プロフィール
- 研究内容
- ヴォルガ・ウラル地域のムスリム社会(19世紀から現在まで)
- ロシア帝国のムスリム行政。他の植民地帝国との比較
- ロシアのメッカ巡礼
- 帝国再建としてのロシア内戦
- 初期ソ連の中東への関与
- 研究分野
- 旧ソ連地域のイスラーム、ロシア近現代史
- キーワード
- ロシア、ソ連、イスラーム、帝国
- 文学院 担当専攻/講座/研究室
- 人文学専攻/スラブ・ユーラシア学講座/スラブ・ユーラシア学研究室
- 連絡先
研究室: スラブ・ユーラシア研究センター528
TEL: 011-706-3790
FAX: 011-706-4952
Email: luch*slav.hokudai.ac.jp
(*を半角@に変えて入力ください)研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。- 関連リンク
Lab.letters
ロシアの理解に豊かさを与える
イスラーム教徒タタール人
2001年9月11日、ロシアのタタルスタン共和国の首都カザンでアメリカ同時多発テロ事件を知った私は、ロシアのイスラーム社会の内側から世界を眺めることの面白さを知りました。それを大きな契機に、世界秩序、ロシア国家、その一部を構成するイスラーム社会という三層構造で、奥行きの深いロシア史をさらに豊かに読み解く仕事に取り組んでいます。ソ連崩壊以降、多民族国家のロシアでは民族紛争やテロが絶えない印象がありますが、とりわけタタール人とロシア国家との関係は実に興味深い事例です。そこから私たちは、多様な人々が現実にどのような関係を結びながら生きているのかに考えを巡らせる〈異文化理解の想像力〉を鍛えることができます。
フィールドに立つ歴史研究者
多様性溢れる北大ロシア研究
今は歴史研究者も現地に行く時代。特に近現代史の勉強には必須です。実際、院生時代から現地の人々と暮らしをともにし、そこで知った今日的な問題と自分の研究課題を対話させる研究者は多いと思います。北海道大学のロシア研究にはこのような双方向的な研究姿勢が根づいています。また、私のようにイスラーム教への関心からロシア研究に進んだ人間も参加できる多様性溢れる土壌も、本学の特筆すべき魅力です。広大で複雑なロシアに分け入っていくには、一にも二にも語学力が大事。学生との論文講読では筆者が意図する議論を吟味したうえでの批評を心がけるよう指導しています。
(聞き手・構成 佐藤優子)
研究活動
略歴
2006年3月 東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程 単位取得退学、日本学術振興会特別研究員(PD)
2007年6月 東京大学より博士号(学術)取得
2007年8月 スラブ研究センター准教授
2017年10月 スラブ・ユーラシア研究センター教授
主要業績
- 長縄 宣博(著)『イスラームのロシア』(名古屋大学出版会)2017年
第8回 三島海雲学術賞を受賞 - 小澤 実/長縄 宣博(編著)『北西ユーラシアの歴史空間』(北海道大学出版会)2016年
- 山根聡/長縄宣博(編著)『越境者たちのユーラシア』(ミネルヴァ書房)2015年
- Volgo-Ural’skii region v imperskom prostranstve: XVIII-XX vv.[帝国空間の中のヴォルガ・ウラル地域: 18-20世紀]D.M. Usmanova, 濱本真実 との編著 (Moscow: Vostochnaia Literatura, 2011).
- “Molding the Muslim Community through the Tsarist Administration: Mahalla under the Jurisdiction of Orenburg Mohammedan Spiritual Assembly after 1905,” Acta Slavica Iaponica, no.23, 2006.
- “Maktab or School? Introduction of Universal Primary Education among the Volga-Ural Muslims,” in Tomohiko Uyama, ed., Empire, Islam and Politics in Central Eurasia (Sapporo, 2007).
- “The Hajj Making Geopolitics, Empire, and Local Politics: A View from the Volga-Ural Region at the Turn of the Nineteenth and Twentieth Centuries,” in Alexandre Papas, Thomas Welsford, and Thierry Zarcone, eds., Central Asian Pilgrims: Hajj Routes and Pious Visits between Central Asia and the Hijaz (Berlin: Klaus Schwarz Verlag, 2012), pp. 168-198.
- “Holidays in Kazan: The Public Sphere and the Politics of Religious Authority among Tatars in 1914,” Slavic Review 71, no. 1 (Spring 2012), pp. 25-48.
所属学会
- ロシア史研究会
- 日本中央アジア学会
- Association for Slavic, East European, and Eurasian Studies
教育活動
授業担当(文学院)
- スラブ・ユーラシア総合研究特殊講義
- スラブ・ユーラシア総合研究特別演習
- スラブ・ユーラシア文化研究特別演習
おすすめの本
- 『イスラーム世界の創造』羽田正(東京大学出版会)
イスラーム研究者は西欧文明批判に終始してはならないことを教えてくれます。