結城 雅樹

プロフィール

結城 雅樹 教授 / YUKI Masaki
研究内容

社会環境の性質と人間の心理・行動との関連、集団過程の性質の文化差

研究分野
社会心理学、文化心理学、社会生態心理学
キーワード
文化、社会環境、適応、集団、対人関係、自己
文学研究院 所属部門/分野/研究室
人間科学部門/行動科学分野/行動科学研究室
文学院 担当専攻/講座/研究室
人間科学専攻/行動科学講座/行動科学研究室
文学部 担当コース/研究室
人文科学科/人間科学コース/行動科学研究室
連絡先

研究室: E棟405
TEL: 011-706-4169
FAX: 011-706-3066
Email: myuki*let.hokudai.ac.jp 
(*を半角@に変えて入力ください)

研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。
関連リンク

Lab.letters

Lab.letters 研究室からのメッセージ
行動科学研究室結城 雅樹 教授

心の多様性はどこから生じる?
社会の性質の違いに注目した分析

異なる国、異なる地域、異なる学校や業種などの間で、そこに暮らしている人々の心のあり方がしばしば異なるのはなぜでしょうか。私の研究ラボでは、人の心の多様性が生まれる原因を、それぞれの社会の性質の違いに求める「社会生態心理学」に基づく先端的な研究を進めています。現在特に注目しているのが、関係流動性と呼ばれる社会的な要因の効果です。対人関係を自由に選び替えられる欧米型の社会と、対人関係が固定的なアジア型の社会では、人々の心理はどのように異なってくるのでしょうか(図1)。また、当ラボがこれまでに発見した新たな心の多様性として、集団行動原理の文化差(図2)や、表情知覚の文化差(相手の目を見るか口を見るか)などがあります。

(図1)39カ国比較研究 (Thomson, Yuki, et al., 2018) における関係流動性スコア(赤が強いほど関係流動性が高く,青が強いほど関係流動性が低い)
(図2)北米人と東アジア人の集団行動原理の違い(Yuki, 2003)。"S"は自己(self)を表し、周囲の複数の小さな円は他の内集団メンバーを示す。左側の北米型では「ライバル校とどちらが強いか」などの外集団との比較が、右側の東アジア型では集団メンバー同士の関係性が重視される。

国際色豊かな顔ぶれとともに
刺激に満ちた共同研究

研究で国際比較を多用することもあり、私の研究室にはこれまでアメリカやニュージーランド、英国、中国、クロアチアを出身とする大学院生やポスドク研究者など、国際色豊かな顔ぶれが所属してきました。研究に対してはチームで取り組む共同研究のスタイルをとっており、そこから各自が関心を持つ切り口や方法論で自分の研究テーマを掘り下げていきます。

指導で重要視するのは、国際レベルで競争できる研究者を育てること。正確かつ簡潔に伝えるコミュニケーション能力の育成を大切にしています。行動科学研究室ではラボ間の垣根が低く、全ラボが一同に会する共同ゼミでは、教員同士の熱い議論も珍しくありません。研究の糧となる刺激に満ちた環境で皆さんを待っています。

メッセージ

私の研究ラボでは、人間の心理や行動に対して、周囲の人たちとの関係性や社会の性質がどのように影響するかを検討しています。これを分析するための理論的な切り口として、「社会環境に対する適応」をキーワードとする社会生態学的アプローチを採用しています。実証の方法として、国際比較調査、地域間比較調査、実験研究などを行っています。

現在特に注目しているのは、関係流動性 (relational mobility) と呼ばれる社会変数の影響です。対人関係や所属集団を自らの意志や好みによって選択できる関係流動性の高い社会(例:北米)と、対人関係や所属集団が一旦決まると、それを変更することが困難になる関係流動性の低い社会(例:日本)では、それぞれどのような心理や行動を示すことが、そこで暮らしていく上で有利になるでしょうか。この観点を用いると、従来の比較文化研究で見いだされてきた様々な心理・行動の文化差を、よりシンプルな原理で説明できるようになります。

たくさんの人々の間の相互作用を通じて生み出される対人関係や社会のあり方が、ひるがえって個々人の心理や行動を規定する。この「超社会的動物」としての人間の本性を解明するための研究プロジェクトに、ぜひ皆さんも一緒に参加してみませんか?

研究活動

略歴

埼玉県立浦和高校卒、一橋大学社会学部卒、東京大学大学院人文社会系研究科(社会心理学専攻)修士課程・博士課程修了、博士(社会心理学)、日本学術振興会特別研究員、北海道大学文学部講師、准教授を経て現職

主要業績

  • Thomson, R., Yuki, M., Talhelm, T., Schug, J., Kito, M., Ayanian, A. H., . . . Visserman, M. L. (2018). Relational mobility predicts social behaviors in 39 countries and is tied to historical farming and threat. Proceedings of the National Academy of Sciences. doi:10.1073/pnas.1713191115
  • Yamada, J., Kito, M., & Yuki, M. (2017). Passion, relational mobility, and proof of commitment: A comparative Socio–Ecological Analysis of an Adaptive Emotion in a Sexual Market. Evolutionary Psychology, 15(4), 1474704917746056. doi:10.1177/1474704917746056
  • Kito, M., Yuki, M., & Thomson, R. (2017). Relational mobility and close relationships: A socioecological approach to explain cross-cultural differences. Personal Relationships, 24(1), 114–130. doi: 10.1111/pere.12174.
  • Yuki, M., & Brewer, M.B. (Eds.) (2014). Culture and group processes. New York, NY: Oxford University Press.
  • Yuki, M. & Schug, J. (2012). Relational mobility: A socio-ecological approach to personal relationships. In O. Gillath, G.E. Adams, & A.D. Kunkel (Eds.), Relationship science: Integrating evolutionary, neuroscience, and sociocultural approaches (pp. 137-152). Washington D.C.: American Psychological Association.
  • Yuki, M., Maddux, W.W. & Masuda, T. (2007). Are the windows to the soul the same in the East and West? Cultural differences in using the eyes and mouth as cues to recognize emotions in Japan and the United States. Journal of Experimental Social Psychology, 43, 303-311.
  • Brewer, M. B., & Yuki, M. (2007). Culture and social identity. In S. Kitayama, & D. Cohen (Eds.), Handbook of cultural psychology (pp. 307-322). New York: Guilford.
  • 金児曉嗣・結城雅樹(編著) 2005 『文化行動の社会心理学』 北大路書房.
  • Yuki, M. (2003). Intergroup comparison versus intragroup relationships: A cross-cultural examination of social identity theory in North American and East Asian cultural contexts. Social Psychology Quarterly, 66, 166-183.
受賞

所属学会

  • Asian Association of Social Psychology
  • Society of Experimental Social Psychology
  • Society for Personality and Social Psychology
  • Association for Psychological Science
  • 日本心理学会
  • 日本社会心理学会
  • 日本グループダイナミックス学会
  • 人間行動進化学会
  • 北海道心理学会

教育活動

授業担当(文学部)

  • 文化心理学
  • 行動科学実験実習
  • 行動科学特殊演習
  • 行動科学研究法

授業担当(文学院)

  • 多文化共生論
  • 行動科学特殊講義
  • 行動科学特別演習

おすすめの本

  • 『名誉と暴力 ― アメリカ南部の文化と心理』 R.E.ニスベット&D.コーエン(著) 石井敬子・結城雅樹(編訳)(北大路書房)
    米南部人はなぜ「キレる」のか?その必然性を、心と社会の関係から解き明かす。多彩な実証法もCool!