宇山 智彦

プロフィール

宇山 智彦 教授 / UYAMA Tomohiko
研究内容
  1. 比較帝国論から見る帝政・革命期ロシアと中央アジアの関係と、民族知識人の役割。
  2. 旧ソ連諸国の政治、国際関係、民族・宗教問題と、権威主義・大国主義の国際比較。
  3. ロシア・ソ連のオリエンタリズムと歴史認識・学知。
研究分野
中央アジア近代史・現代政治、比較帝国史
キーワード
近代中央アジア知識人、ロシア帝国史・比較帝国史、権威主義体制論、歴史記述、地域認識
文学院 担当専攻/講座/研究室
人文学専攻/スラブ・ユーラシア学講座/スラブ・ユーラシア学研究室
連絡先

Email: uyama*slav.hokudai.ac.jp
(*を半角@に変えて入力ください)

研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。
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Lab.letters

Lab.letters 研究室からのメッセージ
スラブ・ユーラシア学研究室宇山 智彦 教授

アジアとヨーロッパを結ぶ
多様な文化の地、中央アジア

中央アジア研究の魅力を一言で表すと「多様な文化」を内包する点にあります。定住民と遊牧民が混在する歴史に共産圏を築いたロシアの文化が加わり、その一方でイスラームを中心とするさまざまな宗教・民族意識も交差する多様な地域、中央アジア。社会主義体制の崩壊や政治経済のグローバル化など世界全体の動きを考えるうえで、ヨーロッパとアジアを結ぶ中央アジアはどういう位置付けになるのか。その答えを知りたくて近現代史を中心に研究を続けてきました。また、世界のさまざまな帝国・植民地の歴史の専門家たちと共に、比較帝国史・比較植民地史の研究に取り組むほか、大国主義研究の観点からロシアのウクライナ侵略についても論評しています。

2004年末に行われたウズベキスタン議会選挙の開票風景。宇山教授は国際監視団のメンバーとして現地で見守った。
共同指導教員を務めたカザフ大学の学生たちと。「非常に勉学意欲が高い学生が多い。自分の国の枠を超えた視野の広がりに期待したいです」

常識を排して他者を理解する
広くて深い地域研究の学び舎

地域研究の根本は「他者を理解する」こと。研究者は自分の常識にとらわれず、中央アジアという地域で起きたこと・起こっていることを虚心坦懐に観察し理解する姿勢が求められます。指導学生が研究対象とする地域やテーマはさまざまですが、中央アジア研究において政治・経済・文化・歴史を網羅した専門研究ができる環境は国内でも数えるほど。本学にはその高い専門性と刺激を求めて全国および諸外国から意欲ある若手研究者が集まっています。中央アジアは世界の一部。対象地域を深堀りするだけでなく、ロシアや中国、アメリカ、日本など国際社会との結びつきにも目を向けてほしいと両面からの指導を行っています。

(聞き手・構成 佐藤優子)

メッセージ

「ヨーロッパとアジアの間の地域に視座を置いて、広く世界を見渡したい」――学生時代、私はそのような思いで中央アジア・中央ユーラシア研究を志しました。ペレストロイカ時代のソ連滞在を皮切りに、ある時は広大な草原に詩人の足跡をたどり、ある時は山国に内戦や政変の関係者を訪ね、人々や史料との対話を重ねながら、現地感覚を養ってきました。未開拓な研究分野だったため、自力で道を切り開かなければなりませんでしたが、それだけに大きなやりがいがありました。今、さまざまな文明・国家の複合的な関係を観察するのにこれほど適した地域はないという思いを新たにしています。

この20年間、日本の中央ユーラシア研究は、事典や基本書の出版によって基礎固めをすると同時に、国際的に注目される先端的な成果を挙げてきました。とはいえ、研究されていないテーマはまだまだ多くあり、若い研究者のいっそうの活躍が待たれています。私が指導する院生の専門は、地理的には中央アジア諸国とカフカス、ヴォルガ地域、分野的には近代史、政治、人類学、外交など多岐にわたっています。スラブ・ユーラシア研究センターでは、国際シンポジウムなどで第一線の外国人研究者と接する機会や、北海道中央ユーラシア研究会などで国内各地の若手研究者と交流する機会も豊富にあります。地域研究の奥深さを極めたい皆さんの入学を歓迎します。

研究活動

略歴

1967年生まれ。ソ連時代末期のモスクワに留学後、東京大学教養学科ロシア科卒業。在カザフスタン大使館の初代専門調査員などを経て1996年東大大学院博士課程中退。同年北海道大学スラブ研究センター助教授、2006年現職。

主要業績

  • 『中央アジアの歴史と現在』東洋書店、2000年。
  • 『現代中央アジア論:変貌する政治・経済の深層』(岩﨑一郎、小松久男と共編著)日本評論社、2004年。
  • 『中央ユーラシアを知る事典』(小松久男、梅村坦ほかと共編著)平凡社、2005年。
  • Empire, Islam, and Politics in Central Eurasia(編著)(Sapporo: Slavic Research Center, 2007).
  • 『日本の中央アジア外交:試される地域戦略』(クリストファー・レン、廣瀬徹也と共編著)北海道大学出版会、2009年。
  • 『ユーラシア近代帝国と現代世界』(編著)ミネルヴァ書房、2016年。

所属学会

  • 内陸アジア史学会
  • 日本比較政治学会
  • ロシア・東欧学会
  • ロシア史研究会
  • Central Eurasian Studies Society

教育活動

授業担当(文学院)

  • スラブ・ユーラシア総合研究特別演習
  • スラブ・ユーラシア相関研究特別演習

おすすめの本

  • 小谷汪之『歴史の方法について』東京大学出版会、1985年。
    自分とは、日本とは、アジアとは・・。過去を異文化として捉える見方を提示し、歴史を学ぶことは思索することだと教えてくれる本。