機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)などの脳機能イメージングに加え、機械学習や多変量解析などの情報科学の手法を用い、脳の仕組みや情報表現の解明に取り組んでいます。現在、特に関心を持っているテーマは運動学習と社会認知。観察した他者の行動を、自分が行なっているかのように映し出す「ミラーシステム」や、運動中の脳活動をリアルタイムで本人にフィードバックする「ニューロフィードバック」など、身体性に基づいた認知と脳の関連性を掘り下げていきたいです。

fMRI等の科学技術の進歩にともない認知神経科学の研究は急速に発展している。
最新の研究では、「ニューロフィードバック」を使うことで、効果的な運動学習(例えば複数の回転変換への同時適応)ができる可能性を探っている。

心理学・脳科学のノウハウを吸収
トップアスリートも研究テーマに

北海道大学の心理学講座は心理学と脳科学にまつわる様々な研究ノウハウを持っている先生方が揃い、さらに総合大学の強みとして医学部や各機関との連携といった学部横断的な研究を可能にする土壌を持っています。

他方、心理や脳に関心を寄せる学生の中には”世界でトップクラスのサッカー選手は自分が走っているフィールドを鳥瞰的に見ることができる”という説を脳科学的に検証したい、と自分なりのテーマを設定した学生もいます。まだまだ「わからないことだらけ」の分野ですので研究テーマは自分次第。このサッカー選手の例も私には思いもつかないものでしたので、今後皆さんがどんなテーマを見出すのか非常に楽しみに待っています。

(聞き手・構成 佐藤優子)

メッセージ
こんな研究をやってみませんか?!

私たちの複雑な心の動きは、脳の無数の神経細胞の活動から生じています。fMRIに代表される脳計測や解析技術の進展により、人の心を生み出す物質的基盤を解明する手段が整ってきています。例えば「自分とは何か」とは、古くから哲学や宗教で問われてきたテーマですが、最近では認知神経科学からも研究されるようになっています。私たちは普段、自分の身体を自由に動かしたり、頭の中で運動をイメージすることができますが、自己の身体意識は脳が都合よく作り出した一種の錯覚のようなものです。その証拠に脳の一部が損傷を受けると、自分の身体と他人の身体との区別がつかなくなったり、自分が自身の体から抜け出たような体外離脱現象が生じたりすることが知られています。当研究室のテーマのひとつは、人の巧みな身体運動や主観的な身体意識を生み出す脳内機構を解明することです。

うちの研究室ならではの教育

研究を行なう上で英語はもちろん、数理統計やプログラミング等も必要で、文学部の中でも理系に近い分野です。しかし例えば受験で数学が苦手だった人でも、具体的な研究目標から数学を学び直すことで、その真の意味や楽しさを再発見することができるはずです。「研究は究極の遊び」と言います。自分の選んだテーマを突き詰め、世界を相手に研究する喜びを皆さんと共有したいと考えています。

研究活動

略歴

京都大学大学院情報学研究科博士課程修了、博士(情報学)。日本学術振興会特別研究員、科学技術振興機構研究員、ATR脳情報通信総合研究所研究員を経て現職。

主要業績

  • 『よくわかる認知科学』乾敏郎, 川口潤, 吉川左紀子編(ミネルヴァ書房)
  • Ogawa K. & Imamizu H. (2013) Human sensorimotor cortex represents conflicting visuomotor mappings. The Journal of Neuroscience, 33(15), 6412-6422.
  • Ogawa K. & Inui T. (2012) Multiple neural representations of object-directed action in an imitative context. Experimental Brain Research, 216(1), 61-69.
  • Ogawa K. & Inui T. (2012) Reference frame of human medial intraparietal cortex in visually guided movements. Journal of Cognitive Neuroscience, 24(1), 171-182.
  • Ogawa K. & Inui T. (2011) Neural representation of observed actions in the parietal and premotor cortex. NeuroImage, 56(2), 728-735.

所属学会

  • 日本心理学会
  • 日本認知心理学会
  • 日本神経心理学会
  • 日本神経科学会
  • 日本神経回路学会
  • Society for Neuroscience

教育活動

授業担当(文学部)

  • 基礎心理学
  • 心理学実験実習
  • 心理学特殊演習
  • 心理学研究法

授業担当(文学院)

  • 総合社会情報論
  • 心理学特殊講義
  • 思考過程論特別演習

授業担当(全学教育)

  • 一般教育演習(フレッシュマンセミナー)
  • 心理学実験

おすすめの本

  • 『脳のなかの幽霊』V・S・ラマチャンドラン(角川文庫)
    脳損傷患者の一見奇妙な症例を通して、脳と心の不思議が活き活きと描かれており、人間観が揺さぶられる一冊