内容紹介
ユーラシア地域大国ロシア、中国、インドは、ロシア帝国、清朝、英領インド帝国という帝国的過去を基盤としている。本書は、これら3地域を中心に、日本、オスマン、イラン、アメリカも加え、諸帝国・植民地の近代化、大国と小国の関係、帝国崩壊後の国家と世界秩序の再編を論じる。諸帝国の競争と協調、帝国権力と協力者・抵抗者・観察者の間で交錯する視線や駆け引きは、現在の世界を考えるための多くのヒントを与えてくれる。
著者からのコメント
「帝国」という言葉ほど、歴史と現在にまたがって幅広く使われ、しかも人によって好悪の評価が大きく分かれる歴史用語は、珍しいでしょう。10年ほど前には、アメリカが現代の帝国と呼ばれ、支持と反発を受けていました。近年は、台頭する中国と、野心的なロシアが、やはり帝国になぞらえられ、支持と反発の波を世界に広げています。近代の帝国もまた、見方によって評価の分かれる存在でした。この本は、近代帝国の統治者、協力者、抵抗者たちが織りなす多様な権力関係やまなざしの交錯を描いています。話題は工業化からジェンダーまで幅広く、権力論・世界秩序論としても、人間の生き方と観察力を描き出す読み物としても、歴史と政治・国際関係に関心のある多くの人に読まれることを期待しています。
なお、本書の刊行をもって、シリーズ・ユーラシア地域大国論は全6巻が完結しました。他の5つの巻もあわせて手に取っていただければ幸いです。
外部リンク
〔出版社〕ミネルヴァ書房の紹介ページ