プロフィール

林 琢也 准教授 / HAYASHI Takuya
研究内容

人間と場所の関わりに注目して、フィールドワークを重視した研究を進めています。
下記の5つのテーマが中心となります。
①農村の観光や地域づくり、農業振興の場における様々なアクターの働きかけ、連携・協力体制のあり方、リーダーシップや起業家精神を発揮できる環境や要件
②移住者の実践が地域社会や住民に与える影響・効果、移住・定住支援の現場における仲介者の役割
③世界遺産登録や観光地化の功罪
④都市における「農」の役割
⑤農業分野における知的財産権の活用、ブランディング戦略

研究分野
農村地理学、経済地理学、観光学、地域づくり論
キーワード
リーダーシップ、連携・協働、コミュニティ、観光農園、移住
文学研究院 所属部門/分野/研究室
人間科学部門/地域科学分野/地域科学研究室
文学院 担当専攻/講座/研究室
人間科学専攻/地域科学講座/地域科学研究室
文学部 担当コース/研究室
人文科学科/人間科学コース/地域科学研究室
関連リンク

Lab.letters

Lab.letters 研究室からのメッセージ
地域科学研究室林 琢也 准教授

地域づくりの理論・実証・実践研究

私は農村地域の住民が中心となりながらも、移住者や地域外の有志とともに地域づくりを進めていくための方法や連携のあり方に関心をもっています。地域の変化に及ぼす人間の影響は大きく、私は現地での聞き取りやアンケート調査、参与観察、協働活動をもとに分析・考察しています。

また、フィールドでの調査・研究のみならず、学生教育や地域連携活動を有機的に結び付けることで、私自身や学生の研究の視点や考え方も深まっているように思います。現場をリアルに感じることで,地域の事象やそこに暮らす人たちの意識や行動の理解が増し、調査フィールドでの協働活動(実践)が、理論や実証研究を深化させるという好循環が生まれつつあるように感じています。

フィールドワークとしては、毎年、ゼミの学生とともに、岐阜県郡上市和良町において、地域づくりや移住、観光振興、農村コミュニティについて聞き取りをおこなう調査実習を実施しています。また、当該地域の祭り(和良鮎まつり)では、ゼミで開発した商品(アイテム)の販売やクイズイベントを開催しています。
郡上市和良町では、毎年、林ゼミの出前・卒論発表会を開催しています。地域づくり活動に関心の高い人たちの前で、学生が自分の研究成果を報告し、ともに議論することは、貴重な学びの場となっており、参加者にとっても他地域の事例や取り組みの有効性や問題点を知り、次の活動や企画を考える一助になればと思い、2016年度より続けています。

文理融合の思考を鍛える
総合科学としてのフィールドワーク

学生指導では、卒業後の人生においても糧となるような学びを習得できるように心がけています。フィールドワークは協力してくださる方々がいて初めて成立するものです。調査での立ち居振る舞いや感謝の気持ちなど大切なことをおざなりにせず、1人の人間として成長して欲しいと願っています。

その地域で起きている現象を丹念に調査・分析し、理解するには文系理系を問わず様々な分野の研究成果や理論などにも目を配ることが必要であり、そうした知見も含めた上で総合的に地域を捉えることが不可欠です。それは地理学が総合科学といわれるゆえんでもあります。学生時代にフィールドワークを経験することで文理融合の思考を身に付け、願うことならば、お世話になった地域への還元や応援の気持ちを長く持ち続けてくれたら嬉しいです。

メッセージ

<研究の内容と特徴>
人文地理学の視点から農山村や観光地を対象にした研究を行っています。農山村の活性化や観光化のあり方を考える場合,万能薬は存在せず,それぞれの地域の特性に応じた対応や戦略が必要です。そのためには,事前に既往の研究論文や学術書,関連資料を読み込み,統計データの分析等を行った上で,現地へ赴き,関係者にインタビューやアンケート調査を行うことが不可欠です。また,集会や会合に参加させてもらったり,一緒に地域づくりの活動やイベントに取り組むこともあります。こうした作業を繰り返すことで,研究対象とする地域やそこで起きている現象を解釈するためのピースが揃っていきます。実際にフィールドに出かけ,興味や関心をもったことの背後にあることを明らかにしていくことは,推理小説やサスペンスドラマの結末を予測しながら「謎」を解き明かしているような気分に近いかもしれません。

研究活動

略歴

筑波大学大学院修了、博士(理学)。首都大学東京(都市環境学部)特任助教、岐阜大学(地域科学部)助教・准教授を経て現職。

主要業績

  • 「農村への移住・定住に果たす仲介者・支援団体の役割-岐阜県郡上市「和良おこし協議会」と移住者の関係に注目して-」一般財団法人 北海道開発協会『北海道における移住・定住に向けた取り組み』,2023年。
  • 「文化遺産の観光化と真正性を考える-ベトナム・トゥアティエン=フエ省を事例に-」茨城地理23,2022年。
  • 「愛知県田原市における輪ギク生産地域の維持・発展システム-生産者のネットワークに注目して-」地学雑誌128(2),2019年。
  • 「地域づくりの現場で学ぶフィールドワーク教育の成果と課題―郡上市和良町を事例に―」経済地理学年報65(1),2019年。
  • 「東京都における観光農園の立地と果樹園経営の持続性」分担執筆『ツーリズムの地理学―観光から考える地域の魅力―』(二宮書店),2018年。
  • 「知的財産権を活用した農業振興の可能性」経済地理学年報61(1),2015年。
  • 「『取り残される農村』は消滅していくのか? ―郡上市和良町での「経験」とそれをもとにした『反証』―」地理空間8(2),2015年。
  • 『長良ぶどう発達史』編著(長良ぶどう部会・記念誌出版実行委員会)2013年。
  • 「山梨県南アルプス市西野地区におけるアグリ・ツーリズムの変化と観光農園経営者の適応戦略」地学雑誌122(3),2013年。
  • 『役に立つ地理学』共編著(古今書院),2012年。
  • 「Sustainable Systems of Agri-tourism in a Cherry-growing Area:A Case Study of the Miizumi Area, Sagae City, Yamagata Prefecture」Geographical Review of Japan Series B 82(2),2010年。
  • 「青森県南部町名川地域における観光農業の発展要因―地域リーダーの役割に注目して―」地理学評論 80(11),2007年。
  • 「環境保全型農業の地域的普及条件-十和田市における中嶋農法を事例に-」新地理53(1),2005年

所属学会

日本地理学会、人文地理学会、経済地理学会、東京地学協会、日本村落研究学会、観光学術学会、農村計画学会など

教育活動

授業担当(文学部)

  • 地域科学演習(地域づくり論)
  • 地域科学演習(観光学と農村研究)
  • 野外調査法実習
  • 地域科学特殊演習

授業担当(文学院)

  • 経済地理学特別演習(農村振興論)
  • 経済地理学特別演習(観光地域論)
  • 地域科学特殊講義

授業担当(全学教育)

  • 社会の認識(経済・社会の地理学)