髙橋 伸幸

プロフィール

髙橋 伸幸 教授 / TAKAHASHI Nobuyuki
研究内容

社会的交換、秩序問題、社会的公正に関する理論的・実証的研究。

研究分野
社会心理学、実験社会科学
キーワード
社会学的社会心理学、集団過程、合理的選択、適応論的アプローチ
文学研究院 所属部門/分野/研究室
人間科学部門/行動科学分野/行動科学研究室
文学院 担当専攻/講座/研究室
人間科学専攻/行動科学講座/行動科学研究室
文学部 担当コース/研究室
人文科学科/人間科学コース/行動科学研究室
連絡先

研究室: E棟407
FAX: 011-706-4153
Email: ntakahas*let.hokudai.ac.jp
(*を半角@に変えて入力ください)

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関連リンク

Lab.letters

Lab.letters 研究室からのメッセージ
行動科学研究室髙橋 伸幸 教授

お金、サービス、愛情の交換
個人と社会の相互関係を探る

「社会的交換」とは、人間社会が資源とみなすもの—お金やサービス、情報に限らず、愛情、尊敬といった互いに価値を見出すものを交換しあうことを指しています。

小さな集団から大きな集団、親類縁者や見知った人々の輪から知らない他人同士の社会へ。現代の私たちは人類史上、類を見ない社会を生きています。情報化社会では対面しない人間関係も生まれ、対処する心のしくみを持っていない現代の人間はどうしたらいいのか、わからないことだらけです。社会は個人の意図や行動の集積である一方で、集積したことで一人一人が思いもよらなかった意図せざる結果も生まれます。「社会的交換」などの方法論を用いながらその謎を解明していきます。

北海道大学の教授たちとの共著。
授業用スライドから抜粋した交換成立モデルの一例

回を重ねた指導がモットー
考える力を養い社会を見る

現在指導している院生は、内集団ひいき問題に取り組んでいます。人間は自分が属している集団という枠組みを越えて交換しうるのか。学生には相談があればいつでも訪ねてほしいと伝えていますので、回を重ねた対面指導でバックアップしています。

社会心理学に必要な姿勢は、好奇心と想像力を持つこと。自分のこの行動は常識か否か、日常的に考える力が社会を見る目にもつながります。海外からのポストドクターを交えた日常的に英会話が聞こえてくる環境でともに学んでいきましょう。

(聞き手・構成 佐藤優子)

メッセージ

現在、人間社会は様々な問題に直面しています。それらは、生物としてのヒトが進化の過程で身につけてきたものと、現代社会とのズレから生じていることが多いのです。縄文時代から比べても、社会の規模の飛躍的増大、社会に流通している情報量の飛躍的増大、交通手段の発達など、どれもヒトにとっては未知のものばかりです。狩猟採集時代に適応的だった心のしくみをもっている我々は、狩猟採集ではない社会でうまく生きていく心のしくみをまだ身につけてはいません。それにもかかわらず、様々な社会問題の解決は待ったなしです。

従って我々は、高度産業化・情報化社会をうまく運営していく術を見つける必要があります。そのためには、個々人の信念・行動と社会としてのあり方との相互依存関係を明らかにする必要があります。

当ゼミでは、このような考えのもと、教員と学生が密接に連携して研究(例えば、利他行動が適応的となるしくみ、公正感を持つことの意義など)を進めています。ゼミの垣根にとらわれることなく、研究室全体で意見を交換しあい、徹底的な議論と洗練された実証研究を行うことが、当ゼミの特徴です。将来の研究の発展に、ひいては人間社会の未来に資する研究を一緒に行いませんか?

研究活動

略歴

1992年北海道大学学士号取得、1994年同大学院修士号取得、1997年米アリゾナ大学M.A.取得、2001年同大学Ph.D.取得、2001年北海道大学大学院文学研究科助教授、2007年より同准教授

主要業績

  • Mashima, R., Takahashi, N. 2008. The Emergence of Generalized Exchange by Indirect Reciprocity. Pp.159-176 in Biel, A., Eek, D., Gärling, T., Gustafsson, M. (Eds.), New Issues and Paradigms in Research on Social Dilemmas. New York: Springer.
  • 高橋伸幸(2007)「人間社会の特徴としての社会的交換」 煎本孝・高橋伸幸・山岸俊男(編著)『集団生活の論理と実践-互恵性を巡る心理学と人類学的検討』北海道大学出版会. Pp. 34-54
  • Takahashi, N. and Mashima, R. (2006). The importance of subjectivity in perceptual errors on the emergence of indirect reciprocity. Journal of Theoretical Biology, 243:418-436.
  • Molm, L. D., Takahashi, N., & Peterson, G. 2003. In the Eye of the Beholder: Procedural Justice in Social Exchange. American Sociological Review, 68:128-152.
  • Takahashi, N. 2000. The emergence of generalized exchange. American Journal of Sociology 105: 1105-34.

所属学会

  • American Sociological Association
  • Human Behavior and Evolution Society
  • 日本心理学会
  • 日本社会心理学会
  • 日本グループ・ダイナミックス学会
  • 数理社会学会
  • 北海道心理学会
  • 日本人間行動進化学会

教育活動

授業担当(文学部)

  • 行動システム科学概論
  • 行動科学
  • 行動計量学
  • 行動科学演習
  • 行動科学実験実習
  • 行動科学特殊演習

授業担当(文学院)

  • 人文社会構造論
  • 行動科学特別演習
  • 計量行動学特別演習
  • 数理行動学特別演習

授業担当(全学教育)

  • マイクロ-マクロ社会心理学入門

おすすめの本

  • 『Micromotives and Macrobehavior』 Thomas C. Schelling (W. W. Norton & Co.)
    我々に個々の心と社会現象がどのように関係するのかについて考えさせてくれる、古典的な著作です。