プロフィール
- 研究内容
複数のモダリティから情報を並列的に取り込み、それを対象認識に活用する人間のダイナミックな認知メカニズムに関して、特に視覚と触運動というモダリティに焦点を当て、実験的な検討を行っている。
Lab.letters
見て触ってリンゴを認識する
その背後に潜む情報処理とは
学生時代から私の大きな関心は「視空間」にありました。なかでも、視覚や触運動という複数のモダリティ(外界を知覚する手段)を通して、対象についての表象(特に視空間的なもの)を形成していく過程に大きな興味を持つようになり、メインの研究テーマとして取り組んでいます。例えば、我々がリンゴを手にして見ている時、目から形態・色などの情報を、手からは形態・触感・温度などの情報を同時に取り込んでいます。こうした数多くの情報を巧みに処理しながら、リンゴを一つの物体として感じる我々人間の素晴らしい知覚システムは、一体どんなメカニズムによって成立しているのか。このような謎にさまざまな実験を通して迫っていきたいと考えています。
厚い教員層が横断的に支援
現象の背後にまなざしを注ぐ
北海道大学に進む利点は、第一に心理システム科学講座を構成する教員陣の層の厚さがあげられます。各先生の専門分野が多岐に渡るため、自分の専門外の研究事象についても色々な先生に相談しにいくことができ、それに対してどの先生も気さくにアドバイスしてくださいます。また、北海道という落ち着いた環境で、じっくりと腰を据えて独自の理論を構築できる点も本学ならではの魅力かもしれません。他方、学生に必要な心構えとしては、「自分の中に存在する研究上の大きな問い」をつねに意識すること。実験で得られた現象記述だけにとらわれず、その背後にどのようなメカニズムがあるかを考え続けてください。そう意識することで研究も楽しくなり、次にやるべきことも見つかりやすくなります。
(聞き手・構成 佐藤優子)
メッセージ
我々は物体を認識する際、視覚から情報を取得する以外に、その物体を手で触って形態や触感を感じとることによって、より深くその物を知ることができます。視覚や触覚、聴覚で得られた情報は、認知処理の過程の中でどのように統合され、そして、我々はそうした情報をどのように利用しているのでしょうか。私は、こうした人間の複数感覚を用いた情報処理メカニズムの解明を目指して研究をおこなっています。
認知心理学は、様々な工夫を加えながら独自の実験課題を創作し、実験を通じて「人の心という未知のブラックボックス」を解明していく学問と言えるでしょう。こうして人の心のなぞを読み解いていく作業は、知的好奇心を刺激するとてもエキサイティングなものです。皆さんも、北海道大学の心理学研究室の教員や学生と一緒に、心の研究の楽しさに触れてみませんか。
研究活動
所属学会
日本心理学会、日本イメージ心理学会、北海道心理学会
教育活動
授業担当(文学部)
- 心理学実験実習
授業担当(文学院)
- 知識構造論特別演習