宮下 弥生

プロフィール

宮下 弥生 助教 / MIYASHITA Yayoi
研究内容

Shakespeare劇を物語理論を応用して分析する。

研究分野
Shakespeare劇、物語理論、中世英文学
キーワード
Shakespeare、narrative theory、Geoffrey Chaucer
文学研究院 所属部門/分野/研究室
人文学部門/表現文化論分野/欧米文学研究室
文学院 担当専攻/講座/研究室
人文学専攻/表現文化論講座/欧米文学研究室
文学部 担当コース/研究室
人文科学科/言語・文学コース/欧米文学研究室
連絡先

研究室: 202

研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。
関連リンク

Lab.letters

Lab.letters 研究室からのメッセージ
欧米文学研究室宮下 弥生 助教

精読を重ねて見えてくる
登場人物の意図vs.劇の意図

登場人物の意図のみを反映していそうな科白の連続体であるシェイクスピア劇。しかし、じっくり読み進めると、別次元に組み込まれている劇の意図が見えてきます。こうして分析したシェイクスピアを扱う私の論文はすべてWorld Shakespeare Bibliographyに登録され、世界各国で広く読まれています。まずは一つ一つの単語や句読法にまで気を配って正確に読むこと。そして、自分が作品としっかり向かい合うこと。これからも、新たな発見を求めてシェイクスピア研究を進めていきます。

原本を読むときはいつもノートをかたわらに。写真はその貴重な記録の一冊。「読むたびに増える『気付き』が詰まった私の宝物です」【忍び込む編者の解釈に要注意!】 『ハムレット』1 幕2 場。叔父のクローディアスがハムレットにson「わが子」と呼びかけるのに対し、お前の息子だと、と皮肉たっぷりにsun「太陽」とsonを掛けて言い返す。
シェイクスピア存命中の四つ折り本。Sonneで「息子」も「太陽」も表すことができる。
シェイクスピア死後出版の第1二つ折り本。Sonne、Sunと第1義を区別している。

正確に読み、書く力を育成
分野を越えて応用が利く能力を

編者の解釈が含まれる某現代版。宮下先生も下読みでチェックしている跡が。

私のゼミでは、学生と同じ目線に立ち、疑問を残さない精読を心掛けています。そして、その時間読んだパッセージについて自分なりの考えを持つこと、それを正確に的確に表現すること。そのため、毎回小レポートを課し、次の時間にその内容を皆で検討します。この小さな問題意識を有機的につなぐことができれば、一つのまとまった論文が書けるようになります。そして、これは分野を超えて応用が利く能力です。

メッセージ

400年というシェイクスピア批評の歴史がありながら、今日でも新しい視点から作品を分析する醍醐味を感じ、研究を進めています。授業では実際に各作品を取り上げ、丁寧に読み進めていきます。マクベスはダンカンを殺したあと、”Methought I heard a voice cry, “Sleep no more: / Macbeth does murder sleep, . . . “と言います。この”methought”は非人称動詞(impersonal verb)といい、「私にとって思われた(it seemed to me)」という意味です。能動的に「眠るなという声を聞いたと思った」という意味ではなく、そのような声が聞こえてきてしまったようだ、それを自分ではどうすることもできない。そんなマクベスの苦悩を理解するためには正確な文法知識が必要です。さらに、各自がテクストを精読した上で自分の考えを的確に論じる方法も指導しています。

学部の授業では、14世紀の英文学、G.チョーサーの『カンタベリー物語』を読んでいます。中世の文学作品を読むことで、具体的に英語の歴史を学び、英語という言語をより深く理解することができます。言語の変遷の実例をみることにもなるので、言語の種類を問わず、言語そのものに興味がある方にもおすすめの授業です。

研究活動

略歴

札幌西高校卒、北海道大学文学部卒、北海道大学大学院文学研究科(英米文学専攻)修了、同大学院博士課程単位取得退学、北海道大学文学部助手を経て現職。

主要業績

  • Authorial Design in The Winter’s Tale: Evaluation of the Statue Scene from a Narrative Point of View 『北海道大学文学研究科紀要』第222号(2007): 59-96. http://hdl.handle.net/2115/27974
  • An Application of a Narrative Theory to Romeo and Juliet: Orientation and Manipulation of the Audience’s Sympathy 『北海道大学文学研究科紀要』第114号、pp. 115-36(北海道大学文学部、2004年11月)http://hdl.handle.net/2115/14660
  • Juliet’s Acquisition of Independence and Patriarchy in Romeo and Juliet 『北海道大学文学研究科紀要』第106号、pp. 35-48(北海道大学文学部、2002年2月)http://hdl.handle.net/2115/26435
  • Gower, the Chorus, as a Fictional Character in Pericles 『北海道大学文学研究科紀要』第117号、pp. 89-108(北海道大学文学部、2005年11月)http://hdl.handle.net/2115/17136
  • 彫像の場に向けて—『冬物語』における罪から和解への計算 長尾輝彦(編)『文学研究は何のため』pp. 49-73,(北海道大学出版会、2008年3月)

所属学会

  • 日本英文学会
  • 日本英文学会北海道支部
  • 日本シェイクスピア協会

教育活動

授業担当(文学部)

  • ヨーロッパ言語文化論

授業担当(文学院)

  • 言語文化論特別演習

授業担当(全学教育)

  • シェイクスピアへの誘い