コーカーケイトリンクリスティーン

プロフィール

コーカー・ケイトリン・クリスティーン 准教授 / COKER Caitlin Christine
研究内容

人類学をしている。それは、特定の場所で特定の人々と共に過ごして彼らの生活と世界に没頭することで、生きるということを深く考察する、実践の経験を持って創造的かつ哲学的ノンフィクションを編み出す研究。

研究分野
人類学、身体化論、パフォーマンス研究、情動論
キーワード
アフェクト(情動)、感覚、想像力、生成変化、実践の共同体
文学研究院 所属部門/分野/研究室
人文学部門/文化多様性論分野/文化人類学研究室
文学院 担当専攻/講座/研究室
人文学専攻/文化多様性論講座/文化人類学研究室
文学部 担当コース/研究室
人文科学科/歴史学・人類学コース/文化人類学研究室
連絡先

研究室: 410
Email: coker*let.hokudai.ac.jp
(*を半角@に変えて入力ください)

研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。
関連リンク

Lab.letters

Lab.letters 研究室からのメッセージ
文化人類学研究室コーカー・ケイトリン・クリスティーン 准教授

暗黒舞踏、ポールダンス・・・
文化人類学で見る舞踏の世界

1960年代に土方巽(ひじかた・たつみ)が立ち上げた「暗黒舞踏」。その現役の踊り手たちの合宿に参加したときのことです。土方巽の孫弟子にあたる踊り手が、目が見えないと信じて踊っているのを見ているうちに、私自身の視界も白くなっていく感じがして、空間が変容しました。土方の弟子である故・和栗由紀夫さんは「踊ることは鑑賞者をmake them fall in love with you(恋させちゃう)こと」とも話しており、文化人類学的な視点で暗黒舞踏を研究する私の“もっとも暗黒舞踏らしい”経験だったと記憶しています。こうした踊り手と観客同士等が共に響き合うことで生まれる現象「アフェクト」について参与観察するところに、自分の研究のオリジナリティーを見出しています。

今貂子さんが主宰する「倚羅座」の舞台に参加。右端が本人。トップの画像は京都のクラブでIzumi Amazonessさん(下を担当)と2人でポールダンスを披露したときのもの。
土方の弟子たちが企画するワークショップに参加しながら通訳でサポート。奥の黒い服の男性が和栗由紀夫さん。

知ってほしい身体表現の魅力
生成変化の共同研究もスタート

2020年4月に着任した北海道大学で新しくやってみたいことの一つに、舞踏初心者の学生たちを対象にした身体表現を取り入れた授業というアイデアがあります。身体を動かして感じることで世界の見え方や問題に対する向き合い方がどう変化していくのかを、皆さんと一緒に探っていきたいです。私自身が幼い頃から踊り続けてきたこともあって、踊りを研究対象にしていますが、それ以外のさまざまな身体表現にも関心を持つ皆さんを広く歓迎しています。

研究者としては同じ文化人類学研究室の山口未花子先生を代表とする共同研究《「描かれた動物」の人類学》が2020年10月からスタートしました。新しいプロジェクトから刺激を受けるのをとても楽しみにしています。

(聞き手・構成 佐藤優子)

メッセージ

なぜ人類学の勉強は特別なのか?

人類学の一般的なイメージでは、多文化の知識を収集して理論化する学問と思われがちですが、人類学をするというのは、様々なことに飲み込まれているヒト々と共に何かをする中で知識を共に生産するわけなので、その場と共に動きその世界と共に生きる上での知恵を身につけて発表することを目的にしています。

なぜ人類学の研究室で作成する卒業論文や修論または博論なども特別なのか?

やってみないと分からないということがあるように、その場にいないと分からない、その知らない人に声をかけてみないと理解への一歩を踏み出せないことが多々あるでしょう。自分だけで考えては分からないこと、他人にアンケートを回して統計を作成しても分からないこと。それは、絶えず偶発的に開かれつつあり複雑である、残酷だけど美しい、私たちの生きるという活動。人類学ではこのヒトたち(物や動物、人間以外のものもですよ!)の日々のことを自分の体で感じてみると、そのヒトたちと共に新しい地平が見えたりして、その見えてきたカケラを集めて編み出すと、なんのフィクションよりも読み手の人生を一変させられるような傑作のノンフィクションを作成できると思いますよ。

研究活動

略歴

サウス・カロライナ大学舞踊部・文学部卒業の後、暗黒舞踏への人類学的な研究を実施。京都大学で博士号取得。2020年4月1日より北海道大学文学研究院で勤務。

主要業績

所属学会

  • 文化人類学会
  • American Anthropological Association

教育活動

授業担当(文学部)

  • 文化人類学
  • 文化人類学演習

授業担当(文学院)

  • 文化人類学特別演習

授業担当(全学教育)

  • 社会の認識

おすすめの本

  • Ingold, T. (2018) Anthropology: Why It Matters. Polity.
    インゴルド・ティム(著)、奥野 克巳他(翻訳)(2019) 『人類学とは何か』(亜紀書房)
    インゴルドは、なぜ人類学はまさに今の時代に必要なのか、この学問の特徴と意義、または彼の人類学におけるビジョンを分かりやすく語っています。