樋口 麻里

プロフィール

樋口 麻里 准教授 / HIGUCHI Mari
研究内容
  1. 障がいや病をもつ人々およびその家族に対する社会的排除
  2. 家族やジェンダーに関する社会意識
  3. 質的調査法
研究分野
社会的排除論、福祉・医療社会学、ジェンダー論、家族社会学、国際比較
キーワード
社会的排除、脆弱性、ケア、家族、質的調査法
文学研究院 所属部門/分野/研究室
人間科学部門/社会学分野/社会学研究室
文学院 担当専攻/講座/研究室
人間科学専攻/社会学講座/社会学研究室
文学部 担当コース/研究室
人文科学科/人間科学コース/社会学研究室
連絡先

Email: m.higuchi*let.hokudai.ac.jp
(*を半角@に変えて入力ください)

Foreign exchange students who want to be research students (including Japanese residents) should apply for the designated period in accordance with the “Research Student Application Guidelines”. Even if you send an email directly to the staff, there is no reply.

研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。
関連リンク

Lab.letters

Lab.letters 研究室からのメッセージ
社会学研究室樋口 麻里 准教授

社会的排除が映し出す
理想の社会像に迫る

私はどのような社会であれば、病や障がいのある方、特に精神障がいのある方とその家族が、安心して生活できるのかを研究しています。日本の精神科入院期間は、諸外国と比べて非常に長いです。入院が長引くと、家族や友人、学校、職場、地域との関わりが途切れ、社会的排除という状況に陥りやすくなります。精神障がいのある方が安心して生活できる仕組みを作るには、人々がどのような社会を望ましいと思っているかという価値観と、精神障がいのある方に対する社会の処遇との関係を考えることが重要だと私は考えています。たとえば私が調査しているフランスでは、精神障がいのある大人を受け入れる里親制度があり、家族に頼れない人の一部を受け入れています。他国と比べることで、それぞれの社会の価値観の一端を明らかにすることに関心を抱いています。

フランスでは頻繁に各地でデモが行われ、市民が政治を動かす実例が広く浸透している。
フランスでは頻繁に各地でデモが行われ、市民が政治にはたらきかけることが広く浸透している。
各QDAソフトウェアの機能の特徴と、質的データの分析方法とを照らし合わせて考えることで、ソフトウエアを自分の研究スタイルに合わせて活用できる。(図の出典:樋口麻里2017, 2018より一部加工)
各QDAソフトウエアの機能の特徴と、質的データの分析方法とを照らし合わせて考えることで、ソフトウエアを自分の研究スタイルに合わせて活用できる。(図の出典:樋口麻里2017, 2018より一部加工)

分析プロセスを可視化する
ソフトウエアの活用

現在、社会学に限らず質的調査を行う研究者の間では、質的データの収集・管理・分析を効率化するQDAソフトウエアが浸透し始めています。それにともなって、データ分析のプロセスも可視化できるようになってきました。分析の途中で他者と意見交換することも容易になり、授業や共同研究の際にも非常に有効です。ただ、ソフトウエアの機能をフル活用するには、まず質的調査の方法への理解が必要です。質的調査法のスキルを身に付けたいという方はぜひ、当研究室のドアをノックしてください。研究テーマの発掘はどうぞ、皆さんが自分で「これだ!」と思うものを。

私同様道外から来た人は北海道で感じた驚きや新鮮な雰囲気をヒントに、自分らしい関心を育んでいってほしいと思います。

メッセージ

誰でもこれまでの人生で、大なり小なり「生きていくのが辛い」と感じた経験があると思います。またその辛さが耐え難いとき、「なぜ自分はこんなに苦しいのか」と思い悩んだのではないでしょうか。辛さの原因を究明することができれば、そこから脱出したり辛さを回避したりできる可能性がでてくるでしょう。
原因の究明には様々なアプローチがありますが、社会学では、目には見えない社会の影響力という視点から原因を考えていきます。社会の影響力に気づくには、社会調査の方法を学ぶことが有効です。自分や他者の置かれている状況を量的・質的調査によって分析することで、冒頭にあげた生き辛さが、単純に個人の資質や能力の問題だけに還元できないことが見えてきます。
社会学研究室では、量的調査と質的調査を専門とする教員がそれぞれいますので、社会調査の方法をまんべんなく学ぶことができます。現代社会で起こっている様々な現象について、社会の影響力がどのように働いているのかを、社会調査を通して一緒に考えてみませんか。

研究活動

略歴

大阪大学医学部保健学科看護学専攻卒、同大学大学院人間科学研究科博士課程修了。大阪大学大学院人間科学研究科助教、日本学術振興会特別研究員を経て現職。

主要業績

  • Ikuko Natsukari, Mari Higuchi, Tai Tsujimoto, 2023,”How do patients and families evaluate attitude of psychiatrists in Japan?: quantitative content analysis of open-ended items of patient responses from a large-scale questionnaire survey,”BMC Psychiatry 23, 253. https://doi.org/10.1186/s12888-023-04732-w
  • 樋口麻里,2022,「人々の脆弱性が社会にもたらすのは負担だけか――フランスの精神医療福祉従事者への質的調査を通した『ケアの互酬性』の再考」『北海道大学文学研究院紀要』167号:31-74.
  • 樋口麻里, 2021,「2章 医療と福祉のゆくえ」友枝敏雄・樋口耕一・平野孝典編著『いまを生きるための社会学――いまを生きるためのシリーズ』丸善出版:52-67.
  • Mari Higuchi,2020,”Why do married women in Japan support unequal gender norm of “working and caring”?” in C. Hommerich, N. Sudo, T. Kikkawa eds., Social Change in Japan, 1989-2019: Social Status, SocialConsciousness, Attitudes and Values, Routledge:149-168.
  • 樋口麻里,2018,「質的調査法の教育におけるQDA ソフトウェア利用―MAXQDA12 を事例として」,『年報人間科学』第39号:29-43.

教育活動

授業担当(文学部)

  • 社会学概論
  • 社会変動論
  • 社会学演習
  • 社会学特殊演習
  • 社会学研究法
  • 社会調査法実習

授業担当(文学院)

  • 社会学理論特別演習
  • 社会変動論特別演習

授業担当(全学教育)

社会の認識