近藤 浩之

プロフィール

近藤 浩之 教授 / KONDO Hiroyuki
研究内容

中国湖南省長沙より出土した馬王堆漢墓帛書を中心として、出土資料に基づいて、中国古代の思想を研究している。

研究分野
中国古代思想、易学思想史
キーワード
中国思想、周易、易学、諸子百家、春秋戦国
文学研究院 所属部門/分野/研究室
人文学部門/表現文化論分野/中国文化論研究室
文学院 担当専攻/講座/研究室
人文学専攻/表現文化論講座/中国文化論研究室
文学部 担当コース/研究室
人文科学科/言語・文学コース/中国文化論研究室
連絡先

研究室: 426
Email: kondohy*let.hokudai.ac.jp 
(*を半角@に変えて入力ください)

研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。
関連リンク

Lab.letters

Lab.letters 研究室からのメッセージ
中国文化論研究室近藤 浩之 教授

師の遺志を受け継ぎ、足かけ8年
学びの絆で易学の大著を完成

日本では「占い」でおなじみの「易」(えき)ですが、中国では宇宙観や思想・学問すべての原理として最上位に置かれる経典です。そして北大の易学研究といえば、国内随一とも呼べる実績が自慢。平成21年春に、易学研究の大家・朱伯崑先生が記した『易学哲学史』の訳注(全四巻・総2068ページ)を出版しました。この一大事業の大黒柱であられた伊東倫厚先生が亡き後も、私を含む総勢37名がその遺志を受け継ぎ、足かけ8年の歳月をかけて完成させることができました。

研究者同士が手をたずさえて大志に挑む、北大ならではの”学びの絆”が生んだ大著だと、関係者全員が誇りに思っています。

ついに完成した訳本『易学哲学史』全四巻。
OBも楽しみにしている会報誌「中哲通信」

そこまでするのか、蘇秦の謀略
漢文から立ち上る新たな人間像

軽い気持ちで授業の題材に選んだ縦横家(外交交渉のプロ、また今でいう国際スパイ)の一人、蘇秦(そしん)には驚かされました。『戰国縦横家書』に記されている彼の行動には謎が多く、人間関係や地理・起きた出来事の順序などを整理していくと、驚くべき人間像が立ち上がってきたのです。知略・謀略を尽くした嘘八百の中にたった一つ、蘇秦が貫き通した真実が浮かび上がってきたときには、全身が震える感動を味わいました。

こうした探究心の源は「好きであること」の一言に集約されます。一文字もおろそかにできない漢文資料から新たな人間像を結ぶ感動のダイナミズムをあなたも一緒に体験しませんか。

(聞き手・構成 佐藤優子)

メッセージ

中国の文献をじっくり読めば、時間も空間も超えて視野がどんどん広がります。例えば、有名な歴史書に書かれているからと言って、それがそのまま歴史的事実ではないのです。もはや『史記』の記述を鵜呑みにするわけにはいかないということを我々に如實に知らしめたのが、1973年に湖南省長沙市の馬王堆三号漢墓(前漢文帝期、前168年下葬)から発見された『戦国縦横家書』、特にその第一章から第十四章までに収められた蘇秦に纏わる書簡や言説を記した史料でした(『史記』と重なる部分が存在するのは第五章のみ)。ただ、それらもまた、『史記』とは別の歴史の可能性を示しているに過ぎません。

しかし、そこから浮かび上がってくる蘇秦像は、解釈次第では、一人の平凡な外交官が、コペルニクス的な発想の転換によって捨て身の大作戦を着想し、遂に世界がひっくり返るような結末を実現してしまう、という一大活劇の主人公のように見えます。漢代の人々は、『史記』には書かれなかった、このような別の蘇秦物語も楽しんでいたのでしょう。そこには歴史だけでなく、文学や思想の楽しみもあふれています。

蘇秦は燕の王様に向かって云います。「仁義などは、自分のためにする事で、人のためにする事ではなく、いわば自己満足の術であって、進取の路ではありません。……私は進取の臣です。何かを為そうとする志の無い君主にお仕えするつもりはありません。」進取の志の無い人に、私も何も教えたくはありません。やる気のある人だけが門を叩いて下さい。

研究活動

略歴

平成11年3月 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程 単位取得退学、平成11年4月 日本学術振興会特別研究員(研究従事機関:東京大学東洋文化研究所)、平成12年4月 北海道大学大学院文学研究科助教授(中国文化論講座)、平成19年4月 北海道大学大学院文学研究科准教授(中国文化論講座)

主要業績

  • 『年号と東アジア』水上雅晴(編)、髙田宗平(編集協力)、近藤浩之(分担執筆; 第一部、附録担当)、八木書店、2019年4月
  • 『易学哲学史』(全四巻)伊東倫厚監訳、近藤浩之主編(朋友書店、2009年4月10日刊行予定)
  • 「『戰國縱横家書』蘇秦紀事本末案」(『中国哲学』第35号、2007年8月、81-115頁)
  • 「『日書』より見た『周易』卦爻辭の用語・語法に關する考察」(大野裕司との共著、渡邉義浩編『両漢における易と三礼』、汲古書院、2006年9月、59-76頁)
  • 「『孟子』萬章下篇「其至爾力也、其中非爾力也」の再解釋」(『中国哲学』第34号、2006年3月、89-108頁)
  • 「『戰國縱横家書』に見える蘇秦の活動に關する試論」(『中国哲学』第32号、2004年3月、17-56頁)

所属学会

  • 東方学会
  • 日本中国学会
  • 中国出土資料学会
  • 中国社会文化学会
  • 北海道中国哲学会

教育活動

授業担当(文学部)

  • 中国語学文学 
  • 中国思想
  • 中国思想演習 
  • 日本漢文学

授業担当(文学院)

  • 中国文化論特殊講義
  • 中国思想特別演習

授業担当(全学教育)

  • 思索と言語

おすすめの本

  • 『論語』 木村英一訳・注 (講談社文庫)
    中国古典の中で最も「つまらない」か最も「面白い」ベストセラー。「衆悪之、必察焉。衆好之、必察焉。」