研究と社会貢献教員一覧

瀧本 彩加

瀧本 彩加 准教授 / TAKIMOTO Ayaka

所属専攻・所属講座
人間システム科学専攻 行動システム科学講座
研究分野
比較認知科学
研究内容
比較認知科学、協力の進化、向社会行動を支える心理メカニズム、種を超えて結ばれる絆を支える心理的基盤
WEB site
キーワード
動物、協力、感情、コミュニケーション、進化
連絡先
E-mail: atakimoto@let.hokudai.ac.jp
(*を半角@に変えて入力ください)

Lab.Letters 研究室からのメッセージ

化石には残らないこころ
種間比較を通してこころの進化の道筋を探る

 ヒトは他者とかかわりあい、絆を築き、ときに助け合いながら暮らしています。ヒト以外の多くの動物でも同じです。では、そうした仲間とかかわり合う中で育まれるこころはどのように進化してきたのでしょうか。化石には残らないこころ。比較認知科学では、ヒトを含むさまざまな動物のこころの比較を通してその類似点・相違点を知り、こころの進化の道筋を解明することを目指しています。
 これまでは、助け合いの進化を探るため、フサオマキザルなどの霊長類種を対象として、同種個体どうしの報酬分配にかんする実験研究を中心に実施してきました。しかし、絆をつむぐのは同種個体どうしとは限りません。今後は、異種間、特に北海道の地の利を生かしてウマという伴侶動物に注目し、彼らとヒトとの間の絆を形成する心理基盤とその進化についても探っていきます。また、行動の動機づけにも迫るため、行動指標だけでなく生理指標も合わせて測定し、多角的な検討を進めていきます。

  • 長年取り組んできたフサオマキザルの食物分配の実験風景。知性が高く、相手に応じて柔軟に分配し、「お返し」もする。
    ※トップ画像はチュウベイクモザル(フサオマキザルと同じ新世界ザルの一種)の遊んでいる様子。
  • 瀧本先生は馬術部出身。大好きなウマとより良い関係を築きたいという想いから、
    動物のこころの研究に興味を持つようになったという。

野生動物の姿から得た発見・感動を大切に
広い視野を持ち行動する研究者に

 比較認知科学の研究手法には、大別して2種類あります。動物のありのままの姿を知るのに有効な観察研究と、条件を統制することで影響する要因を詳細に検討できる実験研究です。当研究室では主に実験研究を行いますが、皆さんにはぜひできるだけ早い段階で野生動物を観察することをお勧めします。そこで得た発見や感動は必ずや皆さんの研究にさらなる深みと妥当性を与えてくれるはずです。
 当研究室では、まず、教科書の精読と実験実習を通して比較認知科学の基礎知識と技術を身につけます。その上で、徐々に近接領域の分野の知識をも学び、自身の研究テーマを多角的に見つめる目を育んでほしいと考えています。そうすることが自身の研究に学際的な面白さを加え、その面白さをより広い世界に発信することにつながるからです。本講座の先生方・大学院生の力をお借りしつつ、学際的・国際的な研究者へと成長していく皆さんを全力で応援します。

<メッセージ>
 現在取り組んでいる研究プロジェクトは主に2つあります。1つは、協力行動、特に向社会行動を支える心理メカニズムにかんする研究です。ヒトは困っている人を見ると、見知らぬ人をであってもつい手を差しのべたくなります。そのような向社会行動がどのような行動や認知・感情に支えられて進化してきたのかを探るべく、個体差に着目した研究を進めています。もう1つは、異種、特にヒトとコンパニオンアニマル(イヌやウマなど)との間で形成される絆の心理基盤にかんする研究です。コンパニオンアニマルのもつ意義は、ストレス社会の中で年々大きくなってきており、彼らとわれわれヒトとの絆もより密接に結ばれるようになってきています。体の大きさも構造も異なる種間の双方向のコミュニケーションを成立させ、強く優しい絆を育むのに役立っているのはどのようなシグナルなのかを調べています。

 動物が好きな方、こころがどのように進化してきたのかを知りたい方、ぜひ一緒に動物たちの豊かなこころを解き明かしていきませんか?当研究室は、2015年4月にできたばかりの研究室ですが、できるかぎり個々人の興味を尊重し、意欲的に楽しく研究に取り組めるような環境づくりをしていきたいと思っています。興味を持ってくださった方はどうぞお気軽にお問い合わせください。

研究活動

略歴
近畿大学附属和歌山高等学校卒、京都大学文学部卒、京都大学大学院文学研究科修士課程・博士課程修了(文学修士・文学博士)、日本学術振興会特別研究員(PD; 受入先: 東京大学大学院総合文化研究科)を経て現職
主要業績
瀧本彩加・山本真也(2014). 霊長類の利他行動―協力社会を生み出すこころの進化. 山岸俊男・亀田達也 (編) 岩波講座 コミュニケーションの認知科学 第4巻 社会のなかの共存. 岩波書店 59-95.

瀧本彩加 (2012)フサオマキザルの豊かな知性と感情. 中川尚史・友永雅己・山極寿一(編) 日本のサル学のあした―霊長類研究という「人間学」の可能性. 京都通信社 194-195. 
         
Takimoto, A., & Fujita, K. (2011). I acknowledge your help: capuchin monkeys' sensitivity to others' labor. Animal Cognition, 14, 715-725.


Takimoto, A., Kuroshima, H., & Fujita, K. (2010). Capuchin monkeys (Cebus apella) are sensitive to others' reward: an experimental analysis of food-choice for conspecifics. Animal Cognition, 13, 249-261.
所属学会
日本動物心理学会,日本心理学会,日本人間行動進化学会,国際霊長類学会
関連サイト
行動システム科学講座 社会心理学研究室
社会科学実験研究センター
北大研究者総覧
researchmap

教育活動

おすすめの本
藤田和生(1998)『比較認知科学への招待ー「こころ」の進化学』ナカニシヤ出版 
比較認知科学の教科書。こころの進化過程を解き明かす研究に必要な基礎知識を丁寧な説明で提供してくれる。
Page top