プロフィール
- 研究内容
- スラブ諸語の類型的な文法研究
- 言語接触の諸問題(特にバルカン半島の言語状況、また南スラブ諸語の標準語成立の過程など)
- 少数話者言語とアイデンティティ
- 研究分野
- 言語学、スラブ語学
- キーワード
- スラブ語、言語類型論、言語接触、社会言語学
- 文学院 担当専攻/講座/研究室
- 人文学専攻/スラブ・ユーラシア学講座/スラブ・ユーラシア学研究室
- 連絡先
研究室: スラブ・ユーラシア研究センター519
TEL: 011-706-3158
Email: mnomachi*slav.hokudai.ac.jp
(*を半角@に変えて入力ください)研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。- 関連リンク
Lab.letters
言語の接触から生まれる
多様な言語構造の変化に着目
「文化のモザイク」と呼ばれる東南ヨーロッパでは政治や社会の変動にともない様々な言語が接触し、多様な言語構造の変化を繰り返してきました。例えば、セルビア語は方言差が大きく、同じ国内でも時に違う言語と思われるような違いが見られます。では、なぜこういうことが起きたのか、タイプの違う言語構造が共存するまでの歴史的な背景や変化の道のりを解明していきます。
今最も注目している言語は、長年ポーランド語の方言として扱われてきたカシューブ語です。近年ではポーランド語とカシューブ語が併記されている街頭表示も出てきました。現地の母語話者たちの協力を得て、貴重な言語データを採集しています。
数々の国際会議成功の実績と
優秀な人材でスラブ研究を推進
スラブ語研究は日々国際化が進んでいます。2011年には私が事務局となり、「国際スラビスト会議」のうち、世界15カ国からスラブ諸語の文法研究を代表する研究者たちが集う本邦初の大規模部会会議を開催しました。2013年にはスラブ語を地域と類型という視点から検討する国際会議(ポスターPDF)、2015年にはスラブ世界の少数話者言語と標準語形成の諸問題について(ポスターPDF)、2016年はそれを発展させる形でスラブ諸国における標準語イデオロギーを論じる国際会議(ポスターPDF)を、2018年には中・東欧を題材に社会変化と言語変化の相関を多角的に分析する学際的なシンポジウム(ポスターPDF)を組織しました。世界のトップクラスの研究者を招へいした国際会議を成功させた実績と優秀なスタッフを配する環境は、北海道大学におけるスラブ研究の大きな強みです。
本講座では、歴史学、文学、経済学、政治学など隣接する他分野の研究者との接触が日常的に行われており、さまざまな知的刺激に満ち溢れています。スラブ語研究を志す方はぜひここで地域全体から言葉を眺め、一分野や一言語だけにとらわれない複眼的な視野を養っていきましょう。
メッセージ
研究方針
スラブ語といえば、その代表的な言語はロシア語だと思いますが、スラブ世界には実に多様な言葉があり、同時に言葉と同じ数だけの文化が存在します。本研究室では、例えばロシア語の音声や文法といった言語の内的な研究に限らず、様々なスラブ人の豊かで多様な言語とその文化を、特に比較の視点から研究することを目指しています。
教育方針
スラブ語のどの一言語を研究するにも、その言葉以外のスラブ諸語についての知識を身につけることは、研究の幅を広げ、その質を高めるのに大変重要なことです。したがって、本研究室では専門以外のスラブ語の学習が期待されています。これまでロシア語を勉強してきて、その研究の視野をスラブという枠組みに広げたい方、複数のスラブ語・文化の比較研究にご関心をお持ちの方をお待ちしています。
研究活動
略歴
1976年生まれ。2000年東京大学文学部言語文化学科スラヴ語スラヴ文学専修課程卒業、2008年東京大学大学院人文社会系研究科欧米系文化研究専攻(スラヴ語スラヴ文学)博士課程単位取得退学、2011年博士(文学)。同年5月より北海道大学スラブ研究センター准教授。2017年10月同教授。
主要業績
- 受賞
- (co-edited by Andrii Danylenko) Slavic on the Language Map of Europe, Mouton de Gruyter, Berlin/Boston, 2019.
- (co-edited by Tomasz Kamusella and Catherine Gibson) The Palgrave Handbook of Slavic Languages, Identities and Borders, Palgrave McMillan, London, 2015.
- (co-edited by Andrii Danylenko and Predrag Piper) Grammaticalization and Lexicalization in the Slavic Languages, Verlag Otto Sagner, München, 2014.
- On the Second Be Periphrasis (BE-2) in Kashubian: Its Grammatical Status and Historical Development, Slavia, časopis pro slovanskou filologii, Vol. 84, No. 3, pp.268-283, 2016.
- Possessive Constructions in the South Slavic Languages: Some Implications for Areal Typology, Balkanistica, Vol.28, pp.337-360, 2015.
所属学会
- 日本ロシア文学会
- 日本スラヴ学研究会
- 日本言語学会
- Slavic Linguistics Society
教育活動
授業担当(文学部)
- スラブ社会文化論
授業担当(文学院)
- スラブ・ユーラシア総合研究特別演習
- スラブ・ユーラシア文化研究特別演習
おすすめの本
- 角田太作著「世界の言語と日本語」(くろしお出版)
言語を比較・分類する意味とその実践の方法について述べた本です。これから言語の比較・対照研究を考えていらっしゃる方は、高度な内容を一般の人にもわかりやすく説いた本書を読むことをお勧めします。